循環
加茂地区の田淵町会に一人の若い女性が移住した。服を売らないアパレルブランドとして古着を扱うenergy closet代表の三和沙友里さん。入場料と自分の持っている洋服を持参することで、その場の洋服と交換できるという取り組みを都内でおこなう一方で、古着をリメイクするアトリエ兼工房として田淵の物件を活用している。今回はそんな三和さんにお話を伺った。
ものが循環していないことの違和感
開宅舎 小深山(以下Kと示す):古着のリメイクやものを捨てない三和さんの取り組みは今の時代にあっているように感じました。以前からそういう環境問題に興味があったんですか?
三和さん(以下Mと示す):もともとまちづくりに興味がありました。ものが循環していないことへの違和感があって。フードロスの問題もそうだし、輸送がすごい多くて、地産地消ってあまりされてないんですよね。それを言語化したり、体現できないもどかしさを学生の頃から感じたりしていました。一つの手段として、街の仕組みが変われば、ものをたくさん運んだりすることが減ったりするんじゃないかって商店街と関わってたんですよね。
K:そうだったんですね。確かに、地産地消って言葉があるくらいなので、意外と地元で採れたものって地元で消費されてないのかもしれないですね。
M:空き家の問題も同じように興味がありました。使われてない家があるのに、どんどん新しい家が建てられているのにも違和感があって。この活動をしていると、三和さんたちの年代って環境への免疫が強いよねってよく言われます。子どものときに大きい震災を経験してたり、教科書にも環境に関することが載っていたりして、そういう影響もあったのかなって。
K:同じく循環ですよね。
M:服も建物も使われていないものを放置するのに違和感があったので、空き家に入ることは私にとっては普通なことでした。残っているものは使える形であれば使うのが普通だなと思っていたので、空き家に入ることにハードルは全然なかったです。
移住してみてから感じたこと
K:田淵町会に来てから数ヶ月経ちますが、住んでみてどうですか?
M:近所の人がとても気にかけてくれます。家の入り口の垣根や植栽も綺麗にしてくれたり、排水の土木工事がおこなわれていたり、とてもスッキリしました。ほんとに感謝です。この前も、有一さんがベッド持ってくるからって言ってくれたんですけど、自分で作って持ってきてくれたんですよ。すごいよく眠れてます。
K:都会とは違ったコミュニケーションですよね。
M:この前も組でわたしの歓迎会を開いてくれたんですよ。みんなで一品持ち寄って公民館に集まって。わたし女一人でいきました(笑)みんなお酒持ってきてくれて楽しかったです。
K:すごいですね。その中に入っていったんですね。
M:父も一緒に来たんですけど、遅くまでずっとお酒飲んで楽しんでました。こっちの自然がすごい好きって言ってて、よく有一さんと山仕事をしてるんです。こんなに父が来るとは思わなかったです。
K:お父さんもこっちの地域を気に入ってくれてよかったです。
M:近所の人はみんな野菜を作ってて、採れた野菜をくれるんですよ。別に野菜くらいって言ってくれるんですけど、わたしからしたらスーパーの値段が染み付いてるので、何かお返しできないかなっていつも考えてます。この町会の人たちはすごい地域の掃除もしているので綺麗なんですよね。
K:夏場になると草刈りに出てってみんなから言われるかもですね。
M:父がきっと出てくれると思います(笑)
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