消したいほど憎い過去を振り返って見るのも悪くないかもしれない。

単刀直入に言う、僕は過去を全て消したい。

生まれてきた瞬間の記憶はもちろん小学生時代のことすらまともに覚えていない、いや、印象に残ることが少なかったという方が正しいかもしれない。

"悪いことを除いては…" 

覚えているのは4年生以降のことぐらいだ、だけれど思い出そうとすると自然と苛立ってくる。

文庫本を破かれたこと、意味もなく足をかけられたこと、キーホルダーを盗られたこと、筆箱を捨てられたこと、名札を投げ捨てられたこと、やってもない濡れ衣を着させられたこと、…

最早いじめなのかと疑うくらい笑えてくる

けれど当の本人達はそんなこと微塵とも思っていないのだろう。

あの時は楽しいこともあったはずなのに、思い出そうとすると苦だったことしか思い出せない。


嫌いだった、ずっと嫌いだった。




だから、人を信用するのが苦手だ、

だからこそ人を見下してしまう癖がある。

持久走でクラスで二番目になった時も、リレーの選手に選ばれた時も、セットの練習をするのも、

「バスケ頑張ったから体力ついたんだよ!笑」

「みんなのために頑張るね!笑」

「自分を少しでもよくみせられたらいいな!笑」

全て建前だった。

「お前雑魚くね?」「かいせいはデブだから勝てる笑」「黙れよブス」、、全てお前らの発言を見返すために、そして見下すために努力した結果だから、、

そうしたらすぐに手のひら返すもんな、

「すごい頑張れ!」「かいせいはやいからなーわ笑」「セット教えてよ!」

は?随分都合がいいよな、、




そうして高校に入った。

「かいせい変わったね」

そういう奴はその当時自分を下に見てた証拠、

もう大量の人間を信用するなんてことはしない。


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