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虹のバァルガード 〜第8回
流浪の街 ガラム 6
ここは?わしはなぜこんなとこにいる?」
ムーアはミルドの薬局の2階のベッドで目を覚ました。
「ムーア・レクスン、ラルフ王国の上級戦闘士。お目覚めですか?」
アイニスが声をかけた。
「あなたは?ここは?」
「ここはハイデール王国の辺境の地ガラムです。私は王国防衛官のアイニス・ノーストンです。」
「僕はここのミルド薬局の店長兼魔法師のミルド・レオルドです。」
2人が続いて挨拶をしたので道斗も答えた。
「地球からやってきた新城道斗です。もと時空光学研究者です。よろしくムーアさん。」
ムーアはベッドから起き上がると頭を下げた。
「すまぬ‥実はここ三日ほどの記憶がまるでないのだ。わしはラルフ王国国境付近グラードで警備の任務にあたっていたのだ。
何しろ野盗どもが王国内で暴動を起こすという情報が、入ってのう‥」
「それってヘイマー兵団ですね。」
ミルドが尋ねた。
「そうだ。最も奴らは兵団を名乗ってるが実態は盗賊団そのものだ。それで奴らが潜んでるヤール山へ戦闘士団の2人を連れて向かった。」
「ヤール山はちょうどこのガラムと国境を面してる。」
アイニスは国境へ警備に向かうこともあるので土地勘が働いた。
「わしは山の頂上近くにまで上がったとき、前に黒いフードを着た老人が現れた。その老人が我々を阻んだ。」
〈ここを立ち去れよ。ラルフの戦士よ。そなたが関わると面倒なことになる〉
ムーアはその時の情景を思い出していた。
その老人が奇妙なことを言ったあと杖を上げ、風を巻き起こしたのだ。
そしてその後の記憶がなかった。
「その老人、おれも出会ったよ。」
道斗はこの世界で最初に会った人物がムーアの前に現れた老人と似ていることに気づいた。
そして自分が地球から来た経緯を述べた。
「道斗殿、お主の佇まい幾分変わってるとは思ったが、なるほどそうなのか。」
ムーアは納得した。
「シンジヨウさんのことといい、ムーアさんのことといい、その黒いフードの老人は只者ではありませんね。シンジヨウさんはガラムへ誘導され、ムーアさんには催眠の心術をかけて同じく操ったヘイマー兵団へ混じれさせる。」
ミルドは高度な魔法を使うこの老人が間違いなく繋がっていることを確信した。