まっすぐなほど、ことばに憑りつかれた君へ。
しっかりと言葉を残さなくなって1年。
Twitterもなかなか浮上せず、ほぼ音信不通状態にしてしまった。
何度か書こうとチャレンジしてみたものの、つらつらとネガティブなことしか書けなかった。
あんなに好きだった書くことが思うようにできなくなって、自分の言葉がどこかにいってしまったような気がして。最後までたどりつく前に嫌になって辞めた。
それでも、だからこそ、今日は違う。
しっかり残しておきたい。
なんで書けなかったのか。なにがあったのか。なにして過ごしていたのか。
そして、なんで今書き残すのか。
中学生の君がこれを読んだら、きっと残念がるかもしれない。
でも、これが今の君なのだ。ごめんね。
2023年5月18日。ことばの日。
不器用で恥ずかしいくらい丸裸なことばたちを、書いてみる。
まっすぐなほど、ことばに憑りつかれた君へ。
時間の流れは早いことに、実家を出てからもう2年。
来月で18歳。一応成人という括りに仲間入りする。
要は、君はもうすぐ”大人”になる。
小学校の卒業文集。
「願いが一つだけ叶うなら?」という質問に「お金持ち!」とか「世界一周したい」とかそんな夢が溢れてる中、
「ずっと子どものまま不死身」というちょっと怖い回答をびっくりマークもなしに綴った君。
ごめん。
残念だけど、無理そう。君は無条件に思ってたより2年も早く大人になるよ、まだお酒は飲めないけど。
きっと君は、子どもながらに大人になることを何となく察していたからこんなこと書いたんだよね。
公園で特になんの意味があるのかもわからず友達と追いかけっこしたり、叶いそうもない将来の夢なんかを話してみたり。
そんな日々が終わってしまうことを、周りをよく見てる君はきっとわかってしまっていたんだよね。
そんな大人でも子どもでもないような時間を送っている今、さっきも書いたと思うけど、君は実家を出て進学する。
君が今参加してる勉強会のとこ。あの学校。
正直全く乗り気じゃなく始めた勉強会だったけど、先生方にもお世話になったしさ。それでぬるっと。
なんかさ、本当は遠くに行きたかったんだよね。
最初はとんでもないところ第一志望にして。結局周りになだめられて諦めちゃうんだけど。
今思えば、あのときもうちょっと粘っても良かったなって思う。
でも、正直迷ったよね。
君は今、自分でもよくわかんないくらい、ことばに憑りつかれてる。
口下手で自分の想いなんか外に吐き出せない君が、唯一自分になれる場所がnoteで。
兄にだって成績の良い友達のT君にだって比べられずに、ただまっすぐに褒めてもらえて。
でも君が目指してる学校は、バリバリの理系。
もちろん理科は好きだし、数学も嫌いじゃない。
君の夢は「想像を創造する」こと。なにかをつくり出すことがしたくて、できるならそれで周りの人たちを笑顔にしたくて。
絵を描くことも、書くことも、君は好きだったからさ。
その「かく」ことで、世の中を変える。そんなちょっとした大きすぎる夢を隠し持っていた君。もしかしたら、最新の科学技術と掛け合わせたらめちゃくちゃ面白いことできるんじゃないかと思って。
「なら、ここにおいでよ」と背中を押されて、結局今に至る。
もし、今君に言葉をかけられるならこれだけ。
「もっと素直に迷ってよかった」
正直これはめちゃくちゃ人による。
学校に合う人と合わない人がいて、実際君は後者だった。
単刀直入に言うと、君は”デビュー”に失敗する。
人見知りで話すことは好きなのに得意ではないでしょ?今までは周りにずっと知り合いがいて素でいることが多かったけど、誰も自分を知らない場所で誰かに話しかけるなんてできるわけもなかった。
それでまぁ、1か月友達いない生活を送る。
同じ寮の子にも混ざれなくて、グループline招待してもらえたのはだいぶ経ってから。同じクラスの女の子に寮の子はいなかったから、学校の終わるチャイムが鳴って2分後には自分の部屋にいたし。
すごく明るい寮の子に強引に心を開かされてなんとかなったけど。本当はね、今でもこの学校にいる時間は素ではないけど。
クラスはほぼ男子。
少し気になったかもしれないけどさ、もちろん、ね。
最初はモテた。最初だけだったけど。君はそういうのに相変わらず興味がなかったから全部断ったけどね。
少しすると、気づいてくるよ。
ここには猿しかいないってこと。
(ごめんよクラスメート)
リズムゲームのシャンシャンする音。
カードゲームで「ドローぉぉ!!」
ありとあらゆる場所から「曲を選ぶドン♪」
どこから出てるのかっていうくらいの笑い声。
謎の発狂。
まるでそこは動物園で。
アニメとゲームに特化された猿たちが毎日暴れまわってる。
ちなみに先生も猿。どんなイケメンを見ても猿にしか見えなくなる催眠術にどんどんかけられていくよ。
君はこの学校に来るまでスマホも持ってなかったし、アニメなんかほぼ見てこなかったからさ。話題について行けずに、なかなか苦労することになる。
で、なんとかしようと軽音楽部に入るんだ。
ギターが好きだった君の、夢のような憧れの場所。心臓に響く重低音と照明が照らすその空間に惹かれて、即入部届を出す。
あと、君は憧れていた「企画メシ」の企画生になる。
君が学びたいことそのもののような場所。大人に混じってだったし、親の説得も大変だったけど、あの突っ走っていた日々が今でもたまらなく好きだよ。本当に、本当に好きなんだ。
企画生の繋がりで京都に初めて一人旅に出たり、私生活でちょっとした企画たてたりさ。楽しいよ、すごく。
それで唐突にはなってしまうんだけど。
軽音部
今、私幽霊部員なんだ。
去年の夏にね、揉めたんだ。私抜きで。
私はただ見てた。特に何をすることもなく壊れる瞬間ってやつを。ただ口角を上げて機嫌を取りながら見るしかなかったの。
あんなに好きだったギター。
私正直センスなくてさ、バンドでやる曲全部むずいんだよ。
もともと中学からいじってたはずなのに、バンド結成を機に始めたメンバーのほうがどんどんうまくなっちゃって。気づいたらバンドメンバーの中で1番立場弱くなってて、いつもドンマイドンマイって。
好きなんだけどな、嫌になっちゃった。
そう思ったらギターの入ってる音楽もあまり好んで聴けなくなって。好きなのにね。
だから幽霊部員。ボーカルだった寮のすごく明るい子っていうのも、学校辞めて友達じゃなくなっちゃった。
実際、最新の科学技術なんて学べる学校じゃなくて。
あんまり言ったら見つかったときに怖いから言えないけど、中学生をそそのかしては学校に引きずり込むという手法にまんまと乗せられてしまったことを君は後々知ることになる。
それに、時々パトカーがいるくらい治安が良くない。笑
課題と課題とレポートと実習。
テストに追われ、単位に追われ。
カリキュラムが変わって美術の授業もないし、企画することもない。
留年する子も多いし、君もギリギリで単位をなんとかとる。
実際君と仲の良かった子も学校をやめて今でも連絡取れなくなるし。
進学も就職も、思ってたものと違う形を提案された。
私のやりたかったことはこの学校のどこにもない。どこかで役立つかもしれないと思い込ませながら、ただひたすらに鉄を削る。
悔しかった。嫌だった。見たくなかった。
勇気を出して繋がった企画生たちが頑張ってる姿を心から応援したかった。でも、そんな真っ黒な気持ちが出てきて、どこかにそれをぶつけてしまいそうになって。
真っ黒に支配されてしまった私は書くにも書けなく、やりたいことも思うようにできなくて、Twitterにもあまり浮上しなくなってしまった。
そんなとき、君の指に重りが落ちた。
今年の初め、1月の実習中。ドリルで鉄に穴をあけるときに動かないように抑える重りが、人差し指の先に落ちた。
今まで感じたことないくらい痛かった。じんじんする指先は爪が根本から黒くなっていて。骨は折れなかったけど、心はそこでぽっきり折れたんだ。
「なにやってんだ」
なにやらかしてるんだ。なに痛がってるんだ。
こんな君だって一応女子。爪も少しくらい気にする。
失った女子力そのもののようなものが物理的に目に入るようになってしまって、見るたび辛いし、痛かった。
私は今、なにやってんだ。
そんな痛みと夢と思いがグルグル君の頭を回って、部屋に帰ってから一人で泣いた。それもずっと治らないまま、出かけるたびに隠すように濃いめの色のマニキュアを塗った。
まっすぐなほど、ことばに憑りつかれた君へ。
君ならどうする?ここからどうする。どうしたい。
ふと、そんなことを考えたんだ。
君ならね、きっと今の私を見たらどう思うかなって。
きっと君なら、
「わかってるんでしょ?」
そう言われる気がする。
君へ。
私は大人になるよ。
でも、君と一緒に大人になりたい。
そう思ったんだ。
上手く書けなくても、
真っ黒に曲がってしまっても、
やっぱり私はことばが好きだ。
画くことが大好きだ。
わがままになってはしまうけど、
そんな君とこれからも一緒にいたいんだ。
思いっきり、前に向かって逃げてみるよ。
大きなハンデのあるずっと難しい挑戦にはなってしまうけど、
やりたいことをやってる私のほうが君も私も好きだから。
ちゃんと今を生きながら、過去の君を連れて、未来へ走っていきたい。
爪がやっと治ったんだ。5か月もかかった。
来週東京に行くよ。研究発表を任されたんだ。
それも大きな会場で、教室の何千倍もあるところ。教室での発表でも手足震えてる君が一人で発表するんだ。
この先自分がどうなるのか、未来は明るいのか。
想像もつかないよね。
ちょっと怖い。1年後も1か月後も、自分が何をしてるのか私にも君にもわからないから。
でも。
怖いよ。不安でしょうがないし、怖いけどさ。
正直、すごくワクワクしちゃってる。
2023年5月18日。ことばの日。
不器用で恥ずかしいくらい丸裸なことばたちを、書いてみた。
すごく、君らしいことばたちじゃない?
そんな私が、君だって私だって、大好きだから。
KaiTO
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