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それぞれのふるさと

ふるさとを受け継ぐ

市原市の加茂地区の人口は5,000人を切り、10年後にはその半分の2,500人程度になることが予想されている。もちろん子どもの数も減り、学校は加茂地区の小学生と中学生が通う加茂学園がひとつあるだけだ。加茂地区で生まれ育ち、会社を経営している前田裕司さんは、今年に入り東京と加茂地区との二拠点で活動を始めた。今回は祐司さんにお話を伺った。

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前田祐司さんの活動について

kamo'n at YOLO valley
https://www.instagram.com/kamon.yolo/?hl=ja

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この場所を選んだワケ

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開宅舎 小深山(以下Kと示す):祐司さんは加茂地区で生まれ育ったんですよね。高校卒業のタイミングで加茂地区を出たと聞きましたが、どこかのタイミングでこっちに帰って来ようかなって考えていたんですか?

祐司さん(以下Yと示す):帰って来ようなんて全然考えてなかったよ。コロナがきっかけだったね。世の中の流れが変わり始めたんだよね。

K:そうだったんですね。コロナがきっかけで地方に移住したって人もいますよね。

Y:働き方に自由度が増えて、田舎にもチャンスが見えてきたってのがあったね。あとは、この地域は70歳以上の人が多くて。ぼくらの親世代の人たちが築いてきたものを引き継がないと、もう何もわからなくなっちゃうから、そこはなんとかしたいなって。

K:うんうん。

Y:あとは、やっぱり髙橋くんたちの存在は大きかったね。お父さんから、髙橋くんたちの話は聞いていたから。もう田舎で何か事を起こす土台みたいなものを作ってくれている若い人がいるんだなって。そうやって養老渓谷で新しいことを始めている若い人がいることは嬉しいことだよね。

大切にしていること

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K:祐司さんが大切にしていることってなんですか?

Y:まずはやってみること。ただしリスクは最小限にすることが大事かな。

K:たしかに、祐司さんがかき氷屋さん始めるのすごく早かったですよね。営業許可から取るって言ってたので、早くてビックリしました。

Y:7月の4連休から始めるのに、場所の許可がちゃんともらえたの1週間くらい前だったかな。たまに失敗しちゃだめって考えている人いるけど、失敗してもいいんだよね。小さい失敗しても繰り返して修正していくのが大事。

K:養老渓谷駅前でのかき氷屋さん、予想と現実のギャップってどんな感じでした?

Y:予想以上に大変だった。なかなか物事がスムーズに進まなかったんだよね。地域特有のコミュニティというか。でもその地元の人とのコミュニケーションがおもしろい。それ以外だと、観光客に地元の事を紹介できることが嬉しいんだよね。

これからのこと

Y:いろんなことをやってきたいんだけど、かき氷屋さんはきっかけなんだよ。

K:そうなんですね。他にどんなことを企画してるんですか?

Y:いろいろ考えてるけど、石神の菜の花畑や温泉街を盛り上げたいと思ってる。石神の菜の花畑はボランティアで運営してるけど、もうみんな70代。だから継続していけるように地域にお金が落ちるようにしたい。養老渓谷のお土産も作ろうと考えているよ。例えば手ぬぐいとかね。

K:手ぬぐい!いいですね!

Y:ぼくは養老渓谷とか加茂地区がもっと稼げるような地域にしたい。そうなれば、色々な人がもっとこの場所でチャレンジしてくれて地域が盛り上がる。そのためには地元の人や周りの人の協力が必要だから、若い人が何かやりたいってときは協力して欲しいね。失敗してもいいよという広い心で、応援してもらえたら嬉しいな。

あたり前のこと

養老渓谷の観光のひとつに菜の花がある。菜の花会という地域のボランティア人たちによって菜の花の管理はされていて、活動を始めてから10年が経った。高齢化によって活動開始から人数も減り、30人以上いたメンバーも今では1桁になってしまっているそうだ。今回は、菜の花会の前田太久さんにお話を伺った。

菜の花の活動について

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開宅舎 小深山(以下Kと示す)菜の花の活動のきっかけはなんだったんですか?

前田さん(以下Mと示す):金子ってやつと松本先生ってやつがいてよ。白鳥地区の町会長になって、それから菜の花始めようってなって、俺に声がかかってよ。それで始めたんだよ。

K:石神菜の花畑はもともと田んぼだったというのは本当ですか?

M:おお。最初は田んぼんなかの草がひどかったんだよ。あれをみんな綺麗に刈ってさ、そっから始めたんだよ。最初はいっぺぇいたよ。でも先輩ももう80ぐれぇで。俺だって70だっぺ。今はみんなおらがの仲間で6人しかいねぇよ。

K:菜の花会に髙橋さんも入ってるんですよね。髙橋さんがいてくれるのは心強いですね。

M:最初は草刈りもできなかったんだけどよ。はぁもう髙橋は急な土手も刈るよ。達者だよ。

息子さんが帰ってきてくれて嬉しいですか?

K:ゆうじさんが帰ってきて、地元でこうやってかき氷屋さんとか手ぬぐいとか作ってくれてるのって嬉しいですか?

M:嬉しくなんかねぇよ。大変だよ。商売なんてそんな甘くねぇって言ってんだけどよ。

K:ゆうじさんのかき氷は食べました?

M:この前一杯だけ食べたよ。うまくねぇな。あれも始めるの大変だったんだよ。地元で反対するやつもいてよ。俺が酒飲みいって話つけに言ってやって、あの場所でできるようになった。

K:前田さんがいたおかげで、ゆうじさんも今あそこの場所で活動できてるんですね。ゆうじさんも嬉しいですよ、きっと。

これからのこと

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K:次の菜の花の活動は種まきですか?

M:おお。この前種取りやったんだけどよ、はじめてゆうじがきたよ。

K:ゆうじさんも菜の花の活動手伝ってくれてるんですね。前田さんも開宅舎の空き家の片付けもたくさん手伝ってくれて、すごく助かってます。この前は白石さんのサイクルイベントのお手伝いをしたんですよね。

M:することねぇから暇なんだよ。

K:以前、お酒の場でこうやって若い人を応援するのが夢なんだって言ってたと聞きましたが、やっぱり若い人と何かするのは楽しいですか?

M:…酒飲んでたからから覚えてねぇよ。


地元への恩返し

市原市の事業「いちはらライフ&ワークコミッションオフィス」で養老渓谷に移住相談の窓口が設置された。毎週金曜日には市原市役所の都市戦略部拠点形成推進課の職員が駐在している。拠点形成推進課は地域おこし協力隊やリノベーションスクールといったまちづくりに直結しているる部署だ。拠点形成推進課の職員の1人である古滝一博さんにお話を伺った。

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いちはらライフ&ワークコミッションオフィス
https://lifework-ichihara.com/

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この場所を選んだワケ

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開宅舎 小深山徹(以下Tと示す):古滝さんは市原市がご出身で、大学で一度市原市を出ていますが、どうして市原市で働こうと思ってんですか?

古滝(以下Kと示す):高校で野球部だったんだけど、今でもOB会とかにお世話になってるんだよね。OBのおじいさんに「いいか。我が高校の野球部の生徒っていうのは、地元の人に育てられたから、政治家でも、役所でも、銀行でも、どんな形でもいいから地元に恩返しするんだ」って熱く言われたことがあって。

T:なるほど。

K:はい!って言うしかないよね。でも、それでなんとなく市原で就職するかって。千葉銀、県庁、市役所ってのが思い浮かんで。THE地元って感じだけど。それくらいしか思い付かなかくて。(笑)

T:地方あるあるですね。(笑)

K:部活のOB会で参加してる人が公務員の人が多くて。地元でやるOB会だから地元に残っている人が多い。地元に残っている人は家業を継いだり、広い意味で公務員の人が多いからね。その人たちと話してたから、じゃあ公務員でって。


大切にしていること

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T:古滝さんの大切にしていることってなんですか。

K:最近は、目の前の一瞬を楽しむ。

T:いいですね。何かそう思うようになったきっかけってあったんですか?

K:今までずっと計画計画できたんだよね。いい大学にいって、いい企業に就職して、何歳までに結婚してって。でもあるときに、自分は社会のステレオタイプに染まってるんじゃないか。テレビとかで見たような人生を歩んでるけど、それって楽しいのかなってふと思うようになって。

T:うんうん。

K:友達と集まるときとか、30過ぎて同じようなモヤモヤを抱えてるんだよね。話しして今自分がやりたいことをやってれば、別にいいじゃないかって。もっと興味が湧いたことをチャレンジして、その一瞬を楽しもうって。

これからのこと

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K:去年バーベキューやったときに小深山くんに、古滝さん今何やりたいんですか?って聞かれて。

T:あー!バーベキューで話しましたね。

K:何かやりたいと思ってるんだけど、じゃあ、何がやりたいかって言われたらおれなんもねぇなって引っかかってて。それからけっこうお風呂のときとか考えるようになって。

T:そうだったんですね。

K::今は一つの場所を運営してみたい。自分1人じゃなくていいから。そこが曜日ごとにいろんなことをやってる場所になってたら、面白いなって思ってるよ。

T:いいですね。古滝さんはマネージャーのポジションなんですかね。

K:そうだね。マネージメントをしてみたい。養老渓谷のコミッションのオフィスもいろんな人が来て相乗効果が生まれたらいいね。


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