❅――価値屋《才能を開花させるペン》taste1プロローグ ・小説VER 2024.02.14-

❅キャプション
価値について探す物語。
≪投稿予定≫
・台本VER
・小説VER
・原案VER(現制作4時間)
(各セクション数は未定。大まか構図あり。設定など少しずつ追記形式。)
とある一言から連想したら物語降ってきた。
僕ならこうやってこたえたいな…なんて思いながら。
…いやなげぇよ、原案。
練り広げていったら脳内ではスクエアに居たので今回は台本tasteにも挑戦してみようかなって。独学の勘ですが。ボイスドラマと迷ったので構成はよくわからん。
あったかい瞳であったかい心で見守りお付き合いお願いします。
色々で心折れたらやめるかも。
❅ *追記
随分本気になってめっちゃこだわってるので気まぐれに気が向いたら有料公開に移動するかと思いますのでよろー。
いつも通りの注意事項でよろしく頼むよっ!

藍堂翔琉



――《才能を開花させるペン》小説VER
2024.02.15



taste1プロローグ

「やぁ、人間。
はじめまして、僕は価値屋。」
唐突に現れた長身はにこりと笑って見せた。
「え。ああ、よろしく。」
自己紹介をされれば予測反応で人間だれしも手を差し出すものだ。
意味が解らなくともとりあえずと。
ああ、それから間を持たせるためかと思考を巡らせながらも
条件反射のように手を差し出してにこりと笑いかえす。
長身は視線だけを動かしてこちらの動きをじりと見遣る。
まるで獰猛な猛獣がか弱い捕食対象の動向をじっとみるあれだ。
数秒固まったその雰囲気はあっけなく解かれた。
長身が興味が失せたかのように動いたからだ。

「ああ、よろしくする気はないから結構だよ。」と目の前の長身は手を翻して躱した。
そうすれば差し出していたその指先を空気だけが虚しく掠めた。
また居心地が悪くなってくる。
無理矢理開いた口がなにか手掛かりをと急いていた。

「…そうですか。あー…じゃぁ名前は?」

眉間に増えた皺のまま問う。
そんなこちらを長身はすこし目を細めて答えてみせた。
長身はやれやれと呆れたように首を横に振って。
「名前?ふふっ君、面白いことをきくね。
僕は価値屋。そんなものはないよ。
そもそも僕に名前なんて必要ないからね。」
価値屋と名乗る長身は嘲あざけるように呟いてから心底面白いとでもいうように続ける。
まるでなにか得体のしれない違和感だけが渦巻いては滞って濁る。

「さて。そんなどうでもいいことは置いといて僕は君に質問をしに来た。
こたえてくれるね?
ああ、そんな怯えなくていいのに。
正直にこたえて。」
なんて構わず価値屋は続けた。
ちっとも頭には入ってこない。
それでも、この得体の知れない不愉快なものに背を向ける気にはなれなかった。
ただならぬ何かは一体何なのだろう。
ただ不愉快なのだ。
問うと宣言されたそれにだけ脳が勝手に判断を下す。


「“君は価値のある人間かい?”」


ゆっくりと着実に告げられたその問いにチカラが抜けた。
ただならぬと感じていた価値屋はただの理屈屋だったわけか。

「はっ。なんだ。そんなことか。
ああ。あるさ。
俺に価値がないとでも?」
ちいさな抵抗と不愉快さに毒を混ぜて威嚇を零す。
価値屋は笑う。
心底おかしいとでもいうように。
そして、まただ。つじつまの合わない感情を投げかけてくる。
心の底から笑っている。
なのに心底冷え切った声色が響く。
不愉快だ。
とにかく不愉快で仕方ない。

「へぇ…随分と自信があるみたいだねぇ。
それなら、君に問おう。
それ、証明できるかい?
君が排除に値しない君が価値のある人間であり無価値でないという証明をさ。」

まるで脈絡のない声で紡がれた音は何と言った?
理解できる言葉が急激な痛みとなって壁となる。
「…排除?」ってなんだ。
限りなく空気に近い音の塊が僅かに鼓膜を痺れた脳を揺らした。
突如胸ぐらを掴まれて恐ろしいチカラのままひかれた。
衝撃でまじかで合わさった瞳はなにも。
なにも映してはいなかった。

「人間。僕に君がこれからも生きるに値する価値のある人間だと証明してみせろ。
さもなくば、僕は君を排除する。」

愕然とした。
急速に熱を失った死体のように。
事実は証明できるだろう。
罪人ならば罪の証拠を集めればいい。
謎があるなら解けばいい。
だが、やってないことをどう証明する?
潔白を証明するのは不可能だ。
ましてや、価値だなんて…どう証明する。




仕立ての良い黒燕尾を纏った長身が黒のハットのつばをさらりと撫でつける。
ニヤと口端を釣り上げて高らかと笑ってから悪魔のような音で言う。

「痛みを知れ。絶望を知れ。
愚かなる人間よ。
他人の価値をはかってきた人間よ。
今度はお前に問おう、本当にお前に価値はあるのか?
さぁ探せ、さぁ探せ
有象無象の人間ども。
己の価値を証明してみせろ。
生きていたいのなら価値をもて。」



―――――✩



※この作品の初稿はぷらいべったーにて投稿しています。
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