君たちはどう生きるか

大の映画好きというわけではないので、映画館で同じ映画を観ることはほぼ無いのだが、今回は「君の名は」以来、再び映画館で観るということをした。

あまあこんなnote誰も見てないと思うんすけど、一応ネタバレも含むってことだけ言っときます。

僕はジブリファンではないので(最近結構見ているが)「君たちはどう生きるか」という映画を、ジブリ作品だ!という視点で見ていない。

一度目はただただ世界観に圧倒され、これは何を表しているのか、どの部分が美しいのかという見方ができなかった。
ただ、アート好きであることもあって、「よく分からない物事」を分かろうとする行為が好きなので、「全然よく分からないが、どのようなコンテクストから表現されているのか知りたい」という考えになった。

二度目を観るまでに、考察動画や考察文などである種答え合わせ的なことをしていた。

そして二度目を観た。
やっぱ圧倒的に面白いし、一度目よりも「美しいな」と感じる場面が多かった。

一度目は色んな世界がカオティックに移り変わっていき、そこに現れる全ての世界が壮大ですごいなぁとぐらいしか思わなかったが、
今回は、「夢の中を旅しているよう」であった。
思い起こしてみると自分も夢の中でこんな場面に出会ったことがあるなと思う部分もある。
「夢」と感じたのは、この映画に登場するすべての描写が、「超越したファンタジー」ではなく、「現実世界の事物の本質を掴み、美的でかつ皮肉的に翻訳した」ように描かれていると感じたからだ。
また、所々で「音が曖昧になる」場面が挟まれる。こういった手法的な面でも「夢の中」を感じさせている。
宮崎さんは多くの成功と失敗を繰り返す中で、天国のように心が開ける時間も、何か恐ろしいものに追われる時間も体験していたのだなぁ。

ジブリ的なコンテクストは相変わらず分からないので、一つのアート作品的な感覚で見る。
宮崎駿がジブリ作品を作ってきたというバックグラウンドが強く存在していることを感じつつも、この映画は現「代社会の風刺であり、世界の向かっていく未来像であり、日本の伝統的風習を尊びながらも嘲笑したもの」である。そして、「人間は自然を大切にし、共生するべきであるが、所詮人間は脆いもので、自然界の生き物の潜在的な力によって押しつぶされるのだ」という宮崎さん独特の自然観が露呈している。

おそらく、この映画がわかりにくいところはこういったミステリアスな描写とパラダイスな描写が隣り合わせに展開されていくから、結局何を伝えたいのか一つに絞れない、分かりにくいとなるのだろう。
この映画は伝えたいことの軸が亜あるという見方をしない方がいいと思った。

ピアノの一音と青鷺の登場で別の世界に移り、音が曖昧になる。
そしてまた現実世界に戻る。
これを繰り返すことで、世界の境界線が消えていき、同じ世界の中に統合される。
モンタージュがかなり独特で前衛的であるからこそ、「君たちはどう生きるか」は映画だがアート的であると感じさせる部分があるのだろうな。

拙いですが、感想でした。



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