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2023年6月

2023年6月の読書メーター
読んだ本の数:9冊

インド夜想曲
アントニオ・タブッキ(須賀敦子)/白水Uブックス
なんでかしばらく手に入れにくかった本をこのたびついに。
ぜんぶ夢の中のような生暖かい空気の。薄着で布団に入る季節によく合う。
白水Uは本当にいいよね。セレクトも判型もいいとしか言えない。本屋さんになった暁には、白水Uの壁を作るんだ。
読了日:06月02日
https://bookmeter.com/books/524716


バン・マリーへの手紙
堀江敏幸/中公文庫
定期摂取。はっきり言ってもう目新しさはないのだけれど、色は淡いが骨太なこの文章を取り入れる時間が必要なのだ。
読了日:06月03日
https://bookmeter.com/books/11553712


個人的な生活
森本平/ポエジー21
黴短歌はユリイカでみたのだったかな。それだけの人ではなかった。
うつくしくなくてもいいのだ。はみだして破って捨ててもまだ残るもの。詩作歌作は決して雅な趣味じゃなくて、吐露なんだ。
読了日:06月04日
https://bookmeter.com/books/373504


優しい地獄
イリナ・グリゴレ/亜紀書房
信頼する本の友だちが読んで、ぐらぐら揺すぶられていた。それで、わたしも読むものなんだなとおもった。
年の近い、別のくにで生まれた人の、わたしのくにの言葉で編まれた、本。同じとき別の場所で、わたしとちがうこどものみたもの、考えたこと。もうなくなってしまったこども時代が誰にでもある。当たり前のことなのにひどく動揺する。自分のこども時代やもっと若かった頃のことが共振して急に主張し始める。人の語るのを聞いているうちに自分が語り出してしまう。
危篤の祖母に会いに行った帰りの電車で読み始めて読み終えた。
わたしも、憶えていることを書いておこうか。
読了日:06月04日
https://bookmeter.com/books/19989562


アブサン 聖なる酒の幻
クリストフ・バタイユ/集英社
毒、酩酊、幻覚。許されるのなら我も味わいたし。
古書店で買ったら「謹呈 訳者」の札が挟まっていて、来し方の気になる本だった。
読了日:06月06日
https://bookmeter.com/books/548740


風流江戸雀/呑々まんが
杉浦日向子/ちくま文庫
ぼくの心はいちにちも日向子の江戸の上を去らぬ。
いいことばかりじゃないにしろ、目と手の届く範囲で精一杯暮らすのなら、そりゃまあそういうもんだものしかたなしよと呑々しているよりほかないのかもしれない。一周回って呑々。
読了日:06月14日
https://bookmeter.com/books/20952870


禁断の毒草事典 魔女の愛したポイズンハーブの世界
エリカ・ライス/グラフィック社
凝った装丁とテーマを愛す。物としての本買い。
読了日:06月19日
https://bookmeter.com/books/20037382


月の文学館
和田博文編/ちくま文庫
月はきれいでやさしくて、ときどき凄くこわい。そんな思いの詰まったアンソロジー。
月は基本的に夜のものであるから、物語もしぜん、夜の闇や空気や視認性の悪さや酔いや不眠やらと親和している。夜でも本が読めるほど明るい繁華街なんかみたら、荷風や朔太郎は卒倒してしまうんじゃないか。正岡子規の舞台裏がとってもおもしろかった。
読了日:06月27日
https://bookmeter.com/books/12896000


中世への旅 騎士と城
ハインリヒ・プレティヒャ(平尾浩三)/白水Uブックス
書泉の祭に我も飛び込むなり。
なにしろ読みやすいので、祭がひらかれたのも納得だ。のんびりはしているけど決して呑気じゃない中世。日々の食糧確保にしろ冬の厳しさにしろ避けられない戦闘にしろ、休まず命懸け。敵陣の水を汚す戦法はおそろしいね。効果覿面だろうね。
読了日:06月29日
https://bookmeter.com/books/334434