【作品《終わりの季節》について】
この横長の作品は、絵巻物をまず念頭において作りました。
向かって右から左へと、時間と情景が進みます。
この作品は、3枚のパネルで構成されており、
1枚ずつで販売致します。
1枚絵をバラ売りしているように、思われるかもしれませんが、
これは、この作品のテーマにもなっています。
個別販売する事で、どこの画面が抜けるかわかりません。
抜けた部分を、新たに描き繋ぐ事を、主要な目的としています。
大きな災害が、起きた時、命が助かるかどうかの命運の分かれ目は、
ほとんど偶然かもしれません。
全く普通の日常生活の中で、投げたコインが裏か表か?
それだけの、なんの脈絡も無い切欠で、数分先、数年後の、物事の行方は変わるのではないかと感じます。
投げたコインが表だった時に巻き起こる情景と、裏だった時に起こる情景は、それぞれ別の次元で、存在し、展開しているかもしれません。
そう考えると、未来は、常に白紙だと感じます。
その様な事を、絵画で表現したいと思いました。
「どの画面部分が、抜けるかわからない」という偶然性で、
お客様の投げたコインの裏表のような「偶然性」との、セッションのような形で、成長・増殖する絵画です。
今回の3枚の絵の内容を、少し説明します。
大きな彗星が落ちてくる、この世の終わりの様な情景を描きました。
1枚目は、巨大な彗星が落ちてくる、この世の「変容」。
2枚目は、その災害から逃れる命達「避難」
3枚目は、混乱のあとの「静寂」
を表しています。
それぞれの時間の流れを3枚のパネルに描きました。
そして、それぞれの時間と空間の中に変容していく馬がいます。
これは、絵巻の異時同図法を意識しています。
全てが終わり消えていく情景。
荒れる、もがく、生の限界、死が近い、無力感
生きる誤魔化し、終わり、終焉、そして何も無い。
彗星が落ちてくる
世界の終わり
変容
変化
生命
いのちの再生
四季
1年の終わり
そんな言葉を、想いながら、描いた3枚です。
白野 有
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