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裁判傍聴に行ってみた

かねてより興味はあったが行けずにいた裁判傍聴についに足を踏み入れた、初夏。

裁判所に到着すると入り口で持ち物検査と空港にあるような通り抜けるやつをやる。勝手がわからないので、キョロキョロしながら今日の開廷一覧的なやつを隣近くの人の真似をするように覗き込む。そうしていると、私がビギナーだと察したのか警備員のおじさん的な人が親切にも声をかけてきてくれたので、
「はじめてなんですけど、、」と、初めて訪れた病院の受付で言うようなことをおじさんに言った。
するとおじさんは、開廷一覧を一緒にみながら、裁判には3つの種類があると教えてくれた。

・新件
今日から始まる新規の裁判

・審議
証拠や証言などがある。
多分これが一番勉強になると思うと言っていた。そう言われて私は、おじさんは多分私を法学を学ぶ学生と思ったのだろうと感じた。

・判決
判決を言うだけだから10分とかで終わってしまうもの。

とのこと。なんてありがたいのでしょう。

早速裁判をやっている部屋に向かう。

最初の部屋は、新件の裁判。「強制わいせつ罪」
部屋に入る。座る。ニュースで見たことある光景が目の前に。向かって左側に被告人がいる。普通にいる。
その時私は、この人は犯罪者なんだなと思った。でもそれは、裁判が始まって20分後には違う思いになっていた。

裁判長が入ってきてみんなが立ったので私も焦って荷物を持ったりしてもたもた立った。でも気づいたらみんなもう座っていた。なるほど、こんな感じなのかと思ってすぐ座った。

まず検察官が起訴の内容を読み上げる。
次に裁判長が黙秘権があることを被告人に伝える。言いたくないことは言わなくてもいいですからね、といったように。
裁判のイメージは、すごく厳粛なイメージだったのだけれど、思っていたよりもカジュアルだった。裁判長は被告人に対して優しく話しかけるような口調で話していた。

そして、今回の事件に対する弁護人の主張は「無罪」だった。そこで私は冒頭に思った、この人は犯罪者なんだなと、という思いが消えて、この時点ではまだこの人が犯罪者かどうかわからないんだ!ということに気づいた。自分の先入観で被告人を犯罪者という眼差しで見ていたことを恥じた。

次の部屋は、判決。「窃盗」
被告人はおばあさん。警察官に挟まれている。手錠もしている。裁判長が被告人に証言台の前に来るように指示すると、警察官は手錠を解いておばあさんを証言台までエスコートする。
裁判長は、それはもう、優しい町のお医者さんかと思うほどに静かに語り、静かに聞く人だった。それが判決の主文を読むときに一変した。背筋を伸ばし声を張り、被告人に懲役と執行猶予を伝えた。
あゝそうか、人を裁く時、その内容を伝える時はこのような変化をする裁判長なのだなと、人を裁くことの重みを感じた。

ものの10分で終了したかと思えばすぐ次の回が待っていた。一旦部屋を出て待合所のような場所で待っていると同じ場所に若者がいた。時間ちょうどに始まらないのかと同行人に聞いていたのだが、そのすぐ後に弁護人が入るドアから彼らは入っていった。こんなに近くにふらっと被告人がいるもんなんだなあと小さく驚いた。

最後の部屋、判決。「殺人未遂など」
やはり警備員のおじさんが言っていた通り、1番見応えがあった。被告人が暴言を吐きまくって裁判長から退廷命令が発動されたり、検察側からの証人の話を聞いたり、ドラマで見るような証拠を見たり。休憩を何度も挟みながらだったり。あと、これは裁判員制度の裁判だった。正直、荒ぶれる被告人の前で顔を晒すのは怖いよなあと思った。自分が裁判員制度の裁判員に選ばれる前に一度傍聴席から見ておいてよかったなあと思った。

今日は、あまりネットで調べることもなく、今日やってそう、という情報だけでふらりと行ったが面白かった。

ちらっと思い浮かんで深く考えられていないけど、「罪」というものを改めて考えてみたいなと思った。罪を与える者、受ける者。罪を与える側に強い権力があることの危険性。
裁判官も検察も弁護人も被告人も、自分と何ら変わらない、感情のある人間だということ。
そういうことを考えるには十分すぎるきっかけが、裁判傍聴にはあるなと感じた。
#エッセイ
#裁判傍聴

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