【日記】2022/2/23
10:28
目が覚めて30分くらいダラダラしていた。
頭が痛い。まだ、動かない犬を想像するばかりで、実際に死を受け止められていない。
12:36
お花を買った。
急すぎる。
14:11
この新しいiPhoneのカメラでジャックを撮ってあげたかった。
20:40
とてもかたくなっていた。冷たくもなっていた。
日付が変わって0:03
ジャックにおやすみを言って自分の部屋に戻った。
遺体はあたたかい場所に置いてはいけないのだということで、リビングは冷えていた。
母親を見るのが本当につらくて、逃げ出したくなるくらいだった。ジャックを見るよりも辛かった。
ジャックの誕生日は2011年4月6日、命日は2022年2月22日。満10歳10ヶ月。
震災の年生まれだった。わたしが中学一年生に上がった年のゴールデンウィークのあたりでうちにやってきた。子犬のくせに、脚が太くてなんだかおもしろかったのを覚えている。
人間で言うと心筋梗塞みたいなものだ、ってお医者さんは言っていたらしい。
昨日の21:00ごろ、両親の前で、息が止まったそうだった。急いで病院に連絡して、連れていったけれど、車の中では何度呼びかけても、すでに反応もなく、息もなかったそうだった。
最近、一度元気が急に無くなり、薬を飲んだら元気になったらしい。しかし、その薬が強過ぎたのか、副作用で下痢になってしまったようだった。薬の投与はやめ、下痢止めの薬を貰いに行って帰ったところで、歩けなくなるまで元気が無くなっていたそうだ。
ここ最近はずっと、母親は、ジャックと一緒にリビングで寝ていたし、ずっとべったりだったので変化にもすぐに気づいた。
顔が冷たくなってきた、と母が父に言い、そこで一度ジャックはノロノロと立ち上がってダイニングテーブルの方へ向かうと、また横たわってしまった。息が荒くなった。両親が病院に連れて行こうとした時一度立ち上がったので、大丈夫だと思ったが、やはりそのあとすぐ、ダメになったそうだ。
病院に連れて行くとき、母親は本当に気が動転しており、携帯も車の鍵もわすれて家を出ていた。
父親はジャックを抱いて後部座席に乗り、母親の運転で病院に向かったそうだった。
最近の新しい車は、一度エンジンが掛かれば近くに車の鍵がなくても運転できてしまうらしい。父親が車を温めるために一度エンジンを掛け、鍵を自宅のキーボックスに戻した。母親には父親から「鍵が車の中にないから持って出て」と伝え、母親は返事をしていたが、もうそんなこと頭に入ってこなかったんだろう。鍵が車の近くにないよというお知らせランプに気づいたのは、運転が始まってからのことだった。
病院に着くと、父親は何度も母親に「絶対にエンジン切るなよ、帰れなくなるからな」と言い聞かせた。
そこで病院に「つきました」と電話をしようとしたら携帯もないことに気づいた。待っていたところ、病院側が気付いて開けてくれたそうだ。
もう歩けなくなっていたから、排泄物も勝手に外に出てきてしまう状態だったらしい。敷いた布団の上に横たわり、布団は汚れていった。性器周りの毛も排泄物で汚れている状態で、介護が必要な犬だなんて認識もなかったものだから、マナーベルトなんてものもなく、ただ、汚れていた。
亡くなったと診断を受けたのち、少し車で待っていてくださいと病院の方に言われて待っていると、ジャックのなかにあるものが外に出ないように処置してくれて、汚れていた毛の部分も洗ってくれた。お花もくれた。
母はInstagramを通じて全国のボーダーコリーファンと繋がっていた。ジャックは極度のおくびょうで人見知りだから、お友達にも家族以外にも会えないけど、ファンたちからはコメントで可愛がられ、愛されていた。
仲良くなったファンの方から、お花も届いた。立派で綺麗な花籠だった。ジャックの近くに飾った。
わたしたち兄妹からも、小さいながらお花を飾ってあげた。
母親が心配でならない。不安だ。
本当に溺愛していたし、ジャックは彼女の生き甲斐だった。私たち実の子供ではもう癒せないところを、ジャックが着実に埋めていた。急に静かになった家。急に寒くなった家に、彼女は今後帰れるだろうか。昨日まで生きて動いていた、温かかった、喋っていたジャックが、私たちが触ってあげない限り微動だにしないものになってしまった。
変な気を起こしたりはしないだろうけれど、心の支えが無くなって、体調に本当に色々現れてしまうんじゃないかと思う。
両親はいつまでも元気だと思っていたが、実はちゃんと健康にガタがきているらしかった。
病院に行ったり、薬を飲んだりしている。
特に母親は、つらくてもずっと立てる、限界を迎えた途端に倒れるような一番危ないタイプだ。私のように、弱くない。
頼むから、早く元気になってほしい。次の子を迎え入れていいから、早く虚脱感から遠ざかってほしい。
日曜日がお葬式。それまでは私も実家にいるし、母親も休みをとった。
母親を見ているのが本当にキツくて、どうしていいかわからなくて、私では癒せないって分かってて、ジャックの死の辛さ悲しみとは他に、無力感に苛まれている。
木金と仕事はある。悲しいからと言って、仕事を疎かにしていいわけではない。月火でかなり仕事でゆるゆるムーブをしてしまったので、木金は少し頑張らなければ。。
彼に会えないのがものすごくまたつらい。隣で私を撫でてくれるのは彼だ。抱きしめてくれるし、気を使ってくれた。
ジャックが死んだことを伝えたら、一緒に泣いてくれた。会ったこともないのに。
父にはそれを伝えた。それを聞いて笑っていた。
ジャックの遺骨を入れて持ち運べる、アクセサリーがあるらしい。存在は知っていたけど、本当にそれを目にする日が来ようとは。
母親はそれをもらうのだと言っていた。私もほしい。
ジャック。ジャック。。
呼んでも起きない。不思議。
日曜までたくさん撫でてあげる。
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