「+姉さん」について尚語るべきこと
ギャグ漫画「+チック姉さん」(以下プラスチック姉さん)は模型部の3人娘が実質の主人公だが登場人物が多く、誰の話数もそれなりにオモロイ。クレイジー・パラノイア・ゲイの国木は言うに及ばず、無限双子のウノサノや嘘つきショートカット娘佐々木、可愛い死神辰っちゃん、邪悪9番。そして私は、<ムチャおじ宝井>がもうとにかく好きだ。
ムチャおじ宝井は、とにかく「無茶」をすることにこだわる。火事現場に飲みくさしのちっこいエビアン水を被って入っていって小便で消火しようとしたり、ロシアンルーレットを全弾撃ってなぜか死ななかったはずなのに幽霊になってアイスの棒で我が墓を作り「金魚とかの行くあの世」に行って金魚を持ち帰ってきたり。海人さんの切り抜きを見てオナニーしようと試みたり(失敗する)、ムチャしやがる。
そして「プラスチック姉さん」全般に言えることなのだが全登場人物にバックボーンというものが一切ない。これがとてもいい。ギャグ漫画でも人物の背景を後付けして白けさせてくれるバカ作品は多々ある。
「HUNTER×HUNTER」の新刊38巻が出た。幻影旅団のバックボーンは本当に当初から考えられていたものなのだろうか。確かにあのビデオテープは20年前の初見から妙な感じがしていた。当時すでにビデオテープの時代でもなくなりつつあったこともあるが少しモノとして妙だった。
しかしヨークシン旅団編はあらゆる指摘や突っつきを無効化する非常にクールな流れがあり、「始めはただ欲しかった」もただカッコよかった。ビデオテープも、それっぽかった。パクノダがヒソカを調べなかったのもよく考えればおかしいけど読み飛ばしていた。
旅団の過去編は私を一種白けさせたが二度読んでコレでもいいかと思った。おそらく「前に描いたビデオテープから繋げるか」的な話の起こし方だろうが冨樫は無意味な後付けをしないと思うので王位継承戦で、あえて入れたこの過去描写は何か効果を発揮するのだろう。
そういうバックボーンがまるでなく単発単線で読める「プラスチック姉さん」には罪がない。今もどこかで宝井がムチャをしているのだと思うと笑いそうになる。いずれあのCOMIC LO風に妙に雰囲気ある単行本の表紙になってほしい。
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