『事件』が起こるまで支援を進めることが出来ない利用者
どーもカイゾウ(@kaizo777)です。
今回は「『事件』が起こるまで支援を進めることが出来ない利用者」をテーマに書いてみたいと思います。
利用者本人は介護サービスを受け入れる気持ちがなく、家族もそれを利用者に対して強く言えないケース。
私が現在担当させて頂いている利用者の中にも、過去担当させて頂いていた利用者にも少なからずいます。
利用者本人は自分に関わるのは「家族」以外認めたくない、他の人に家に上がってほしくない、デイサービスに通うなんてもっての外…。
家族も介護負担はあるけど、利用者本人とのこれまでのパワーバランスで強く言うことが出来ない。
そんな時、ケアマネジャー(以下:ケアマネ)はどう立ち回れば良いのか?
このようなケースに私がやっていることを書いてみたいと思います。
口うるさくならないようにギリギリを責める
このようなケースの場合、利用者は家族どころかケアマネの言うことにも耳を傾ける意識がありません。
ケアマネが来るたびに「デイサービスに行ってみては?」「ご家族にも少し休息を取って貰いましょう」などと話をすれば、利用者は「ケアマネはうるさい。もう来ないで欲しい」となる可能性もあります。
家族は本人に強く言えないとはいえ、負担を訴えたり、周囲から見ても負担がありながらも「仕方ない」と受け入れている場合が少なくないと感じます。
パワーバランスが「利用者>家族」となっているケースに多く見受けられるのが、利用者自身は「家族がやってくれて当たり前」と感じていることも少なくない。結果として「年だから仕方ない」と利用者自ら「自立」からも遠ざかっていく…。
この先に見える未来は、利用者の機能低下が進み続けて介護量が増して家族の負担がどんどん大きくなっていくというもの。
ケアマネはその未来が見えるので、利用者本人にも口うるさく言いたくなりますが、それは本人の意思に反しているのでまず受け入れて頂けません。
とは言え何も言わないのも違う。
ここでケアマネが出来ることは二つ。
利用者の信頼を得る
必要なことは伝え続ける
だと私は思います。
「ケアマネは口うるさい」と利用者に思われない為に信頼を得る努力をし、その上で必要なことは伝え続ける。この段階で出来ることはこれだけ…。
『事件』は必ず起こる…そのタイミングを見計らって
このようなケースの場合、大なり小なり必ずそう遠くない未来に「事件」は起こります。
例えば「入院」。転倒骨折は最悪のパターンですが、体調を崩して入院する場合も少なくありません。
他には「今まで出来ていたことが出来なくなる」であったり、「家族が体調を崩す」などもあります。
そうなる前に何とかしたいと考えるのがケアマネですが、正直「そうならないと分からない」利用者やご家族もいます。
事件が起きた時こそ、利用者の支援を整える大きな機会。
これを見逃さずに如何に迅速にサービス調整に繋げられるかは、それまでにどの程度信頼を得られているかと必要なことを伝え続けられたかで変わってくると思います。
事件が起きた時に初めて利用者やご家族が「今のままではマズイ」と気づくことが多いです。
それまでにケアマネが出来ることは上記2つ以外に「大きな事件ではないことを祈る」だけ…。非常にもどかしいです。
調整は利用者・家族が希望してから
「事件を待つ」というのはちょっと…と思われる方もいると思います。
でも、もし利用者・家族をケアマネがあの手この手で説得してサービスを調整した場合、それを利用者・家族が心から望んでいなかった時に想定できる流れは「ケアマネが言ったから」です。
ケアマネの思惑通り介護サービスを利用して頂くことで状況が改善すればいいのですが、例え改善してもそれを利用者・家族が「改善した」と感じなければ「ケアマネの言うとおりにしたらこうなった」とクレームに繋がる可能性もあります。
あくまでケアマネが出来ることは「介護サービス」等を利用することで想定できる未来を伝え続けること。
その結果事件が起きる前に利用者・家族が心変わりして、利用者自らがサービス利用を希望されるか、ご家族がその未来に希望を持って「行動に移して」頂くほかありません。
この記事を書いている今日もまさにそのような利用者・家族と面談をしてきました。
本人は断固としてサービス利用拒否。ご家族はサービス利用することのメリットは強く感じているが本人の拒否の強さに諦めている。
今日私が本人に伝えたのは今のまま進んだ未来予想とご家族も支援者(ケアマネや現在利用しているサービス事業所)もご本人に「今の調子を長く維持して欲しい気持ちで言っている」ということ。
認知症のある方なので、話の理解は出来てはいませんが気持ちだけは少し伝わったように感じています。
ケアマネの支援は積み重ねです。
一朝一夕でことが進むことはほとんどありません。
もどかしさを常に抱えながらそれでも考え続ける。
これが私のスタンスです。どなたかの参考になれば幸いです。
今日も最後まで読んで頂いてありがとうございました。