「#創作大賞2024応募作品」❅ルナティックエンメモア Lunatic aime moi -紅紫藍―23.トップシークレット
❅23.トップシークレット
「サマエル、手だして。」
「ん。」
素直に差し出されたそこにコロンと一粒の石を乗せる。
それは、透き通った青紫のような藍色のような色をしてきらきらと輝いている。
「これは?」
「導きの石っていう宝石。サマエルにあげる。」
「こんな高価なものは貰えない。」
「サマエルに持っていて欲しいんだ。きっと必要になるときが来ると思うから。」
「その石はね、持つものが行くべき先を光線でしめしてくれる石。
その石は。」
そうして、サマエルへお母さんに聞いた紫月の秘密話をした。
ヴァンパイアの血液は、ある工程を経て宝石にできること。
紫月の姫の血液は紫外線に、アカツキの血液は赤外線に、一定時間当てると暗闇で光る。
宝石にした場合も、同じでそれぞれの色の光源に一定時間当てると暗闇で光る。
その血液から作られた光る宝石は人間界でも魔界でも闇で光を灯し導くことから“導きの宝石”と呼ばれて大切にされていたらしいこと。
だけど、その希少かつ貴重な生成術は血液提供者に尊大な負担がかかる為悪事に使わぬようまた血液提供者が捕虜されてぞんざいに扱われないようトップシークレットとして“光源の月のもの”たちは隠してきた。
そして、仲間や守りたいものが出来たときのみ身を削ってそれを宝石を生成し相手に渡す。
ーーーーーーいわば呪われた紫月の血だからこそできる”最大の親愛表現の証”。
「これが紫月に伝わる秘密話。
かつて人間界では、僕らの血でできた石は呪われた宝石“ホープダイヤモンド”、
“紫外線を当てると暗闇で光る石”と呼ばれたらしいよ。
ちなみに、人間の血液でもヴァンパイアの血液でも宝石は作れるけど光らないんだって。
不思議だよね。」
そう笑いかければサマエルは嬉しそうな悲しそうな心配してますみたいな顔でただ僕の頭を撫で続けた。
サマエルは複雑な顔をしながらも僕の話を何も言わずただ飲み込んでくれた。
血液の提供者の力と性質がその宝石の力と性質になる。
ーーーーー「どうか神様、僕にサマエルを守らせて。」
※この作品の初稿は2022年9月よりpixivにて途中まで投稿しています。
その作品を改定推敲加筆し続編連載再開としてこちらに投稿しています。
その他詳細はリットリンクにて。
➩https://lit.link/kairiluca7bulemoonsea