夢の本棚12〜朝倉秋成〜6人の嘘つきな大学生
IT企業スピラリンクスの最終面接でグループ・ディスカッションを担うことになった6人の大学生。
羽多野祥吾はその一人であった。
6人全員合格もありうるということが、突如一人だけ採用するというルール変更が出る。
それまで和気あいあいだった6人の人間関係にひびがはいリ始める。
そしてある日部屋の片隅に謎の封筒が置かれており、発見される。
その中には各自の過去の負の部分の告発文が同封されていた。
6人がひた隠す嘘は何か?
伏線の狙撃手が贈る青春ミステリー
(談)
ミステリ好きな方から紹介されたおすすめ本で一気に読みふけりました。
朝倉秋成‥伏線の狙撃手という異名を取る作家さんですが、まったく知りませんでした。
ここ10年ほど新しく出てきた作家さんはほとんど知らないウラシマ状態なのであります。
一読しての感想、すごい方が出ててきたな。
その名のとおり読み返すと伏線だらけなんですが、読者はおそらくミスリードされます。
最初は和やかに行われていたディスカッシンですが、負の一面を隠して、堂々としてることに、各自が猜疑心を持ちます。
最後に最終選考の結果がでますが、おそらく読者はこれでは納得がいかないでしよう。
そうこの作品の構成は二部構成なのです。
一部は羽多野祥吾の視点で最終選考結果まで、二部は蔦衣織の内定から8年後の視点で事件のあらましが明らかになります。
私は二部構成の作品というと、岡嶋二人の傑作、99%の誘拐を思い出しますが、あの作品も過去と現在は繋がってました。
この作品も同じようなものを感じます。
事件の決着がついたあとも余韻が残ります。
何かほろ苦いものを感じさせる感動のミステリーですね。
○なおこの作品は映画化、11月22日に公開されます。
小説での二部構成のトリックはどうするのか?
気にはなりますね。