ビフォーアフター結婚
能町みね子の「結婚の奴」を読んだ。冒頭から不意に笑わされることもあり、共感する部分もあり、能町さんの自分の感情をここまでかというくらい的確に表現しようとするその真面目さに感心しながら、本を閉じ、自分のビフォーアフター結婚について考えてみた。
まず、共感したのは、⑴自分のためだけに部屋を掃除する気にならない、や、⑵一人でいると定期的に襲ってくる負のループから抜けられなくなることなど。
アフター結婚だと、⑴に関しては週末に掃除する習慣がついた、⑵家には自分以外の他人がいるので、なんてことない会話をする事で負のマインドが散って私のもとにやってこなくなった。本には、「無駄な会話の有益性」と書いてあって、言い得て妙!と膝を叩いた。
一方で、かつて独身時代に活発だった自分の中のクリエイティブ脳というか、感受性というか、の活動はおとなしくなっている。現状の安定に満足してしまっているのかもしれない。今は、自分の心に釣り糸を垂らすことは減り、日々の生活をただ見つめている。
とはいえ、安定ばかりの日々ではないけれど、だからこそわかるようになった気持ちもあるし、全て必然なのだろうと思う。
大学時代までは多感で、落ち葉が落ちる意味とか考えているような人間だった。
歌詞カードに書いてないことまで読み取ろうとしたり、音楽を聴きながらひたすら現実をシャットアウトしていた。
あの頃はあの頃で、高円寺の大衆酒場の安い酒で酔って友人と議論して盛り上がっていたことはとても楽しかったし今でもキラキラしてる。
その季節を過ぎたのだろうと思う。
ある意味、結婚とは人生の季節を変えることではないか。変えようと思って変えるのではなく、人生に他人が入ってきて変わることは確かにあるということ。
笑いあり涙あり安心あり不安あり絶望あり希望あり欲あり無気力あり問題あり答えなし、結婚してもこんな感じで私は生きていました。