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2022年8月

読んだ本の数:4冊

江戸衣装図絵 奥方と町娘たち
菊地ひと美/ちくま文庫

男版のほうがよくできていた、というよりも満足度が高かった。というのも、女版は多種多様すぎて一本のラインにまとめるのが難しそうで。がさっと掴んでざらっと広げられた種種雑多な飴玉のよう。
夏でも重ね着を当たり前にしていられたというのは、今よりは涼しかったせいかしらね…
唐輪とか兵庫髷系はアレンジしたらいまでもかっこよくできるのではないかと睨んでいる。長くのばすことがあったらチャレンジしてみたい髪型。
08月16日


文字禍・牛人
中島敦/角川文庫

何度でも言うが、中島敦の第一印象はよくなかった。
高校現国、山月記。ひたすら眠く退屈な授業。
しかしあれは中島敦の責任ではなかったのだ。幼すぎた自分と、斜めの方向に熱の入りすぎた教師がすれ違っただけのこと。先ごろふと思い立ち、山月記と出逢いなおした。なんだこれは!ほかは?ほかの作品では、この人はどんなことを言っている?
そういうわけでこちら。短編のその中に存在する世界のひろいこと。言葉の巧みなこと。洒落心の豊かなこと。中島君は、とっつきにくいけど打ち解けたらきどらない憎めないいいやつだったかもしれないなあ、などと。
あとね、音読するととてもいいよ。
08月18日


受難華
菊池寛/中公文庫

俗々しくてぞくぞくしたわ。おもしろくてどんどん読んだけれどそれは、必ずしも主人公たちへの共感ではなかったんですの。恋愛って、人を好きになる・愛するってなんなのかしら。人に生まれながらに備わった、天然の、あるがままにそこにあるシステムとはおもえませんのよ。
だってそうでしょう。他人だの社会だののように変わりやすいものの影響を受けて規定されることを免れないんですもの。そりゃあ、彼女たちはお話のなかの人達ですけれど。
それにしても、いくらお金持ちでも、彼女たちのような生活では退屈で退屈で死んでしまいそうね!
08月22日 


穴の本
ピーター・ニューエル、高山宏/亜紀書房

『穴の民』として手に取らずにいられなかった一冊。
しれッと剣呑ずいぶん剣呑。 きっと原文には独特のリズムがあって、そのかんじをなんとかして日本語に移植できないか……という苦心惨憺があったのではないか。韻ではないのか。助詞をおとしてあるのはすぐわかる。原文どうなってるのかな~、みてみたいな~。
あとがきに「この手の雰囲気か、そうか。そうか。」と知ったかぶりをかましたくなる。 あのこに贈って感想をきくことができたなら。
『マルコヴィッチの穴』なんてのもあったし、『地下室のヘンな穴』とかいう映画も公開されるらしい。穴はおっかなびっくり魅力的な存在なのだわね。
08月29日 

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