目指せシューシャイナー!革靴のお手入れ本格編
はじめに
前回の投稿から間が空いてしまいましたが、今回はお手入れ編の第3弾として、本格的なお手入れの方法について書きたいと思います。
お手入れ編を通じてお伝えしているのは、とにもかくにも靴に重要なのは「うるおい」です。繰り返しになりますが、革は元々油分を含んでいるものの、使用に際し徐々に油分が抜けていき、カサカサになってしまいます。そうするとひび割れや型崩れにつながってしまいますので、定期的に栄養を補給してあげることが大切です。
個人的に、革の手入れって人のお肌の手入れと近いと思うんです。例えば、バスタイムに一日の汚れを落として、化粧水や乳液など基礎化粧品で保湿し、たまにパックやエステでお肌を整え、またお化粧をする。同列に語るなんて失礼な、と感じる方がいらっしゃったらすいません、ただ革好きとして革の手入れを日々行っていると、やっぱり似てるなと。そりゃそうですよね、革も元々動物の皮膚だったんですから。
というわけで、今回は人のお肌のお手入れの流れを参考に、本格的な革の手入れ方法についてご紹介したいと思います。今回磨いていくのはSantoniのホールカット。この子もほんとになめらかで柔らかくてエロくて最高なんです、、、今度記事にします、、、♡
①まずは汚れを落としましょう
兎にも角にも、まずは表面の汚れや古いクリーム・ワックスを落とさなければ、その上にクリームやワックスを塗っても汚れに蓋をすることになってしまいます。そのため、まずはこれらを取り払う必要があります。
私が今使っているのは「R&D社」の「M.モゥブレィ」というブランドの「ステインリムーバー」という商品です。水性で革への負担が小さく、300mlで約2,000円(大体50~60回分くらいだと思います)とコスパもいいので重宝しています(詰め替え用だと3,000円ちょっとです)。
ステインリムーバーを使った手入れ工程は
a. 片足ごとに行う(適度にリムーバーを浸透させるため)
b. 一回目の塗布はリムーバーを浸透させる
c. 二回目の塗布で浮いた汚れをふき取る
といった具合になります。二回目は必ずしも行う必要はなく、汚れが気になる時だけでも結構です。
まずはこのステインリムーバーを布(私はネル生地を使ってます)に一円玉大の大きさに取り、革の表面を滑らせるように磨いていきます。軽く滑らせる程度でしっかり浸透していきますので、ゴシゴシと擦り付ける必要はありません。軽く全体にリムーバーを塗布したら、もう片方の靴も行いましょう。
片方の靴に塗布している間に先にやった靴のリムーバーが浸透しているので、布のきれいな面で再度リムーバーを取り、全体に塗布していきましょう。二回目は汚れを取ることが主目的ですが、ここでもゴシゴシと布を充てる必要はありません。革に負担がかかってしまいますので。
リムーバーで汚れや古いクリームを取り除いた状態の靴がこちらになります。
元々あった艶がなくなり、いわばお風呂上がりの人の肌、といったところでしょうか。このまま体をふいて寝てしまうと乾燥してしまうので、次は保湿をしていきましょう!
②保湿をしましょう
私が普段使っているクリームは、アベル社の「SAPHIR NOIR」というブランドの「クレム1925」という製品です。とにかく塗布後の艶・質感・色味が美しく、伸びもよく使いやすいため愛用しています。カラーバリエーションは13種で、今回は「ブラウン」と使用しています。
クリームを塗る際、指で塗る派とペネトレイトブラシなどブラシで塗る派で分かれますが、以前日本でアベル社の正式日本総販売元である㈱ルボウの社員の方にどちらで塗布すべきかお伺いしたところ、「好みの問題と考えて結構ですよ」と仰っていたので、お好きな方で結構かと。私は均一に塗布したいのでペネトレイトブラシを使っております(先述の「M.モゥブレィ」のブラシです)。
靴全体にクリームを塗りこんでいくのですが、先ほども述べた通り、クレム1925は大変伸びがいいので塗布の際に指ないしブラシに取るのはほんの僅かで結構かと。この時、履き皺がついている個所やトゥ・側面などダメージがかかりやすい箇所には気持ち多めにクリームを塗りこんでいきます。
クリームを塗布した後は、豚毛ブラシでなじませていきます。前回の記事では馬毛ブラシを使っておりましたが、今回クリームをなじませる際は豚毛のブラシを使います。豚毛の特徴として、適度な硬さからクリームの塗布や艶出しに効果なためです。私は「コロンブス社」の「ジャーマンブラシ」を使っております。
ちなみに、クリームをなじませるという役割から、豚毛ブラシにはクリームが移ってしまいます。ただこれはブラシにとって良いこと(靴好きの中にはこれを「ブラシが育つ」と表現する方もいます)ですので、洗い落としたりする必要はないのですが、黒用・茶用など色ごとにブラシは使い分けた方が良いと思います。
さて、ブラシを使ってクリームをなじませたら、ネル生地などの布で余分なクリームをふき取りましょう。布のきれいな面で靴の表面を軽く磨いてください。意外と余分なクリームがふき取れて驚かれるかもしれません笑
いや~~~すっかり艶も戻ってきれいになりました!!ワックスがなくても美しいですね。さすがクレム1925。ですが、今回はワックスを使った鏡面仕上げまで行っていきたいと思います。
③もっときれいにしてあげましょう
ハイシャイン、鏡面仕上げ、鏡面磨き・・・呼び方はいろいろありますが、ワックスを用いて靴を鏡のように光らせる工程のことを指します。靴のお手入れを普段からされる方でも、ちょっとハードルが高いと感じる方もいらっしゃるかもしれません。ですが、その方法は意外とシンプルです。
この場では鏡面仕上げと呼称しましょう。その工程は以下の通りです。
a. ワックスを指に取り、鏡面仕上げをしたい箇所に塗る
b. ワックスを乗せた靴の表面に水滴をたらし、磨く
c. aワックスを塗る→b水をたらし、磨くを繰り返す
d. 水で磨き上げる
私が使っているのは先ほども登場したアベル社の「SAPHIR NOIR」というブランドの「ビーズワックスポリッシュ」です。特徴はなんといっても「輝きだすまでのスピード」です。これまでいくつかのワックスを試してきましたが、特にこのビーズワックスポリッシュは輝かせやすいです。2、3度ワックス→水磨きをしただけで靴が輝きだすので、初めて使われる方は絶対驚かれるはずです!笑
上のa~dの工程ごとに、いくつかポイントをご紹介します。
【aの工程】
・ワックスを塗る際は、指先にワックスを乗せるように取ります。それを鏡面仕上げしたい箇所にくるくると円を描くように塗っていきます。
・一足ずつ交互に、3度ほどワックスを塗りましょう。初めにワックスを乗せておくと、あらかじめワックスが乗った状態で磨きに入れるので鏡面の層が作りやすくなります。
【bの工程】
・ワックスをネル生地に取り、a同様円を描くように塗る→指に水を取り、革の表面に2滴ほどたらす→ネル生地で円を描くように磨くを繰り返します。
・ワックスを塗るときも水で磨くときも、既に革に乗ったワックスを取ってしまわないよう、優しく優しく塗って磨いてください。
【Dの工程】
・納得のいく輝きになったら、最後にネル生地のきれいな箇所を水で濡らし、磨き上げます。
・磨く際は円を描くのではなく、縦にシュシュシュと表面を研ぐように(優しく!!!)磨いてください。
美しい、、、なんて美しいんだ、、、正直私はまだまだ鏡面仕上げへたくそなので皆様にお見せするのも恥ずかしいのですが、それでもある程度まで輝きをもたらすビーズワックスほんとすごい。
最後に
さて、今回は以上になります。正直実際にどうやって手を動かすかは動画の方が絶対に分かりやすいので、私が使っている道具や工程の紹介になりました。特に鏡面仕上げはYou○ubeで靴磨き芸人の奥野さんはじめ、いろんな方のやり方を参考にしたり、実際にシューシャイナーの方に靴をお預けして、目の前でその技術を見たりしてちょっとずつちょっとずつコツをつかんできました。
やっぱり、靴がきれいだと履きたくなるし、見せたくなるし、歩きたくなると思うんですよね。そしてそうやっていっぱい履いていっぱい一緒に過ごすと愛着もわいて、もっと手入れしよう、大事にしようって思えると思うんですよね。そんな思いを抱いてくれる人が一人でも増えますように。
それでは、というわけで、今日はこんな具合で。