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「あんぽ柿」


知事選に際し、外野から─

メディアの在り方が問われる知事選でした。
「義」についてSNSを基準とし判断した若年層。
サインまで求める様子を見て、「地下鉄サリン事件」後の中核にいる人物があたかもスター扱いされ、ファンクラブまで創設された件を思い出す。
殺人鬼・酒鬼薔薇聖斗にしても然り、熱烈な崇拝者が存在した。
確かにアンチの心理とファンの心理は表裏一体に似通っている。

メディアは法規制の許、中立的なスタンスからエビデンスを示しながら明確な事実を淡々と報じるが、規制の無いSNSでは誰もが見解や意見をフリーに発信出来る。
拡散も自由であり例え其れ等が偏ったものであって支持される絶対が多数であれば「義」を呈してしまう。

詰まり、どれほどの悪行に染まった人間であれ支持されさえすればヒーローになれてしまうのだ。

この度当選した知事は、明らかに人一人を追い詰め自死に至らせた。
その事実は変わらない。
当選し同職場に在する職員にも「辞めたい」と葛藤している人がいる。
「信」に値せぬトップの許で執務する不安に駆られる人のいる現実。

例えば自身の家族、友人がその職務に就いていてその内情に精通していたなら如何だろうか。

「風聞」はあくまで客観であり「事実」では無い。
赤は赤であり黒は黒でしか無い。

市政、県政、国政に「犠牲」があってはならない。
「戦さ」では無いからだ。
何よりも尊ぶべき掛け替えのない「生命」が潰えてしまった現実のある県政─。
「亡くなった人の理由は、気持ちは分からない」胸を張りそう宣える人物像。
そしてそれを「風聞」に踊らされ再選させてしまう畏怖。

人は悍ましく恐ろしい。

私の友人が「何が真実か分からない。でもわたしはSNSを信じる」そう言った。
「そう。なら僕は君と縁を切らして頂く」即座にそう応えた。

親友がいた─
彼は力を持つ人間に追い込まれリストラの形で解雇され自死を選んだ。
弔いに伺いお香典返しに頂き、泣きながら食べた、あんぽ柿の味が忘れられない。
─お母様の泣き顔を生涯、忘れない。

知事は力を振りかざした。
間違いなく人一人を自死に追い込む程の力をかざしてね。
親友の時と同じだよ。
君が義の判別の及ばぬ若者たちと同じ見解を持つとは残念だよ。
僕は、力を振りかざす人間が許せない。
欲にまみれ、名誉欲や自己顕示欲を誇示する人間がね。

お別れを告げた人はカウンセリングの仕事をしている。
君は何を思い、何のために人をサポートし幸せのアドバイスをする仕事をしているのだろう…
人は幸せになるために生きてる。生かされてる。だが最低限、生きなければその道は開かれない。
知事は人一人のその道を閉ざした。
その振り分けもつかないで、人の気持ちのサポートが出来るのかい?
僕と君はおそらく根幹に持つ人間としての考え方が違うんだと思う。
今気づいたよ。君のサポートには「愛」がなかったことに。

そう告げてお別れした─

こうして記しながら、僕にも学びがある。
それは憤りからは何も生まれないと言うこと。
暴言や暴力は違う。

全てを生み出すのは「愛」だと言うこと。
真実、事実は一つ切りだと言うこと。

自身が拙く愚かだが、僕はせめて根幹にある愛を発信して行きたい─

人は変わらない。
愚行は必ずまた繰り返される。
真実はいつか、必ず捲り返される─

  よしの かい

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