SNSと書籍・冊子・Web記事について
私のようなフリーランスでは会社の看板がない分、過去の実績をアピールするのが営業の王道。その営業力を強化するためには、いろいろな案件をSNS等でUPして、
「こんなおもしろそうな本を作っているよ」
「(私にとって)新しい分野に挑戦しているよ」
「ここへ取材に行って、こんな興味深い話を聞いたよ」
と都度アピールする。成果物は逐一UPして感想や改善したい点を記載する
……といったことを重ねていきたいのですが、現実は狙い通りにいきません。
多くの書籍では、発売の目途がつくまで……具体的には印刷が始まるくらいまでは情報解禁となりません。そのため撮影の様子、制作段階ごとの情報、著監修者との歓談(雑談)や本誌には載らないけど興味深い話などをリアルタイムで伝えることができないのは、大きなデメリットだと感じます。
そしてようやく解禁になる頃には新しい案件が動き出しており、そちらで手いっぱい。自分の中では「終わった案件」になっており、記憶も興奮も薄れています。印税契約以外では特にそうです。そんな状態で記事をUPしても、感情が乗らず臨場感も薄く、今更感が漂う記事になるのがせいぜいです。
出版社的には「同じものを先に出されたくない」という視点からのことですが、もし、もっと前からいろいろな出来事を熱量を持って発信できれば、興味を持ってくれる人の裾野を広げやすい、期待感を持たせやすいのではないかと思うのですが、たいていの出版社は首を横に振るだけです。
一方、企業や教育機関、社団法人等の団体関連の広報誌や冊子では、制作途中はもちろん、成果物さえアピールできないことがほとんどです。
どれだけ興味深い内容であっても、滅多に立ち入れない場所や大物VIPへの取材であってもNG。冊子名や企業名、内容等を一切伏せ、さもプライベートの延長的な書き方で
「○○さんと会ってきました」
「××へ行ってきました」
もダメです。「宣伝してください」と言われない限りは、「SNSを全部削除してください」と強制されることさえあります。
私の仕事からすると、本当に残念でなりません。
自分の仕事が記録として残らない。提示できない。つまりアピールができない。これは、営業面で大きなデメリットです。かといって、それを補うだけのギャランティがもらえるかと言えば、NOです。
反面、通常は入れない場所に立ち入ることがあり、滅多に会えない人たちと出会える点は、大きなプラス。
私は後者のプラスを重視しているのですが、人によってはデメリットの大きさから敬遠されやすい分野かもしれません。
もうひとつ。Web記事。
こちらもいろいろな人の話を聞けたり、先端的な内容を扱えたり、枠にとらわれない分野に挑戦できたりと、いろいろなメリットがあります。私も結構な数を経験していますが、一定期間経過するとリンク切れを起こす点は大いに困ります。
「この前、こんなのやりましたよ」とアドレスを送っても「Not Foundでした~」と連絡が来たりするので、「本当に経験があるのか?」と相手に疑問を抱かせかねない状態に陥ります。
それぞれの案件でそれぞれにメリットとデメリット、おもしろさと難点があります。私が「ブックライターです」「Webライターです」と明言していないのも、書籍、雑誌、企業・団体の冊子、Web記事等の媒体に関係なく、さまざまな人と会い、多くの場所を体感したいから。
得意な分野・領域に関係なく、いろいろな業種業界、職種に出会い、触れたいからです。
これからもより多くの出会いと経験がありますように。