高齢者の閉じこもりについて
高齢者になり介護が必要になる原因は、認知症、脳卒中、骨折など様々ありますが、廃用症候群も大きな要因になります。
廃用症候群は簡単に言うと、動かないことによって身体の機能が低下(筋力低下、関節拘縮、立ちくらみ、骨密度低下など)することです。
そして、動かなくなってしまう原因の一つに「閉じこもり」が挙げられます。
このnoteでは高齢者に多いと言われている閉じこもりについて書きたいと思います。
■閉じこもりとは
閉じこもりに関する研究は多くされていますが、閉じこもりの定義は「外出が週1回未満」というのが一般的です。
ある報告によると、65歳以上の閉じこもりの割合は10-15%とされています。結構多いですよね。
一般的には閉じこもりは、
・身体面
・精神面
・社会環境面
の3つが影響すると言われています(参考資料)。
例えば、足を骨折して歩けなくなったことで外出しなくなった、というものは身体面の影響です。足を骨折してギプスをしているのを見られたくないか外出しなくなった、というものが精神面の影響。そして、エレベーターのない5階に在住しており、タクシーも入ってこれない場所に住んでいるため外出しなくなった、というものが社会環境面によるものです。
閉じこもりの原因は1つだけという訳ではなく、3つ全てが関わっている場合もあります。
鳩野らの報告によると、閉じこもりと関連がみられたのは、
・居住地が山側である
・歩行が不自由であること
・友人がいないこと
・規則的な生活でないこと
と述べられています(鳩野洋子ら,2001)。
やはり身体面、精神面、社会環境面全てが関わっていますね。
■首尾一貫感覚
次に、首尾一貫感覚というものが閉じこもりに影響しているという報告を見たので紹介します。
まず、首尾一貫感覚とは、「ストレスに柔軟に対応できる能力」のことで、英語でsense of coherence(SOC)と呼ばれています。
首尾一貫感覚は、以下の3つから構成されています。
①自分の置かれている状況を予測・理解できる「把握可能感」
②何とかやっていけるという「処理可能感」
③日々の営みにやりがいや生きがいが感じられる「有意味感」
※参考サイト➔こちら
この首尾一貫感覚が少ないと閉じこもりになりやすいとのことです(若山ら,2016)。
つまり、その人の考え方が影響しているということですが、身体が不自由になるとこの感覚は低下しそうな気がしますね。
■おわりに
若者の閉じこもりと異なり、高齢者の閉じこもりは身体が不自由になっていることと、先々の人生への希望も少ないので改善が難しい印象です。
閉じこもりの高齢者に対して、「デイサービスに行きましょう」などと言ってもあまり効果的ではありませんよね。
身体機能訓練と同じですが、閉じこもりになってしまっている原因を追究しないといけませんね。
しかし、考え方を変えれば、閉じこもりの高齢者には訪問リハビリテーションが有効ともいえますので、その人に合ったサービスを提供することも大事だと思います。