まるからむ

2期メンバーが入ってきたとき、3人の中ではいちばん普通っぽいひとなんだろうなと最初は勝手に思っていたんだけど、自撮りをするだけの目的で夜中に中学の時の制服を着て自動車で長野の道をぶっ飛ばして無人駅に行ったのを見て、ひょっとしてこのひとがいちばん普通じゃないのかもしれないと薄々思い始めた。そのあとファンクラブアプリ(そういうものがあった)の中で静かに前髪を切るだけの配信をしていたんだけど、その姿がとても綺麗で引き込まれたのが強く記憶に残っている。

メンバーも言及してるけど、たぶんいちばんいつでもグループのことを常に優先していて、自分にできることがなんなのかをずっと考えて追求していたひとでした。実際にはそういうことが苦手だという意識が本人にはあるから敢えて目標を立てて宣言して、本当にフォロワー数とかちゃんと何回もこつこつ達成していて、自分を追い込む手法のひとだった。学校の課題をやりながらほぼ無言でいるだけの作業配信をよくやっていた時期があって、わたしもだれか味方がいないとやるべきことに手が付けられないので、その配信を見ながら面倒でずっと放置していた仕事をなんとか進めることができたりして、本当に助かったというこれは直裁的なワークショップと言うか箱庭療法と言うか人生シンクロ体験の積み重ねがあり、そういう面でも単純にライブハウスで会うだけのひとではなくなっていった経緯があります。

オフ会で隅田川の花火を見たり大阪でなぜか雀蜂に行ったりしたけど、前の年にあげた誕生日プレゼントを身につけて来てくれたりして、そういう優しさが本当にうれしかった。ささやかだけどたしかに一生懸命選んだものだったので。その雀蜂でもプレゼントを買って渡したら、翌日それをステージでつけてくれて、しかもものすごく似合っていて卒倒しそうになった。

とにかく笑顔が強烈に可愛くて、所作や話し方を含めて少女性の強いひとなのですが、内面では真摯な思考や苦しみや悩みがぐるぐるしているのに気が付かされることが常だった。
自分の特性と付き合うのが必ずしも上手ではなくて、LINEはなんどもアプリごと消して怒られたって言ってるし何日も動けずベッドから出れなかったり床がもので埋まっていることも多かったのに、ステージや特典会でそのことをまったく気が付かせないでいられるのはものすごい努力と才能の両面を持っているひとだからです。でも最終的にその隠された苦手が爆弾になったのかなという気もしていて、共感性が高すぎて自分や学業よりグループを大事にしてしまう真面目さと優しさが花火のようになったのかもしれない。

11月にお休みに入る直前の1週間くらいは(おそらく服薬で)躁がすごくて見ていてほんとうにヒヤヒヤすることが多くて、ひとつずつはたいしたことじゃないんだけどとても心配で本人にもそれとなく話したりした。だから快速の心がいま潰れそうな理由のひとつは、あのときらむさんが怪我や事故など起こしていないだろうか、ということです。なにしろそれが最後に会った姿だったので。

ずっと心臓が痛くてしょうがない。いまずっと頭にあるのは、あなたのことがどんなに大事でどんなに好きかということをなぜもっとちゃんと直接らむさんにたくさん伝えなかったのかという後悔で、何年もオタクやってるくせにこんな根本的なオタク心得第一条違反で心が砕けることになるとは思わなかった。こんなのもうオタクと名乗れないと思う。

わんさんやもねさんのときも悲しかったけど、本人たちのその後の人生をなんとかして感じ続けられるだろうという予感があったからがんばって卒業をお祝いする気持ちでいられた。
でもらむさんのこれは本人が望んだ卒業ではまったくないのがとにかく苦しくて、ずっとぽろぽろ涙が出ている。本人だけが脱退という言葉を使っている。なんてささやかな抵抗なの。どんなに悔しい思いでこの文章を書いたの。
黄色を見ただけで辛くなってしまって、これで思い出のある場所に行ったら透明ならむさんの笑顔が見えて動けなくなりそうで、いまはばたん現場も大阪も行ける気がしません。

消えない縁があればどこかでまた人生が交わるだろうと思っているし、そう思うことでしか自分を保てないところもあるのですが、でもたしかに服作り含めてあれだけ才能があるひとだし、mekakusheさんの代行チェキも渡さないといけないので、未来を信じてみようかなとも思い始めています。こんなに心の温度が冷たくて世界の底で横たわっているような感覚の中でもそう思わせてくれるくらい、まるからむさんは、確かにアイドルでした。

ありがとう。
これからもかわいくて白くてふわふわしたものにたくさん囲まれて、いままでがまんしてたおいしいものを食べて過ごしてね。
だいすきです。
またね。


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