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keisuke_tani
こずるい生徒
図書館で本を探していた時のことです。
うしろから「勉強熱心だなあ」と声をかける人がいました。
中学時代の恩師でした。
技術の先生でした。担任になったことはありませんでしたが、先生との一番の記憶は、分厚い左手で思いっきりビンタを食らったことです笑
どんな悪いことをしたのか、まったく覚えていませんが、食らった左手とその瞬間の先生の顔はまったく色あせることはありません。
「がんばっとるか?」いつもと変わらず、クシャっとした笑顔で私にしゃべりかけます。「先生こそ、どうですか」と私が言うと、「俺はもうダメだな」と言いながら、数年前に目の手術をしたこと、嘱託で勤めていた公民館を最近辞めたことなど、立ち話としてはなかなかの長時間しゃべっていました。
「七宝焼きは今もやってますか?」母が通っていた七宝焼き教室のことを持ち出すと、「今度ここで作品展をやるだ」「へえ~すごい。観に行きますよ」。
(先生、がんばってるなあ)と思いました。そして、帰っていく先生の丸くなった背中を見て