❅Sweet tea mirror
❅キャプション
今宵も翔琉の幻想へご招待~♪
楽しんでくれると嬉しいなっ。
インスピレーション降りましたぁ~♪
オリジナルoneシチュエーショントライ。
構想30分タイムアタック、ギリギリ30分?笑
❅ー❅ー
お疲れ様。
ゴールデンドロップとひとさじの愛を込めてお揃いの乳白色へと注ぎ込む。
彼が触れる舌触りが良いからと大層気に入りのこの磁器は氷を入れるとコロンと鈴の音を甘やかしたような音色を奏でる。いつ頃からだったか…それに絆されるのに時間は必要なかった。
彼と刻む時が僕は案外嫌いではないのだ。
薄暗がりの宵闇。
彼は窓辺で本を片手に物思いにふける。
僕はその眼差しが好きなのだ。
これは、その横顔を盗み見るための口実。
彼と過ごすひとときが僕にとってどれほど幸せなのか彼は気づいてなどいないのだろう。
そよと涼やかな風がいましがた僕を撫でたように彼の髪を弄ぶように攫った。
僕には到底できない所業だ。
思考の片隅がじりじりと焦れる感覚に目を細めてしまう。
そんな思考を振り払うように彼の傍へとティーカップを差し出す。
ふわりと彼の鼻腔を擽るように。
物語から誘い出すように。
コトリと置いたティーカップに彼の眼差しが映りこんだ。
水面(みなも)越しに交差した瞳は何をうつしていただろう。
彼の緩やかな音色の礼が響く。
水面越しに、にこりと笑いかければ
ツイっと視線をそらされてしまう。
そうすれば彼の細長いまろい手が徐に小さなピッチャーを傾ける。
揺れる紅色が波紋をたてながら彼の手によって色を変えていく。
僕はミルクティーは好まないんだけどな……。
___だって君の顔が見られなくなるから。
彼の傍で1連を見届けて鏡の意を成さなくなった紅茶をほんの少しだけ睨んでやる。
嗚呼そうだ、と風に攫われ乱されたままの彼の髪に視線をうつす。
触れようとしてひきかけた手を伸ばしてみることにした。
風みたいに自然には到底いかないけれど。
風が髪を乱していたからと。
風のせいにして。
君に触れる言い訳を考えて。
伸ばした手は震えてはいなかっただろうか。
恐る恐る伸ばすそれはsmartさの欠けらも無い。
滑稽な茶番だ。
けれど、きっとそれがまたいいのだ。
じっと見つめはするものの触れた後も彼は僕を咎めることは無かった。
それにほんの少しだけ安堵して。
気持ちよさそうに撫でる手を両受する彼はまるで懐いた猫だ。
愛情表現を彼は滅多にくれはしない。
だから不安になる。
言い訳を。
口実を考えてばかりにさせるくらいには。
不安にさせておきながらこんなふうに甘えるなどなんだか彼の術中にはまっているようでもどかしい。
けれど、この甘酸っぱいような感覚はきっと嫌いにはなれないのだろう。
彼を嫌いになれないように。
こうして僕は君にまた夢中にさせられる。
もっともっと愛情表現が欲しいと願ってしまうのは何より君のせいなのだ。
こんなに僕の目を惹いたのだから他にうつつを抜かなんて許さない。
彼の右手から離れない本を撫でていない方の手で奪い取り彼の視界から消し去る。
彼の思考を絡め取るのはこの僕だけでいい。
_____ほら、君が欲しいのはこの僕だけでしょ?
※この作品の初稿はぷらいべったーにて投稿しています。
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