エンタメコンテンツの市況感を掴むにはKADOKAWAの決算が最高
KADOAKWAの決算が発表されましたね!
KADOAKWAと言えばラノベ好き的には電撃文庫や富士見ファンタジア文庫、MF文庫Jなどの有名レーベルの出版社でもあるのですが、それ以外にも映像やWebサービス、ゲームなどの事業も幅広く手がけています。
そのため、エンタコンテンツ界の巨人と言っても差し支えないKADOAKWAの決算を見ればその市況感が見えてくるのではないかと思います。
3Q単体の売上高は約530億
まず、KADOKAWAがどれくらいの規模の会社なのかと言うと、3Q単体の売上高がおよそ530億で、1Q〜3Qの累計であるとおよそ1,580億と非常に巨大な企業です。そのため、通期であると2,000億円の売上は超えてくる規模です。身近なところで言うと丸井グループと同じような規模です。
そして、セグメント別の売上は以下のようになっています。(いづれも3Q単体、単位は百万円)
出版:32,588百万円
映像:8,492百万円
ゲーム:2,815百万円
Webサービス:5,370百万円
その他:5,553百万円
したがって、出版セグメントで売上の6割程度を占めており、引き続きKADOKAWAは出版の会社と言っても良いでしょう。以下では細かくセグメント毎にポイントだけ見ていきたいと思います。
出版:ラノベ(紙)の売上高は18億円
出典:2022年3月期 第3四半期 決算説明資料(2022年02月03日)
ということで、18億円です。電撃文庫や富士見ファンタジア文庫、MF文庫Jなどのトップレーベルを有するKADOKAWAでも18億円なので、年間にすると72億円、仮にラノベ市場におけるKADOKAWAのシェア率が50%だとすると、144億円くらい。ラノベ市場(文庫本のみ)で140億円強と言われているので、文庫本だけならあながち外れていなさそうです。
また、ラノベ新刊点数という観点でいくと、3Q単体で207作品、年間にして800作品という規模です。ちなみに、ラノベに限らないと年間5,000の新作が出ています。
その他、個人的に発見だったのは電子書籍の売上のおよそ70%はコミックであるということです。文字は電子書籍では読みにくいなあと思っていたのは自分だけではなかったぞ。
出典:2022年3月期 第3四半期 決算説明資料(2022年02月03日)
最後に、売上に貢献しているタイトルとして以下の10は名指しで上がっていました。決算資料で紹介されるレベルってすごいですね。
出典:2022年3月期 第3四半期 決算説明資料(2022年02月03日)
映像:海外売上が20%を占める
映像は出版に次ぐ第二のセグメントで、売上における割合はおよそ16%です。というと小さく見えるかもですが、やく85億円の売上なので凄まじいです。
出典:2022年3月期 第3四半期 決算説明資料(2022年02月03日)
貢献タイトルは上記の通り。もちろん全部見てます。
そして、海外アニメ売上は明確な数値は出ていないのですが、17億〜18億暗いでしょうか。全体が85億なので、およそ20%を占めています。(権利許諾収入です)
出典:2022年3月期 第3四半期 決算説明資料(2022年02月03日)
3Q単体ではなく、1Q〜3Qという累積で行くと貢献タイトルは少し顔ぶれが変わって上記のようになります。出版に引き続いてリゼロの貢献ぶりがすごいですね。
出版こそメディアミックスの源泉
出典:2021年3月期 通期決算説明資料(2021年04月30日)
上記は作期の通気決算資料に掲載されていたスライドですが、これがKADOKAWAの構造を表していると思います。
ざっくりいうと、効率よく原作を生み出していって、芽のあるものはメディアミックス、そしてグローバル展開に繋げる、ということで型化が綺麗にされていそうです。
となると、原作者としてもこの構造を知らずとも、将来的な「メディアミックス」「グローバル展開」を見据えるとKADOKAWAで作品を出版したくなりますよね。
このことはKADOKAWAも重々理解していて、決算短信には以下のように明確に記載されていました。
出版事業では、書籍、雑誌及び電子書籍・電子雑誌の販売、雑誌広告・Web広告の販売、権利許諾等を行っております。当事業においては、メディアミックス展開の重要な源泉として年間約5,000タイトルにおよぶ新作を継続的に発行しており、蓄積された豊富な作品アーカイブが当社グループ成長の原動力となっております。
引用:2022年3月期 第3四半期決算短信〔日本基準〕(連結)