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一回3分!革靴のお手入れ基本編


革の理想状態を保つためには①

 さて、いよいよ靴のお手入れ方法についてご紹介いたします。前回の記事でお伝えしたことを一言でいうと、「靴のうるおいを保ちましよう」ということです。

 では、うるおいを保つために必要なことは何か。ばっと思い浮かぶのは「乳化性クリームなどを塗り込むこと」でしよう。ですが、履くたび履くたびにクリームを塗るの、大変ですよね?

 結論から申しますと、靴を履くたびにクリームを塗る必要はありません。前回の記事でも少し触れたように、革は元々油分を含んでおり、なめしの過程でも油分などを獲得しているため、頻繁にクリームを塗布する必要がないのです。クリーム塗布の目安として、よく「一か月に一回塗ればいい」といいますが、これは大体3足の靴で一週間回すと、週に2回=月に8 ~ 10回履くことになるため、クリームによるうるおい補給の目安とされているためです。そのため、例えば週に1回しか履かない靴なら、2 か月に一回でも十分ということです(私は2019年8月時点で9足持っているので、1足につき2 ~ 3か月の頻度が目安になります)。

革の理想状態を保つためには②

 「じゃあ、履くたびのお手入れはしなくていいのか!」とお思いの方、そういうわけでもないんです、、、「靴が一日に受けるダメージ」はどの程度か、考えてみましよう。8時に家を出て19時に帰ってくると考えたとき、約半日靴を履いていることになります。この間、靴は①外気や日光に当てられ②ほこりが付着し③コップー杯分の汗を吸収し④履き皺が刻まれます。これらを月に1回のクリーム塗布でケアするのは不可能です。そこで、「①~④のダメージに対する日常的なケア方法」を書かせていただきます。

メイン:日常的なケア方法 

 ①および②は、馬毛ブラシでブラッシングをしましょう。ごしごし・くまなくではなく、「表面のほこりを払う程度で、全体を1 ~ 2分程度」でよいです。プラッシングによって、靴の表面に乗った細かいほこりが取り除かれ、革に艶が戻ります。余裕がある方はネル生地などの布で「乾拭き(こちらも1分程度で十分です)」をかけると、より艶が増すかと思います。以下に私が使用している物をご紹介いたしますので、ご参考までにご覧下さい。

 ③は、ブラッシングのあと「一晩風通しのいいところに靴を放置」してください。革には人の肌と同じく微細な毛穴があり、足から生じた汗であれば乾くかと思います。

 ④一晩乾かしたら、「シューツリーを靴にいれ、靴棚にしまいましよう」。履き皺が延ばされ、ひび割れ等を予防し、型崩れを防止することができます。なお、雨などでかなり濡れてしまった場合は、乾燥材や新聞紙をこまめに交換しながら乾燥を促し、なるべく早めに乾燥させシューツリーを入れるようにしましよう。シューツリーを入れず1、2日放置して乾かそうとすると、乾燥し過ぎで皺やひび割れの原因になります。シューツリーも、私が使用している品を以下に載せさせていただきます。

 いかがでしよう。靴の日常的なお手入れで私たちが実際に手を動かすのは、ブラッシングの1 ~2分のみでいいんです。 あとは革自体のカで状態を保っことが可能です。 私自身、これと定期的なクリーム塗布で全ての靴に大きなトラブルなく気持ちよく履けています。

道具のご紹介

 先ほど、お手人れ道具として「馬毛ブラシ」「シューツリー」というものをご紹介しました。これらがどういった用品なのかを改めてまとめさせていただき、皆様のご参考になればと思います。
 まず、馬毛ブラシはその名の通り馬の毛(ほとんどは尾毛)を用いたブラシです。特徴として、毛が細く柔らかいので、革に負担をかけずブラッシングをすることができます。日ごろからブラッシングをすることで、履いているだけでは気づかない靴の異常(傷やソールのすり減りなど)に気づくきっかけにもなります。100円ショップにも売っていますし、ネットで探せば様々な価格帯のブラシが出てくると思いますので、レビュー等を見ながら探されるのもいいかもしれませんね。私が使っているのは先ほど上でもご紹介した「Collonill (コロニル)」というドイツの会社のブラシで、価格はAmazonで1300円弱(2019年9月1日現在)となっております。大きさが程よく、3年ほど使っていますが抜け毛もほとんどないため、コスパのよい製品だなという印象です。

 次にシューツリーについて。シューツリーとは足の形状に似せた靴の型崩れ防止用の製品です。木製とプラスチック製がありますが、個人的には余計な水分はカビや乾燥、においの元になるため、吸水性のある木製のシューツリーをおすすめします。私は2 , 000円~3 , 000円のいろいろなシューツリーをAmazonで買って試しましたが、あまり効果の違いがわかりませんでした、、、靴の大きさと合っていれば、あとは好みの形のものを買われるので良いかと思います。私は最近は「Collonill (コロニル)」の「アロマティックシダーシューツリー」を買って使っております。

おわりに

 靴に限らず、道具は手入れをすればするほどきれいになります。時間がたてばたつほど表情は移ろい、成長していきます。自分がかけた時間や労力が革靴の表情に現れると、さらに愛着がわくものです。

 私が靴好き・手入れ好きになったのは、小学校から大学まで野球を続ける中で、グローブやスパイクといった革製品に触れ、大事にする機会に恵まれたからです。ですから、革靴のお手入れも初めから苦には感じませんでした。やり方がよくわからん、という方は簡単な方法から始めていただき、段々と色々なやり方を覚えていく、というステップを踏んでいただければな、と思います。

 前回の記事でも少し触れましたが、革は牛などの動物からもたらされ、長年の技術と時間をかけて生み出されるものです。一人一人が動物や職人さんへのリスペクトを持ち、何より革靴を「素敵だな」と思っていただけるきっかけになれば幸いです。

というわけで、今日はこんな具合で。

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