【裏話】タイトル『メニー・クラシック・モーメンツ』に込めた意味とは…?globe?カラパナとの関係は!?
前回に引き続き、私、梶モードの小説『メニー・クラシック・モーメンツ ~ Many Classic Moments ~(以後、MCM)』の裏話的なネタについて、ご紹介したいと思います。
※ 前回記事は、こちらになります。
元々、この小説には ” 別の題名 ” を用意していました。それは日本語で、物語に出てくる「あるセリフ」をそのまま使ったものでした。
けれども、草稿版を書き綴っているうちに、ふと「メニー・クラシック・モーメンツ」という言葉が気になり、「この物語には、このタイトルしかないのでは…」と思うようにもなり、物語の終盤部分を執筆中、急遽、作品名を変更することになりました。
物語のタイトルでもある『メニー・クラシック・モーメンツ ~ Many Classic Moments ~』を直訳すると「たくさんの偉大な瞬間たち」みたいな感じになるのでしょうか。
クラシック(classic)という言葉は「階級」を意味するラテン語の「class(クラス)」に由来しているそうです。そこから「格式のある」「最高級の」といった意味に転じた、とも言われています。
それ故、私も「クラシック」を、「偉大な」と、意訳しました。
モーメント(Moment)は「瞬間」や「一瞬」を表す名詞ですよね。前部に「Many」があるため、タイトルとしては複数形になっていますが…。
私は「Many(たくさんの)」+「Classic(偉大な)」+「Moments(瞬間たち)」という単語の並びから、真っ先に、それは「走馬灯」のようなものではないのか、と、イメージしました。
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いよいよか、と思った僕は、” 走馬灯 ” がやって来るのをひたすら待った。けれども、そういった人生最後のショートフィルムを堪能できるような局面は、一瞬たりとも訪れなかった。
結構、期待していたのに、な…。
『メニー・クラシック・モーメンツ』第3章:真っ暗 より抜粋
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MCMの登場人物のひとり「シュン」も、物語の中でこんなことを話しています(ネタバレになりますが、そのあと、彼にもちゃんと ” 走馬灯 ” がやってくるんですけどね…^^)。
臨死の瞬間だけに訪れる、とっておきのごほうびのような体験、その部分を物語で描きたかったこともあって「走馬灯」を彷彿させる「メニー・クラシック・モーメンツ」という言葉が相応しいと判断し、小説のタイトルとして採用しました。
また、その言葉自体は「回想」や「追憶」等々も連想できるため、そういった ” 意味 ” も意識して、物語に落とし込みました。
ところで「メニー・クラシック、なんちゃら~って、どこかで聞いたことがあるぞ?」と思った方、この作品を読んでくださった皆様の中にもいらっしゃるのではないでしょうか?
そう思われた方、大正解です!^^
カラパナ(Kalapana)という、ハワイ出身のロックバンドをご存じでしょうか?
メンバーのひとりが「佐野 健二さん(ベーシスト)」という日本人であることもあって、米国のみならず、日本でもファンの多い、1970年代から活動されているレジェンド・アーティストです。
彼らが1977年に発表した ” サウンド・トラック ” のタイトル、それが『Many Classic Moments』でした。そのアルバムには、同名の楽曲も収録されています。
カラパナ版の『Many Classic Moments』は、恋人と別れ、波乗り(サーフィン)に人生を捧げた男性が、昔を回想する内容となっています。
私はリアルタイムで聴いていたわけではないのですが、今、聴いてみても、その清い旋律、抒情的な歌詞の美しさに、心が震えます。
私はカラパナと彼らの『Many Classic Moments』に敬意を込め、主人公の「有季」が葉山の海辺にて、過去の恋人を回想するシーンに「サーファー」を情景のひとつとして描いています。
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その日の午後、俺はひとり、葉山の海に来ていた。
夏には賑わいを見せるこのビーチも、風が吹きすさぶ真冬には人もまばらだ。砂の感触を足裏で感じながら、この時期の海の色もいいもんだな、と、潮風に吹かれていた。
遠くに子犬と遊んでいる子供たちが見える。手を繋いで浜辺をゆっくりと歩く老夫婦の姿も見える。波をバックに、ジャンプした瞬間の写真をカメラに収めようとしているカップルたちの姿もあった。
雲ひとつない、鈍色を飛び交うトンビたち。大波に乗ろうと、果敢に荒れた海へと挑むサーファー。
見ているだけで、身体が震えた。
『メニー・クラシック・モーメンツ』第8章:霊園にて より抜粋
もうひとつ『Many Classic Moments』といえば…「globe」を思い浮かべる、という方も、少なくないのではないでしょうか。
小室哲哉さん、マーク・パンサーさん、KEIKOさんの御三方による音楽ユニット「globe」が2002年にリリースした26枚目のシングル、それが『Many Classic Moments』でした。
トリビュート・アルバム『#globe20th -SPECIAL COVER BEST-』では「浜崎あゆみ」さんも、この曲のカバーをされていますね。浜崎さんを通じてこの曲の存在を知ったという方もいらっしゃることでしょう。
globeはヒットナンバーが多いため、華やかなイメージを持たれている方もたくさんいらっしゃると思われますが、歌詞の内容やシングル化されていない曲にも注目してみると、これまた切ない曲ばかりなんですね。吊り橋を渡るように、心許なく、覚束なく、ギリギリのところで生きている人間やその模様を描いた作品の多さに驚かされます…。でも、必ずしも悲観的というわけでもない。辛いし、悲しいし、苦しくて、泣きたいけれども、それでもなんとか前を向いて、弱虫ながらも生きていく。
そんな、良い意味での「意地」のようなものが、楽曲の一つひとつに宿っているような気がします(小室さんの作品って、そういう雰囲気の曲が多いかも…)。
そのエッセンスが最も際立った楽曲というのが『Many Classic Moments』であると、私は考えています。globeは捨て曲ナシの名曲揃いですが、その中でもこの曲だけは「別格」で、カテゴライズできない、唯一無二の存在のように思えてなりません。
こういうのを「神曲」というのでしょうか?
梶の初小説『メニー・クラシック・モーメンツ ~ Many Classic Moments ~』は、globeのこのマスターピースを、私なりに「インタープリテーション(解釈)」した作品とも言えます。
globeが好きな方々に " ファン目線 ” で是非読んでいただけたらな…、という想いを持っていたりなんかもします(ちょっと怖い気もしますが…)。
そして、何を隠そう、私「梶モード」も「globe」のことが、めちゃくちゃ大好きな人間なのですよ(あ、言っちゃった…。バレてたかな??)^^
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ちなみに、上述したカラパナのベーシストの「佐野氏」は、なんと、globeのセカンド・アルバム『FACES PLACES』のレコーディングにも参加されているそうですよ。
なんだか胸の奥がくすぐったくなるような、不思議で素敵で温かな「縁」を感じますね~^^
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タイトルにまつわる ” 裏話 ” は以上となります。
お時間がございましたら、ぜひ、ふたつの『Many Classic Moments』が見え隠れする、梶作品を覗いていってもらえると嬉しいです^^