チャレンジロードレース レポート その1
桜が事前に打ち合わせをしていたかのように咲き乱れる春が来た。
世間は桜だ、花見だと喚き散らす中、俺1人寡黙に夏の先取りをしていた。
奈良から遥々250km、修善寺までやってきた。
今日は「第47回チャレンジロードレース」の日だ。
去年はガチャガチャと到着早々に自転車を手際悪く組み立て、出走時間に尻を叩かれるように会場に向かっていたが今年はその反省とサイクルトレインを活かしてスムーズに出発をする事ができた。
最低限の荷物だけを背負い、日本CSCまでの7kmという短いようで長い道のりを進む。
思い返してみると現在地から会場までは7kmだが、ここに辿り着くまでに1万キロ位は走ってきたと思うと急に感慨深くなる。
まるで哲学者のように見えてるのは氷山の一角で実は努力や結果の積み重ねで今現在に至るという思想にふけっていると前からアップ中の選手が下ってきた。
この瞬間、俺は哲学者から選手へジョブチェンジを果たす。
今日、この日の調子としては今シーズン最悪最低と言っても過言ではない出来である。
3月の末日にはシーズン最高値となる20分320w、パワーウェイトレシオにすると6.15w/kgを記録。
ダウンヒルも含んでいたので325w程で踏めていたのは確実だ。
しかしこの日を最後に高まる調子の鳴りは潜める事になる。
この12月から半年間、シーズンインに向けPOLトレーニングを行ってきた。
週2回のHIITと週3回の低強度トレーニング。
しかし後半はどうだろう。
調子が鰻上りなのをいいことにアクティブレストと称してレストを取らなくなってしまった。
そして低強度もいつの間にかテンポ走をするという愚行を積み重ね、遂に桜の満開と入れ違いで調子という俺の花びらは散っていくことになった。
レースの後日になってわかったことだが筋肉の慢性疲労に陥っていたらしい。
何をやっているんだか。
FTPを超えると筋肉は一気に酸性に傾き3分程で悲鳴をあげだす。
呼吸は楽なのにパワーが出ない。
全く、歯がゆいとはこのことである。
原因を簡潔にまとめさせてもらうと単に馬鹿なのだ。
後悔と自責の念に駆られながら筋肉疲労という爆弾をレース会場に運びつつ、タラタラ登っているとようやく到着しそうだ。
まぁ本番になればなんとかなるさと言う甘い考えを胸に駐車場へと入場していく。
つづく