連載 タイムラブ 愛に時間を〜青い炎①
ポートNo.52には電子ヘリが待機していた。
中から操縦士が降りてきた。
「真木村捜査官と台場涼さんですね。
ヘリの操縦を担当することになりました上野です。
よろしくお願いします。」
操縦士の上野が頭を下げた。
「私が捜査官の真木村です。そして彼が今回の探索の協力者,台場涼君です。」
「台場涼です。よろしくお願いします。」
3人は電子ヘリに乗り込んだ。
ポートの片側には藤島課長が見送りに現れた。
その姿が遠ざかる。
ヘリが大空に舞い上がり、時短航法に入った。
危険区域手前の富士裾野付近まで移動する。
その後は操縦士の腕にかかっている。
「上野君、たいへんな任務だけどお願いね。」
夕子は励ましの言葉をかけた。
「任せてください。中野さんのためにも」
「あなた、中野君知ってるの?」
「知ってるもなんの、先輩ですよ。
よく言われました。お前は俺より後輩なのに中の上の上野て名前なんだなて。先輩お得意の寒いジョークです。」
「そう‥」
夕子は中野がみんなをリラックスさせようとジョークを言ってることを思い出した。
笑いの中で中野は自分の病いとも闘っていたのだ。
しばらくして上空は富士裾野を超えていた。
「夕子さん、雲が多くて下界がまったく見えないですね。」
涼は窓から眺めた。
「ビッグウォールが起きてからこの地域は閉ざされてしまったの。それでも私たちは行かねばならない。過去と向き合うの。」
夕子は唇を噛みしめた。
○荒井由美〜ひこうき雲
ユーミンがプロコルパルムに影響を受けた名曲。