
夢の本棚 8〜佐々木譲〜図書館の子
1937年の東京、隅田川で発見された謎の男。
身元不明の男は、なぜかこれから起こりうる戦禍を知っていたのか?‥「遭難者」
そしてタイトル作品、極寒の図書館に取り残された少年の前に現れた謎の男。
少年を助けて奇妙なことを伝える。
時の狭間を描く六篇の短編集。
(談)
ここ近年日露戦争後ロシアが勝利した後の架空世界を描いて好調の佐々木氏がタイムトラベルものに挑んだ短編集です。
ストーリーはそれぞれ独立してますが、共通するのは終戦前の時代に集中していることですね。
氏の書く短編集は今までにも何度か読みましたが、今回初のSF作品、さくさくと読めました。
タイムトラベルと具体的に書いてある作品はありませんが、中身を読むと時間航行者、あるいはタイムスリップしてしまった状態であることが一目瞭然です。
私的には満州国のとあるクラシックホテルへタイプスリップする「追奏ホテル」、それと日本軍占領下のなかで時間航行者が暗躍する「傷心列車」が面白く読めました。
なお後者は続編「時を追うもの」も書かれているようです。
冒険小説、警察小説の第一人者、佐々木譲氏のタイムトラベルもの、今後も期待したいところですね!