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フランク・マリノ〜ジミ・ヘンドリックスの再来といわれた男

ジミ・ヘンドリックスの亡き後、その再来とか復活とかいわれたギタリストは数多いが、このカナダ発のフランク・マリノもその1人だった。
ジミヘン直系といわれ、ジミの曲をカバーし、ジミのサウンドを継承していたように思う。
同じように当時ジミ直系といわれたロビン・トロワーやウリ・ジョン・ロートもブレイク時はジミの再来といわれ、本人らもそれを強く意識していた。
しかしその後の活躍をみるとジミヘン直系という言葉は当てはまらない。

○パープル・ヘイズ
この曲でのマリノはまったくジミのプレイそのもの。バンドはマホガニーラッシュ名義だ。

マリノも当初はジミの直接的影響を認めたが、のちにはそれは自然的なものであると述べている。
フランクマリノの音楽は実はジミの影響だけでなく、ブルースやジャズ・フュージョン、ハードロックと多面的なサウンドにある。
確かにジミの楽曲をカバーして人気を呼んだが、なぜか彼はジミのサウンドの元であるストラトキャスターを手にすることはなかった。
ギブソンSGをメインに携え、膨大なエフェクターを使って再現していたのだ。
その正当な評価がされてなかったギタリストだと思う。
現在69才、いずれにせよ彼が健康上の理由で2021年に引退してしまったのは誠に残念だ。

○ドラゴンフライ
フランクマリノ&マホガニーラッシュのファンキーなハードロックは70年代末に影響を与えた。


私がフランクマリノを知ったのはカリフォルニア・ジャム2のライブ盤だった。
1978年、エアロスミス、サンタナ、ハートらが出演した野外フェスに彼はマホガニーラッシュとしてフロントに立った。

○オール・ア・ロング・ウォッチタワー
ジミヘンのバージョンをモチーフにしてるが、独自のエモーショナルなソロやリズムバッキングなどフランクマリノ&マホガニーラッシュの人気を高めた一曲。

70年代後半まで隆盛を極めたフランクマリノ&マホガニーラッシュはその後はぱっとしなくなり解散、フランクマリノはソロ活動へとシフトしていく。
ジミ・ヘンドリックスの再来というレッテルは勲章ものとはいえ、彼の音楽性そのものが縛りつけられたのだろう。
マリノは多面的な音楽をやろうとはしていたが、このレッテルを剥がすことは困難であったようだ。

○幻影伝説
同名アルバムのタイトル曲。ハードロックフュージョンというかジャズフュージョンの影響が濃い曲。途中リズムがフォービートに変わったりする。 

心機一転、80年代のフランクマリノはインストに重点を置いたサウンドへと変換していく。
マホガニーラッシュでは賛否両論であったが、あえてジミの呪縛から離れようとしたのだろう。
口髭を剃り落とし、服装もジミヘンスタイルから垢抜けした格好に変わったが、ロン毛とギターはなぜかそのまま引き継いでいる。

○イット・ビガーン・トウ、レイン
6分ぐらいから始まるギターソロの凄さに驚く!ビバップしたフレーズは斬新だ。
ハードロック系でこういうソロを弾く人は
他に記憶にない。

90年代もジミからのイメージ脱皮,そしてハードロック系ギタリストからの変革を求めて取り組む。
そんななかでもブルースは初期の頃からとりあげていた。

○アンリリースド・ブルース・ソング
初期のアグレッシブなブルースと違い、ラリーカールトンやロベン・フォードが時たまとっていたジャズのエッセンスを入れたブルース。

2000年代に入りようやくネット動画などにより過去や現在の音楽で再評価を得たフランクマリノはマホガニーラッシュの再結成や新たなバンド編成など多角的な方向へシフトする。
しかし新型コロナ禍で活動を制限されるなかで冒頭で書いた通り引退となった。
大変残念ではあるが、ロック史の1ページを切り開いたギタリストととして記憶にとどめておきたい。

○ストレンジ・ドリームス
マホガニーラッシュのスマッシュヒット曲。
ファンキーなリズムのハードロック。

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