「#創作大賞2024応募作品」❅ルナティックエンメモア Lunatic aime moi -紅紫藍―24.紛いもののXXX。
❅24.紛いもののXXX。
――――――「“光源の月のもの”たち」
零れた言葉は夜の海にかき消された。
ミハイルの言葉に何かが共鳴した。
どこか。
何処かで聞いたことがある気がした。
それが何処だったのか思い出せない。
俺はそれを知っている。
耳の奥にこびりついた悲鳴と鈍くこだまする声。
開けることを戸惑う。
鈍痛を訴える記憶を。
「俺は何を忘れている?」
霞みがかったそれがリフレインする。
なにかの悲鳴。
どす黒く染まった感情。
瞳を焼くほどの光線。
耳を塞ぎたくなる怒号。
嫌悪した何か。
聞き取れない声。
沈む銀色。藍色に満たされた思考。
「世界がちぎれていく。」
何もかもに靄がかかって引き摺りだそう意識すればするほど現実が離れていく感覚。
誰かが叫ぶ。
真横に降り注ぐ雨の感触。
「ごめんね」誰かが言った。
お前はだれなんだ。
壊された何か。
「生き延びた僅かのその果て。
――――“conceal”」
この刻まれた紋は証じゃないのか?
分からない。
――――「いや、俺は何の記憶を盗られている?」
“導きの宝石”
“光源の月”
それに…“アカツキ”
俺はたぶん知っている。
煤けた灰に塗れた記憶。
混乱の果てで指先に伝わる冷たく滑らかなその命の結晶を頻りに撫でた。
※この作品の初稿は2022年9月よりpixivにて途中まで投稿しています。
その作品を改定推敲加筆し続編連載再開としてこちらに投稿しています。
その他詳細はリットリンクにて。
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