軽い気持ちで映画『スリー・ビルボード』を観たら色んな意味でとんでもなかったという感想
広告看板って、たまに凄いやつあるよね。
福岡空港、バカでかい看板並んでる。
※これはネタバレを含まない感想記事なので考察も何もただ直感的に考えた事を書き殴るだけなので宜しくお願い致します✌
蝉も喧しく鳴き喚き、死ぬほど暑い夏がやってきましたが皆さんいかがお過ごしでしょうか。
私はこんなめちゃんこ暑い外に出る勇気がないので、外出が億劫になってるよ。
今回紹介するのは『スリー・ビルボード』
この作品を観ようと思ったのも、私が好きな俳優ケイレブ・ランドリー・ジョーンズ君が出演してるからに決まっているのですが、
でもこの映画のタイトル自体は、2018年のアカデミー賞で主演女優賞や助演男優賞等に選ばれた事でテレビやSNSを通じて私も何となく知っていたのでした。
まずこの作品のあらすじを簡単に説明するよ。
ミルドレッドという女性が、郊外のはずれにある廃れた三つの大きな看板を見て、とある事を実行する。
それは広告代理店に行って、看板広告を出す事。その内容は殺された娘の事件を訴えるものだった。ミルドレッドの娘は襲われた挙句焼き殺されてしまったが、地元の警察は証拠不十分で犯人を特定できずにいた。
おまけにその警察官たちと言ったら、普段の職務も全うしない、気だるい感じである。
そんな彼女は広告看板を出す事で何か事件が動くきっかけになる事を狙ったのだった。
一つ目の看板には
RAPED WHILE DYING
(娘はレイプされて殺された)
二つ目の看板には
AND STILL NO ARRESTS?
(まだ犯人は捕まらないの?)
三つ目の看板には
HOW COME, CHIEF WILLOUGHBY?
(どうして、ウィロビー署長?)
赤い背景に黒文字でシンプルに描かれた三つの言葉。この看板をきっかけにミルドレッドを始め人々に変化が起こり始める。
娘を亡くし悲しみに暮れるだけじゃない母親の行動力
この母親、ミルドレッドを演じたのはフランシス・マクドーマンドですがアカデミー賞ではこの映画で主演女優賞に選ばれました👏
とにかくこの母親が凄い。強い。たくましい。
自分の娘が殺された、しかもレイプされたと堂々と看板に書いて訴えるという行動。おまけに警察署長の名前まで。
そんな彼女の行動に町の人々や、彼女の息子に別れた元夫も理解を示しません。
しかし折れないミルドレッド。おまけに「そこまでする?!」という大胆な事まで。
彼女があまりにも行き過ぎているので、ちょっと観ているこちらも「あちゃ〜」ってなるんですけど、だけどただ悲しむだけではなく堂々とめげずに立ち向かっていく姿は少し泣けくる。
ジーンズのつなぎ姿に、頭にはバンダナ。
ミルドレッドという女性を象徴する服装になっています。
彼女のキャラというのがこれまた過激な言葉を話すのですが、(Fのワードは当たり前)
息子をからかう同級生にも問答無用で蹴りいれるし、看板を報道するキャスターの姉ちゃんにもFの用語盛りだくさんからの「ビッチ」
まじでこの母ちゃんすげーよ。
それぞれのキャラクターに物語がある
実は主人公はこのミルドレッドだけではない!
ウィロビー署長と、同じく警察官でだらしないダメ男のディクソンという人物にもそれぞれ焦点を当てたストーリーがあります。
ネタバレになる事は書きませんが、とある人物の行動をきっかけに映画の中盤〜終盤は怒涛の展開になります。
それをきっかけに他のキャラクターたちの生活が大きく変わるのです。もーーめちゃくちゃしんどい事もあるけど、目が離せない。
個人的名シーン(?)はケイレブ君演じる看板の広告代理店の青年、レッドが「これでもか?!」というくらい、とある人物にボコボコにされるんですけど、ケイレブ君まーた怪我人役だよ。
殴られても! 窓から落とされても! 病院着でも! その姿は美しい!
アンニュイ系俳優のケイレブ・ランドリー・ジョーンズを応援しています。推しです。宜しくお願いします。彼を観るためだけの映画が『アンチヴァイラル』っていうんですけど
………
話がズレたので戻します☺️
この映画で特に濃いキャラしているのが、先程説明したケイレブ君をボコった人物。だらしな〜い警察官がサム・ロックウェルが演じるディクソンです。
彼もまた同じアカデミー賞で助演男優賞に選ばれてます!!!!👏
サム・ロックウェルといえば私が前に紹介した『月に囚われた男』で主演していた俳優さんで、『グリーンマイル』や『チャーリーズ・エンジェル』等の有名映画にも出演しているよ。
このディクソンっていう男がこれまたミルドレッドと同じく、ぶっ飛んだ事をやらかしまくりなんですけど個人的にこのディクソンの物語にグッときました。というか1番の見所に感じた。
サム・ロックウェルの演技が本当に凄い。ディクソンというキャラに見事ハマっているな、と感じ。
他にも登場するキャラクター達には常に目が離せないのです。ちょい役だと思っていた彼が……彼女が……と、物語にアクセントを加えていきます。
というかこの映画自体のキャスティングがかな〜〜り評価されました。詳しくはwikiの評価のページを読もう!
実際にあった事件?
この映画、結構「実際にあった事件」を匂わせてくる台詞が多い。
『スリー・ビルボード』自体はもちろんフィクションですが、私が気付いた中でも取り上げられていたのは
・警官による黒人暴行事件
・教会で行われた性的な暴行事件
後で調べて知ったものだと、ミルドレッドの娘がレイプされて焼き殺された設定は、実際にあった事件と似ているそうです。
他にも同性愛者差別や人種差別、身体障がい者への差別的な発言もあります。そもそも汚い言葉がとにかく多い!
これが結構キツイんですけど、この作品を通じて実際にあった事件を風化させてはいけないというメッセージ、そして差別に対する社会的風刺を感じさせられるのでした。
この映画、本当凄いぞ。
「怒りは怒りを来す」の台詞にドキっとする
本編の終盤でこの台詞が出てくるんですが、かなり刺さりました。
この映画の登場人物がみーんなこの「怒り」によって真っ直ぐに道を歩けてないんですよね。
最初は犯人を探すミステリー的な物語だと思っていましたが、そうではなく人の感情をメインに描かれている作品でした。
「怒りは怒りを呼ぶ」という言葉もあるけれど、どんなに辛い事や悲しい事、理不尽な事があったとして、怒りだけでは何も生まれない。むしろ負の連鎖。怒りを怒りでぶつけても、またそれに対する怒りが生まれ……と、結局また新たな怒りを生んじゃうんですよね。
今の世の中本当に大変な事だらけで、SNSでは毎日国民の怒りのメッセージが上がっている。
私も本当に今の状況が苦しくて仕方ない。
政府のやり方が気に食わない。
この怒りをどこにぶつければいいのかわからない。
SNSで発信して一つの声が繋がって大きな声になる事もあります。だけどその使い方をもっと上手に使える方法があればいいのになと思うのです。
怒りや負の感情ばかりを取り上げて炎上続きの年だけど、もっと良い情報を上げていけないのか?
悪い事が目立つのも仕方ないけれど、視点を変えて別の言い方にするなり表現にするなりしたらいいのになぁと。
すいません、上手く説明できてないですが笑
でも何か今の状況を振り返させられる台詞でした。
色んな意味でどえらい映画だぞ〜〜!
言ってしまえばかなり過激な映画でした。
だけど凄い、本当に凄い映画です。
犯人は誰なのか? 事件の真相は?
ネタバレしない記事なので触れませんが、ただこれに関しては私自身少しモヤモヤが残る部分もありましたが!!!!!!!!
しかしこの映画で見て欲しいのは、そこではないのです。
そう、キャラクター達の生き様が見所!!!!
というかマジでよく出来てる映画です。ベタ褒めするやん、って思われるかもしれないけど良い演出してる。
本編は2時間近くあり、まあまあ長いですが飽きずその展開に釘付けになります。
観賞後に気づく発見も多く、是非とも観て考えて欲しい映画でした!
ではまた✌️