見出し画像

いつまでも見ていられる造形美!芸術品のようなイタリア靴・Santoni

はじめに

 誰しも 「憧れの〇〇」 を胸に抱いた経験をお持ちかと思います。憧れの車、憧れのバッグ、憧れの時計・ ・ ・いいですよね、 憧れを手に入れるために努力することはとても健全な営みだと思っています。「豊かさ」は人それぞれあれど、憧れを手にすることで得られる豊かさは、共感できる方も多いのではないでしようか。


 さて、靴が大好きな私はやはり「憧れの靴」があります。イギリス靴ならEdwardGreenや Gaziano & Girling、フランス靴ならJ.M.Weston、Berluti、日本靴ならYohei Fukuda。定番どころばかりで恐縮ですが、歴史と技術と履き手から愛があるからこそ、これらの靴は「知る人ぞ知る」名靴と評されるのだと思っております。
(もちろんビスポークにもとてもとても憧れはありますが、今回は既成靴についてお話できればと思います。)

 「おいおいイタリア靴はどこにいったんだ」ということで、当然イタリア靴にも憧れのメーカーはいくつかあります。そのうちの一つが今回ご紹介するSantoniです。上で挙げたメーカーと比べると、やや価格帯は下ですが、とても思い入れのあるメーカーなんです。私がまだ靴ど素人のころ、何の気なしに有楽町の阪急メンズ館地下一階に降り立ち、メンズ靴のコーナー(の中の左の方のTHE・高級靴のところではなく右のシューケア用品売り場の近くの方)でひときわ美しさを放っていたSantoniの靴に心奪われたことは昨日のことのように思い起こされます。

 そんな思い出を抱きつつ、よく利用している中古革靴の通販サイトを眺めていると、

出会ってしまいました。それはそれは美しいSantoniのホールカットに。

 即決で注文しました。ええ。だって状態めちゃくちゃいいのに2万円そこそこでSantoniが売られてたんですもん。そりや買いますよ(私中古にはあまり抵抗ない人種でして)。

Santoniというメーカー

 というわけで本題に。以前もARTIOLIというメーカーの靴をご紹介しましたが、実はイタリア靴の歴史は浅く、産業として発展したのは第二次世界大戦の後なのです(もう少し前に創業したメーカーはいくつかありますが)。17世紀から既成靴生産の歴史を持つイギリスなどと比べるとまだまだ「若い」イタリア靴ですが、だからこそ多くの人に「カッコイイ!」と思われるのかもしれませんね。今回ご紹介するSantoniもその産声を上げたのは1975年。ブランドコンセプトの「Tradition and innovation」と純粋なMade in Italyに象徴されるクラフトマン・シップは、その製品を見るだけで充分伝わることでしょう。芸術の域まで昇華された技術に引き込まれた靴好きも多いのではないでしょうか。

 数ある靴の製法の中でも、やはりホールカットはメーカーの技術力が顕著に表れるとされています。そのゆえんは「最小限のパーツ」かつ「最低限の縫い合わせ」で作られるためです。ホールカットの靴を作る際は、一枚の革をぐるりと木型にはめ、唯一踵部のみで縫い合わせを行います。このため、木型や縫製技術の良し悪しが靴そのものに如実に表れるのです。

実際履いてみてどうか

 こんだけ煽っておいて実際どうなんだというところですが、抜群ですね、ええ。まずとにかく足にはまりました。当然木型やメーカーによってサイズ感や形はそれぞれ違いますが、以前ARTIOLIの記事でも触れた通り、日本人ってイタリア靴の形、けっこう合うと思います。私は右足の小指の付け根が当たってよく痛くなるタイプの人間なのですが、革が柔らかいこともありSantoniの靴を履いて痛くなったことがありません。
 また、私の持っている靴の中で一番軽いのがこの靴です(ローファー除く)。Santoniだからなのか、ホールカットだからなのか、両方なのか、一概には言えませんが、変に「履いている感」がなく、一日履いた後の疲労感も他の靴と比べると軽い印象です。
 あとはスーツやビジネスカジュアルに合わせたときに上品だなと、手前味噌ですが。とにかくデザインがシンプルなので、少々色は明るいですが(自分としては)違和感なく合わせられるなあと感じております。

 革靴って一生見てられるんですよね・・・見てられません?なんでこんなそれぞれ違うのにみんな美しいんですかね。革をもたらす動物も、革を作るタンナーさんも、こんな美しい作品を職人さんもみんな尊敬とありがとうございますという気持ちでいっぱいです。私は。いつも。今日も靴好き仲間が一人でも増えることを祈って、、、

 というわけで、今日はこんな具合で。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?