カイ書林 Webマガ Vol 15 No12
このメルマガおよびWebマガは、弊社がお世話になっている先生方に毎月配信します。毎月「全国ジェネラリスト・リポート」と「マンスリー・ジャーナルクラブ」を掲載しています。
【Coming soon】
病棟教育学論―院内での教育者と学習者のつながり、コーチング、そしてコミュニケーション
“卓越した18人の米国指導医に対して行った質的研究に基づく病棟教育の本質”
Sanjay Saint,他著(Oxford UP)、和足孝之,翻訳
ISBN 978-4-904865-74-3
A5判、200ページ、定価3,000円+税、2025年1月末刊行予定
【新刊案内】
徳田安春&鎌田一宏:バイタルサインでここまでわかる! 第2版
A5判 200ページ 定価2800円+税 11月20日発売
ISBN 978-4-904865-73-6
【好評発売中】
筒井孝子著:必携 入門看護必要度 2024年診療報酬改定対応
5月11日発売 A5判 254ページ 定価:2500円+税
ISBN 978-4-904865-70-5 C3047筒井孝子著:ポケット版 看護必要度 2024年診療報酬改定対応
5月11日発売 A6版 113ページ 定価:500円+税
ISBN 978-4-904865-71-2 C3047草場鉄周監修:「総合診療・家庭医療のエッセンス 第2版」
5月17日発売 A5判 380ページ 定価:3800円+税
ISBN 978-4-904865-72-9 C3047筒井孝子・東光久・長谷川友美編集:看護必要度を使って多職種協働にチャレンジしよう ジェネラリスト教育コンソーシアム Vol.18
梶 有貴、長崎一哉 編集:ジェネラリスト×気候変動― 臨床医は地球規模のSustainability にどう貢献するのか? ジェネラリスト教育コンソーシアム Vol.17
【Coming soon】
病棟教育学論―院内での教育者と学習者のつながり、コーチング、そしてコミュニケーション
“卓越した18人の米国指導医に対して行った質的研究に基づく病棟教育の本質”
Sanjay Saint,他著(Oxford UP)、和足孝之翻訳 ISBN 978-4-904865-74-3
A5判、200ページ、定価3,000円+税、2025年1月末刊行予定
■2024年度の第11回Choosing Wisely Japanオンライン・レクチャー
演題:「Measuring Low-Value Care」
演者:宮脇 敦士 先生
2024年12月8日に開催されました。
参加者の声から:
レクチャー後のディスカッションで理解が深まりました。無駄な検査はしないという正論に対して、病院経営や患者の安心、保身といった事情で検査が行われることが実臨床ではありますが、背景要因への介入や対話が重要であると思いました。またインフォームド・コンセント、患者参加型医療の点からも「患者からの5つの質問」は非常に有効だと思います。
*2025年度Choosing Wisely Japanオンライン・レクチャー:「Choosing Wiselyからみた19番目の専門医:Micro/ Meso/ Macro system levelの課題の診断と治療」
とき;2025年2月9日(日) 20:00~21:30
演者:和足 孝之先生
京都大学附属病院 総合臨床教育・研修センター
参加ご希望の方は下記よりお申し込みください。
上記オンライン・レクチャーの記録は,Choosing Wisely JapanのNewsletterとして会員の皆さまにお送りします.会員入会ご希望の方はこちら,→https://choosingwisely.jp/member_entry/
■全国ジェネラリスト・リポート
救急医療の「質」を考える
花木奈央
大阪大学公衆衛生学教室 / 救急医
救急医として勤務していた私が京都大学の医療経済学教室に入学したのは,「質の高い救急医療が提供される社会」に研究の側面から貢献したいと考えたことがきっかけです.それから10年が経ち,現在は非常勤の大学教員と非常勤の救急医の仕事を掛け持ちしています.
2016年,東京で開催されたISQua(International Society for Quality in Health Care)でChoosing Wiselyを知り,「こんなに楽しく医療の質を高める活動があるのか」と感銘を受けました.それから5年後の2021年,私が運営に携わる救急医のグループ「EM Alliance」のメンバーと共に,救急医療におけるChoosing Wisely指標を作成することができました(PMID: 37019499).
指標作成から3年が経った今,次の課題は「指標をどのように救急医療の質の改善につなげるか」です.指標は作成して終わりではなく,実臨床で活用されて初めて意味があり,最終目標は実際に医療の質が改善されることです.
医師になって20年が経ちますが,今でも診療に従事するたびに新たな疑問が浮かびます.立場や経験によってその「疑問」は変化してきましたが,臨床業務でしか見えない問題に対し,研究を通じて解決したいと考えています.今後も複数の立場を行き来しながら,少しでもより良い医療が提供できるよう精進していきたいです.
■マンスリー・ジャーナルクラブ
GLP-1受容体作動薬のアルコール使用障害に有効
片山 皓太
聖マリアンナ医科大学 総合診療内科学
福島県立医科大学 大学院医学研究科 臨床疫学分野
Lähteenvuo M, Tiihonen J, Solismaa A, Tanskanen A, Mittendorfer-Rutz E, Taipale H. Repurposing Semaglutide and Liraglutide for Alcohol Use Disorder. JAMA Psychiatry. 2024 Nov 13:e243599
アルコール使用障害(AUD)は,世界の疾病負担の約5.1%を占める深刻な健康問題であり,適切な治療法の確立が急務とされる.心理社会的介入や薬物治療が従来の治療法として知られているが,十分な効果が得られない場合もある.一方で,糖尿病や肥満治療に用いられるGLP-1受容体作動薬が,アルコール摂取を減少させる可能性が示唆されてきた.本研究は,GLP-1受容体作動薬がAUD患者の入院リスクに与える影響を検討したものである.
内容の要旨
目的:GLP-1受容体作動薬がAUD患者の入院リスク低下に寄与するかの評価.
方法:本研究はスウェーデン全国規模の登録データを用いたコホート研究である.2006~2023年にAUDと診断された16~65歳の患者を対象とした.患者のGLP-1受容体作動薬使用期間と非使用期間を比較し,AUDによる入院,他の物質使用障害(SUD)関連入院などをCox回帰モデルで評価した.
結果:対象者は227,866人で,平均年齢は40.0歳だった.セマグルチドはAUDによる入院リスク低下と関連した(ハザード比 0.64, 95%信頼区間 0.50-0.83),リラグルチドも同様だった(ハザード比 0.72, 95%信頼区間 0.57-0.92).セマグルチド(ハザード比 0.68, 95%CI 0.54-0.85)とリラグルチド(ハザード比 0.78, 95%信頼区間 0.64-0.97)はSUDによる入院リスク低下とも関連した.
コメント
GLP-1受容体作動薬が,糖尿病や肥満に加え,AUDに対しても有効な可能性が示されたことは,プライマリ・ケア医としては非常に興味深い.糖尿病や肥満患者にセマグルチドやリラグルチドを使用することで,偶発的にAUDの改善が期待できる.加えて,GLP-1受容体作動薬は心不全や慢性腎臓病,認知症などの他の領域でも有効性が検討されている.以上を考慮すると,GLP-1受容体作動薬は,プライマリ・ケアの現場において患者の多面的な健康支援に重要な役割を果たすであろう.一方で,薬剤の有効性と安全性を確立するためにはランダム化臨床試験が必要であり,今後の研究が待たれる.本研究の知見を踏まえ,日常診療において飲酒習慣の評価をより積極的に行い,アルコール使用障害への介入を強化することで,患者の健康リスクを軽減する可能性が示唆された.
■カイ書林図書館
オンライン多職種協働コンソーシアムのご案内
世話人に徳田安春先生と筒井孝子先生を迎え,オンライン多職種協働コンソーシアムを開催します.
① 普段一緒に仕事をしている多職種の方々と一緒にグループで参加してみませんか、日常診療に役立ちます。
② 集客状況が30人くらい確定してから、オンラインミーティングの内容を具体化します。
③オンライン多職種協働コンソーシアムの開催予定は。2025年3月~5月です.
1施設4~5人ずつで多職種チームでの参加を募ります。
・参加費:グループごと1万円。
・事前資料:希望する参加者に「バイタルサインでここまでわかる!第2版」と「必携入門看護必要度2024年診療報酬改定」を,事前資料として無料贈呈します。
施設からのグループご参加のご都合を下記のgoogle formでお知らせください.