2023年9月
2023年9月の読書メーター
読んだ本の数:6冊
■見えない性的指向 アセクシュアルのすべて――誰にも性的魅力を感じない私たちについて
ジュリー・ソンドラ・デッカー/明石書店
再読。再確認。誰憚ることなくこれでいい。「ほんもののの○○」「より正しい○○」なんていない。
[以下2019年の初読時点の感想:概念を知ったのはここ数年。「どんな性自認も性志向もその組み合わせもあり得る」に違和感がないので、細かいラベリングに意味はあるのか?という疑問があったけれど、それは当事者が自分の感じかたを考えたり説明したりするために必要なものなのだという理解に到達。それはそうだ。まったくそうだね。わかっていれば、はやくうまく、傷つく前に立ち回れるかもしれないもの。]
読了日:09月03日
https://bookmeter.com/books/13725479
■検証 ナチスは「良いこと」もしたのか?
小野寺拓也、田野大輔/岩波ブックレット
全体に、なんだかそのやり口すごく知っている気がする。とおもった「民族共同体」という餌。思い付きで口が滑ったわけでもなかったんかなというのは飛躍しすぎですけれど。取り上げられている具体的な検証はもちろんのこと、その考え方を読み取るべき一冊ではないかと感じた。事実・解釈・意見の層というのと、歴史知識/意識を分けるということ。感情を捨てることはできないからこそ、自分の中にある情報はどれにあたるのか、それぞれの連絡がどうなっているのか、精密に考えなければならないと。
余談ですが、SNSで著者に絡んでいくひとたちの『話の通じなさ』は本当にすごい。信じられない。
読了日:09月03日
https://bookmeter.com/books/21384753
■本のれきし5000年
辻村益朗/たくさんのふしぎ傑作集
自分のすきなもの、本。「本が好き」を自称するものとして、素通りできない一冊。本ていったいなんだろかい?から始まって、先行きはオープンに締めくくる。今、本があって手に入ることは当たり前でなく、この先も断絶なく続けられるのかはわからない。また、本書初版の頃にはなかった電子書籍をどう位置付けるか。まだまだ議論がありそう。紙の伝播地図の頁に最もわくわくした。とくにヒマラヤ山脈付近の矢印!
読了日:09月07日
https://bookmeter.com/books/410901
■お嬢さんと嘘と男たちのデス・ロード ジェンダー・フェミニズム批評入門
北村紗衣/文藝春秋
苦笑に次ぐ苦笑。というのも、なにかに夢中になっているオタクが陥りがちなあれこれが鋭く織り込まれているからだ。スター・ウォーズについての一本はもう震えながら読んだ。祟り神になんかなりたくない、その一念である。賢くいなければ。ちょうど朗読劇のロミオとジュリエットをみたばかりで、なんかよくわかんないなあと思っていた部分につながる解説が読めたのはラッキーだった。みたままのそのままが全てでもいいけれど、いくばくかでも補完できる部分があると、作品の解像度が上がって楽しいのも本当だ。
読了日:09月09日
https://bookmeter.com/books/19787809
■フィンランドは今日も平常運転
芹澤桂/だいわ文庫
①サウナ、あぶなそう。読むだけでひやひやする。変な笑いがでる。
②『モテ男の条件』余計なお世話だわよ。マイクがその生活でたのしくやってるならいいじゃない。「善い性質」は別にモテとか恋愛とか結婚のためにあるわけじゃないよ。と、この一本で他を塗り潰してげんなりしてしまった。
読了日:09月10日
https://bookmeter.com/books/19841231
■ラ・フォンテーヌ寓話
ラ・フォンテーヌ(大澤千加)/ロクリン社
かの有名な寓話集。フランスものにふれるとちらちら姿を覗かせる存在。全くのオリジナルなのだと思っていたけど、「あれ、イソップじゃないか?」その通り、イソップなど古今東西の物語にアレンジを加えたものらしい。へー。寓話はもちろん面白いが、この一冊はやはり挿絵を眺めるのが楽しい。登場する生きものの、とぼけた、どんな表情にも見える絶妙な顔がよい。ちょっと期待してた『熊の敷石』は収録なし。
読了日:09月10日 著者:ラ・フォンテーヌ
https://bookmeter.com/books/10918466
不惑わくわく。
まだまだ惑星のように生きています。
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