捨てないくらし、譲りあうくらし。
養老渓谷温泉街を抜けた先に旧老川小学校がある。2013年に閉校した小学校だが、2017年から良品計画が運営に携わり、お店がない良品計画として、地域に根ざした活動をしている。使わなくなった古物をレスキューし、それをクリーニングして、新たな使い手につないでいく「おゆずり良品」について、事業を動かしているひとりの芦田佳子さんにお話を伺った。
おゆずり良品
開宅舎 小深山(以下Kと示す):無印良品が「おゆずり良品」を始めるきっかけって何だったのですか?
芦田さん(以下Aと示す):きっかけは現在所属している部署で、新しい形の社会に役に立つ活動が生まれました。捨てられてしまうものたちを有効活用・利活用するアウトプットを無印良品が担っていこうという構想があり、その構想を実現する担当者を社内公募してたのです。そこに応募、採用され、2020年の10月下旬から旧老川小学校で「おゆずり良品」を始めました。12月の中旬には第一回目のあおぞら市だったのですが、ちょうどその時コロナが緊迫しており、緊急事態宣言が出るかもしれない、イベントはやるの?やらないの?というのを毎日毎日繰り返していました。
K:ただでさえ事業の立ち上げはバタバタするのに、そこにコロナの影響があるととても大変ですよね。
A:2,30人イベント応援のスタッフが来てくれる予定だったのですが、3日前にコロナ状況が悪化していたため、当日、東京からの応援スタッフは自粛をし、撤退することになりました。そんなとき、地域の方が助けてくれました。3日前にもかかわらず十人以上の人たちが駆けつけてくれて、手伝ってくれたのです。そこで地域の方々との距離がグッと近づいたなと感じました。今でもその方たちはあおぞら市をサポートしてくれています。地域と一緒にやっていくからこそ意味があると取り組んでいましたが、思わぬ形で地域の方との繋がりを深めることができました。
K:そんなストーリーがあったのですね。ここ、旧老川小学校は「捨てないくらし、譲りあうくらし。」というコンセプトがピッタリな場所な気がします。
A:「おゆずり良品」は、地域コミュニティを基盤とし、地域の方々と共に考え、地域の皆さんといっしょに実践する活動です。役割を終え不用となったものを回収・販売することからはじめ、それぞれのかつての想いを次の担い手に引き継ぐこの「おゆずり良品」を通して、「感じ良い暮らしと社会」の実現を目指しています。
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