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GOLDEN SISTERS

ゴールデンシスターズ シナリオ#第1話

九月の澄みきった青空が広がる瀬戸内海に面した四国、愛媛県のとある小さな街。

旧家のお屋敷の一室。大きなアンティーク調の両面鏡をはさんで、二人の沙羅が向い合って椅子に腰掛けている。ひとりの沙羅は、18歳のサラ。もうひとりの沙羅は、42歳のサラだ。

サラ18 「明後日は、いよいよオーディションの日」

18歳のサラは、真剣な眼差しで鏡に映る自分の顔を見つめている。

サラ42 「♪♪ ♪ ・・・」

ポップ調の鼻歌を口ずさみながら、長い髪をブラッシングしている。

部屋のドアをノックする音。

サラ18 「誰?」

澄子 「お嬢様、澄子でございます」

沙羅がまだ幼かった頃から、彼女の子守や家事を任されてきた婆やの澄子だった。澄子は、辺りを警戒するような仕草で部屋に入ってくる。そして、澄子はサラ18に近づくと声を潜めて彼女に話しかけた。

澄子 「お嬢様、ご旅行の準備は整いましたよ。お友だちと楽しいご旅行になればようございますねぇ」

サラ18  「ありがとう、すみさん。ママによろしく・・・」

澄子 「かしこまりました。ご安心なさいませ。でも、ご留学からお帰りになったばかりで、すぐに東京へご旅行ですか?」

サラ18  「どうしても行きたいコンサートがあるの」

澄子  「イエーイ」

澄子は両手の親指を突き出したかと思うと、小太りしたカラダをリズミカルに動かして踊り出した。

サラ18  「すみさん、じょうずだわぁ」

澄子は、ウインクを返した。

澄子 「お嬢様が東京へ行くのは、歌手になるためだと言うのはわかっています」

サラ18  「・・・そうね」

澄子 「東京には何方か人づてでもございますか?」

サラ18は、首を振った。

サラ18  「ナンニモナイ。でも、タチバナ悠生に会えればそれだけで良いの」

澄子 「タチバナユウキ・・・ですか」

それまで18歳の沙羅と婆やである澄子の話には無関心で、自分の髪をブラッシングしていた42歳の沙羅は、おもむろにその場に立ち上がって小さな声を上げた。

サラ42 「ユウキ・・・」

翌日。九月の澄みきった青空が広がる瀬戸内海に面した小さな街の、とある小さな鉄道駅のプラットフォーム。18歳の沙羅が立っている。2両編成の電車が停車する。電車のドアが開くと、紅いドレスを着た42歳の沙羅が下車する。それとはすれ違うように18歳の沙羅はキャリーケースを引きながら電車に乗る。

電車のドアが閉まる。42歳の沙羅は、しばらくの間、18歳の沙羅が乗った電車を見送った。


九月の青空が広がる東京、渋谷某所にある音楽スタジオ。
その日は、某音楽会社のオーディション日だった。会場は、会社や音楽関係者、オーディションに参加する少女たちで賑わっていた。

スタジオの休憩室で、ミュージシャンたちが談笑している。そこへ、ずいぶんと慌てた様子の少女が駆け込んできた。ミュージシャンたちは、一斉に沙羅へ視線を向ける。

沙羅 「ここって、」

メンバーの1人が、反対方向を指差す。

メンバー 「オーディション会場はあっちだぜ」

沙羅 「ごめんなさい、ありがと キャーーー」      

                              つづく

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