ミュージカル『GIRLFRIEND』観劇しました
きっかけはひとつの動画だった。
筆者である自分はいわゆるオタクであり、2.5次元舞台を中心に観劇している。その流れから、4人の若手俳優たちが出演している『ぼくたちのあそびば』(今後は『あそびば』と表記していく。)というYouTubeチャンネルの視聴者でもある。
また面白い動画がアップされたな……と思いつつ上記のサムネイルをタップした。宣伝や布教ではないが、もし少しでも気になりましたらチャンネルを見ることをお勧めいたします。(オタク特有の流れ)
サムネ左の4名があそびばのレギュラーメンバーであり、右側の3名が今回の動画のゲストである。自分が知っている俳優さんが吉高志音さん(MANKAI STAGE『A3!』 泉田莇役など)というのもあり少しワクワクしていた。あそびばの本編中に今回の本題である、ミュージカル『GIRLFRIEND』の宣伝があった。こちらの作品に出演するとのことで少し気になり、サイト等を調べ始めた。
そこから自分の6月の時間は早く流れて行った。
概要として
マシュー・スウィートの90年代を代表するCDアルバム「GIRLFRIEND」をベースに、二人の青年の甘酸っぱい「恋愛」を描く、ポップでロックなミュージカル!(サイトのintroductionより)
めちゃくちゃおもしろそうやないかいっ!!
触れたことのないものからへの興味はこういうところから始まるんだなと常々思う。
90年代のアメリカ(ネブラスカ州)という時代背景から、少しレトロな雰囲気も感じられるんだろうとイントロダクションやあらすじを見るだけでも面白そうだと心を躍らせていた。
また90年代の楽曲はいいものが多いと思う。正直自分は邦楽しかわからないが()90年代の邦楽は今の楽曲には出せない音がたくさんあって耳なじみもよい。当時の流行りなのかドライブで流しながら聞きたいと思える、ゆったりとしたBPMの曲も多い。そんな90年代の世界観に深く浸れそうな気がするなと妄想多めに観劇日を楽しみにしていた。
観劇
自分が観劇した回は6月28日。この日の出演者はウィル役:高橋健介さん、マイク役:吉高志音さん。理由は高橋さんの生でのお芝居を見たことがなかったのと、吉高さんの別作品以外でのお芝居を見てみたかったからである。
先に感想を述べるとするならば、とんでもない作品を見てしまったのかもしれない。これほど地方在住を恨んだことはない。もし関東に住んでいたならば。もし1週間前などに観劇をしていたら。確実にチケットを追加し、他キャストの組み合わせ含め連日観劇通いをしていただろう。たらればがつきない。それくらい素晴らしい舞台だった。
甘酸っぱいだけなんてものではない。1つのカセットテープから始まった甘酸っぱく、切なく、心がとてもワクワクする2人の青年の恋物語であった。
ここからは少しのネタバレと癖暴走と観劇後の脳内ショートにより、今まで以上のぐちゃぐちゃ駄文の感想でお送りいたします。
難しいんだろうけれど作中脚本販売してほしかったと切実に思う()
時系列ぐっちゃなのも許してください。
舞台上の構成はバックに生バンドが控えていて、その前で俳優さんたちがお芝居をするという形だった、舞台の真ん中には時計の長針のような大きなセットがあった。
バックバンドの楽曲に合わせて2人が高らかに歌う姿はまさに青春時代を生きる若者そのものだった。
歌いながらドライブをするシーン。歌いながらドライブするのってどうしてこんなにワクワクするんだろう。観劇している側もテンション爆上げで一緒にドライブしている気持ちになれた。窓をあけて身を乗り出しながら大声で叫ぶ。最高に楽しいよ。すっごく楽しかった。
脚本上でいいなと思ったのは、「愛してる」という言葉を終盤まで使わないでの想いの伝え方がいいなと思ったところ。情緒もないことを言ってしまうと「愛してる」って言ってしまえばそれで思いが伝わるじゃないですか。でも、相手の”ここが好きだ”とか、かっこいいよとか相手にだけにしか伝えてない思いを伝えていくことを積み重ねていくようなセリフが多くあり、ずっと胸がきゅうとなっていって心地よかった。仕草の触れ方とかもその要素があり、これが純愛ってやつよな……と一つ一つ噛みしめていた。
演出はウィルがマイクを度々カメラで映すシーンがあったのも印象的だった。
ウィルが見る世界はこんな感じなんだと客観的に見ることが出来て、そこに映るマイクはまさに映画の主人公。ひとつのミュージックビデオを見ているようだった。
あとこれも言いたい!!キスシーン。
3か所該当シーンがあったのだが、どれもとても神聖なものであった。
1度目。初めての。
なんかもう胸がいっぱいになった。単純に。ぶっちゃけ記憶も飛んでいると思う。頭が悪い感想しか出てこない己の語彙力のなさに絶望しつつも、こればっかりはこの言葉しか出てこなかった。
尊い。ただそれだけ。
この時間も相手もこの気持ちも僕らだけの大切なものだ。
2人の気持ちが初めて通じ合った感覚が空気から、お芝居から伝わってくるようだった。
音楽も何もなく2人がいる空間。これ以上ない演出だろう。
2度目。マイクの部屋で過ごす一夜で。顔が近づく速度が時がゆっくり流れていく感じがあり、そのあとの2人の表情が美術作品を見ているように神聖な空間であった。スモークがたかれていないはずなのにふんわりとした空気が流れていて、お互いの薄く照れた感じの嬉しい表情がとても幸せな気分になれた。お互いを見つめあうとろけた瞳。ほんのり薄く染まる頬。こんな神聖な空間をじっと見ていいのかとおもいつつ目が離せない素敵なシーンだった。
すみません。ここでまた手の話をさせてください✋
前記事を見たらお察しの通り筆者は手フェチである。
はい。今回もしっかりおてても見ておりました✋👀
特に自分が狂喜乱舞していたところは、お互いの手がお互いを触れるときの動きがなんというか、もう……はい。(あまり自分の思ったことを馬鹿正直に書くと自分の癖暴走が加速するので……)
相手に触れようとするところで、少し触れただけで割れてしまいそうなものを、本当に優しく大切に触れようとする仕草が切なく愛しいと思うシーンでした。
今この場所にはウィルとマイク、2人だけの世界。周りの環境に味方なんていない、お互いだけがわかりあえて心地よい空間ができている。観劇している自分の息すらわずらわしく思うほど。この2人の世界を邪魔をしてはいけないと涙もこらえながらその一心で息をせずに2人を見守っていました。(※観劇する際はしっかり呼吸してくださいね。筆者は特別な訓練を受けています。)
あと吉高さんおてて大きいな???高橋さんのお顔を軽く包めるくらいの大きさだったように見えてびっくりしました。
そして身長についても驚きが。吉高さんは別の舞台だともっとタッパのある俳優さんに囲まれていたりしていたので、高橋さんとの身長差にまたびっくり。(舞台観るまで高橋さんの方が高いと思っていた。)そういえば吉高さん180cmありましたわ…ヒェ…。ガタイもがっしりしていたりと色んな気づきを得ました。
ノースリーブ故に顕になった両腕もとても健康的で綺麗でした。美しい…。
高橋さんは華奢でとっても綺麗だったなと。腕についてのセリフで自身の腕を見る仕草がありましたが、まぁ長くて綺麗な両腕をお持ちで…。見とれておりました。腕に浮き出る血管すらも綺麗だった。
脱線がえぐい(キショい)ので戻りますね。
3度目。別れと共に。
あー……。どうしてこうなってしまうんだろうな。(五体投地)
メタイ話、作品には少しの悲劇は必要なのはわかるけれども、メタいことを思っていても。そこに表現されてしまえばつらい以上このことない。
マイクはこの土地を離れることがもう決まっていて、ウィルはこれが最後だから”愛してる”という気持ちを手紙で伝えようとした。しかしそれはマイクの友人にばらされるという残酷な結果に。
周りが茶々入れんじゃないよ!!!2人の神聖な空間を邪魔すんじゃねぇ!!💢((#゚Д゚))💢と、また一外野もほざいとりますけれども。
マイクとウィルのそれぞれの恐怖を感じ取れたシーンだなと思った。
マイクはカースト的にも上の存在で、自分が同性愛者というラベルはあってはならないと外面をかなり気にしていたと思う。
正直多数は陰口を言われたり、良からぬ噂を立てられるくらいなら、やましい部類に入るものは隠し通したいと思う。
そしてばれてしまった今、友人たちの反応をマイクは見ることができなかった。怖かったのだ。でもウィルと離れたくない。複数の恐怖がマイクを襲っていた。
ウィルはマイクと分かれる日が来るまで、とてもしんどい思いをしていたと思う。この街にマイクがいなくなることがわかっている。でも止めることは不可能。大学進学も引越しももう決まっていることなのだから。
この恋に区切りをつけるか否か、そんな中で起きてしまった手紙事件。マイクにキスされ強く抱きしめられる。抱きしめられている時マイクが見ることのできないマイクの友人の反応をウィルは見てしまった。ウィル自身も傷ついているのにさらに傷つくことが重なり、自身を抱きしめるマイクもまた傷ついていて……。ウィルの心はもうぐちゃぐちゃにつぶされていただろう。
最後のウィルの嘆きが全てを物語っているように見えた。
一緒にいたいけどここに居たくない。一緒に居たいけど自分を残して居なくなってしまう。そんな2人のすれ違いでこの恋は1度幕を閉じるのだった。
別れた2人。
マイクは大学での勉強をしていても捗っていない。ウィルのことが忘れられずに勉強に身が入らないんだろうと思った。
ウィルが最後の日に投げ捨てた自身のシャツをマイクが静かに懐かしむように、そして縋るように匂いを嗅いでいた所も印象的だ。衣類の匂いもそこまで長く持たない。ウィルの存在を忘れたくない一心でシャツに縋っていたんだなと思うと心が締め付けられる。
ウィルは地元のストアで働いていた。だけどこの時間に意味はあるのかと楽しかったあの日々を思い出しては忘れて生きていこうと言うふうに見えた。
この2人に幸せな未来が訪れることははないのか。
そしてエンディング。リンカン(リンカーン)で2人がまた再開して、一緒に歌っているところはとてもハッピーになれた。あの時の別れでつらい思いをしたけれど、このまま2人幸せに生きてくれと静かに願った。
と心置き無くキュンキュンできるのは今の時代だからこそなのだろうと思った。
あくまでこの舞台は90年代。今でこそLGBTQ+という考え方が世の中に広まりつつあるが、舞台時の世の中は同性愛者やゲイというだけで恐ろしいことに襲われてしまう時代であった。
そしてネブラスカ州という土地。現代でもアメリカ合衆国の代表的な農業州とされており、とても小さな町で都会と言えるほどではない地域。どちらかと言えば閉鎖的で、同性愛者ってことはすぐに広がるようなコミュニティであるだろう。
ウィルとマイクがお互いへの気持ちを恐る恐る確かめ合う姿は今思えばかなり物理的にも精神的にも命がけであったと思う。
ただただ一緒にいたいだけなのに。どうしてつらい思いをしなければならないのか。今の時代でもそんな思いになる方もいないわけではないと思うが、当時はもっと多くの方々がそんな境遇にあったと思うと複雑である。
実際に若者としてこの時代を生きていた親の話を聞いていても、いまだに偏見を持っているような感じがした。(身内を否定するわけではないが。)考え方はこれがメジャーなんだろうなと。
純粋に物語を楽しむ半分、セクシャリティや偏見、恋の難しさ等、とても考えさせられる作品であった。
一緒にいたいと願うだけ、小さな幸せをほしがることさえもとても難しいことなんだなと。
Liveパートはとっても楽しく盛り上がりました。(o🪄'▽')o🪄💗
劇中歌の中で1番大好きな楽曲は『We're the same』でしたね…。
『僕らは 同じだ』という歌詞がとても印象に残っており、マイクの奏でるアコースティックギターと2人の歌声のハーモニーがとても心地よかったです。
CD💿( ^ω^)……ほしいなぁ……。
いつでも待っておりますよ……。
とまぁこれはさておきまして、
関係各社さん方、素敵な作品をありがとうございました。
出演者
ウィル役 高橋健介さん
自分が見たことあったのが『ミュージカル 刀剣乱舞』の蜂須賀虎徹役と『アキはハルとごはんを食べたい』のハル役の2作品。『ぼくたちのあそびば』のYouTubeチャンネルの活動と、映像での観劇でしか経験がないため、生でお芝居を拝見するのは初めてであった。
率直な感想、とにかくかわいい17歳のウィルだなって思った。好きなことについて語っている時のキラキラした目の輝きやセリフの高揚感が特に印象的だった。本人の経歴もあって知的な要素もアクセントになってお芝居を見ていてとても面白かった。
だからこそ苦しみや悩みに直面するシーンのお芝居がとても切なく感じられた。人物の心の動きを丁寧に演じる方だなと思った。
他の作品でのお芝居も見てみたいですね。
マイク役 吉高志音さん
お芝居を拝見したのは『MANKAI STAGE A3!』の泉田莇役での観劇のみ。
他作品での役の印象から表情豊かな印象は少なめだったなので、今作を見た時かなり幅の広い俳優さんだと気づいた。
そして、大切なものに触れるときの仕草の表現をかなり細かく演じられている方だと思った。とても柔らかくてすごいと感心していた。
そして歌がうますぎる。高音の柔らかい歌声は本当にどうなっているのか。
ポテンシャルがかなり高い俳優さんだと思った。
バックバンドの皆様
作品の世界観に瞬間的に引き込まれる演奏でとても心地よかった。
コーラスもとてもきれいで切実に音源化してほしいと思った。
PVだけでも見てください……。
他にもゲネプロ映像がたくさんあがっておりますのでよろしければ。
最後に
長々と書いてきましたが、感想はこんな感じです。
これはもっといろんな方々に見てもらいたい作品だと思いました。
再演がもし行われたならば絶対見に行きたいですね。
切実にまた同じメンバーで演じていただきたい…。
素敵な作品を観劇できたこの6月は一生忘れられないだろうと思います。
当分はアルバムを永遠と聞いているんだろうなぁ。
本日は千秋楽だということで、無事に走り切れることを願っております。
ありがとうございました。
2024.7.3 かいわれ