虹のバァルガード〜第11回
王都 イリウム 2
「皆様、朝ご飯の準備が出来ましたよ。」
ノブスが道斗を起こしにきた。
「もう朝か。昨日は結構呑んだな。」
道斗は、着替えを済ますと食堂へ行った。
アイニスとミルドは既に朝食をとっていた。
「あら大丈夫?道斗。昨夜はかなり呑んでたけど。」
アイニスが心配そうに機嫌を伺った。
「ああ大丈夫さ。それよりミルドは‥?」
道斗はミルドに振ったが、ミルドはノブスとゲラゲラ話をしながら食事を摂っていた。
「見ての通り、ノブスの前では子供よ。」
「あはは‥どうもそのようだな。それよりこれから王宮へ行くのか?」
道斗は今日の予定が気になっていた。
「王宮の方へは防衛局のほうから連絡を入れてある。ぜひ国王が御目通りしたいそうだ。」
アイニスは淡々答えた。
「ええっ、国王が会ってくださるのか?俺たちそんな大した者じゃないだろう?」
「いやいや盗賊どもを追い払い、街を守ったのだから。」
道斗は腑に落ちなかったが、向こうが会うつもりなら仕方ない。
しかし反骨な研究者のため、権力や権威とかは苦手そのものだ。
「道斗もアイニスもたっぷり食べた?ノブスて本当に料理がうまいよね。」
道斗とアイニスは同時に吹き出した。
(承前)
大通りを突っ切ると奥に王宮がみえる。
王宮に入るには王宮門があり、衛兵が王宮の出入りを警備している。
ミルドは許可証を見せる。
荷物や服装の検査などで長らく待たせるかと思ったが、あっという間に通行OKが出た。
王宮門を過ぎるとあたり一体は庭園になっていた。
道斗はこの雰囲気はヨーロッパにある古城に似ていると感じた。
宮殿の前に差しかかると数十人の衛士が出迎えた。
そして扉を開けて中に入り、待合室に案内された。
アイニスとミルドは国王の側近に挨拶する要件ですぐに待合室を出て、面会の間へと向かった。
部屋には衛士が二人、警備として残っていた。
‥国王と面会か。なんだか不安だな。‥
しばらくして国王の側近が入ってきた。
白髪に顎に白い髭を蓄えた初老の男であった。いやひょっとしてこの世界ではまだ老人でないかもしれない。
「私は国王補佐官、ウェルガーです。国王がお待ちです。案内させて頂きます。」
ウェルガー補佐官は面会の大広間へと案内した。
道斗はその豪華絢爛さに驚いた。
学生時代にヨーロッパを旅行したときに宮殿を訪れたことがあったが、このような雰囲気であったことを記臆している。
微妙に地球と違うのは確かであった。
「新城道斗様、王がすぐ参りますのでしばらくお待ち下さい。」
ウェルガーは頭を下げると部屋を出た。
‥アイニスもミルドも何をやってるんだ。あいつら先に挨拶したんだろうか?
おれ抜きで王に失礼だろうが。おれはどういう挨拶をすればいいんだ。‥
道斗はいらいら感がたまらなかった。
自分が異界からやってきた人間であることを知ってもらうには二人の協力が必要不可欠だった。
面会の間の奥の扉が開き、国王が入ってきた。
‥仕方ないな、あいつら来るまで適当に話しをしておくか‥
「異界の人、初めまして、私がハイデール国王です。」
「えっ!」
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