青春18きっぷと九州旅行編

青春18きっぷが改訂されたのをご存知だろうか。
以下JR WEBサイトから抜粋
[「青春18きっぷ」が2024年冬季からリニューアルしました]「青春18きっぷ」が自動改札機をご利用いただけるようになります。「5日間用」に加え、新たに「3日間用」を発売します。有効期間はご利用開始日から連続する3日間または連続する5日間です。きっぷ1枚につきお一人でのご利用となります。1枚を複数人でご利用いただくことはできません。[ご案内]「青春18きっぷ北海道新幹線オプション券」を別途ご購入いただくことで、本州~北海道間をご利用いただけます。

青春18きっぷは1982年(昭和57年)3月1日に誕生し、当時は「青春のびのびきっぷ」と言う名称で発売開始された。期間限定で日本全国のJR線の普通列車に、一日乗り放題となる切符であったがために改悪との意見も多い。しかしJRの内情としては、発売開始の物価や状況と今を鑑みて赤字であった青春18きっぷをやめたいのではという観測が強い。利用者の態度が悪い傾向にあったという記事も出ていたため、今後青春18きっぷはより衰退していくことが予想されるだろう。

幼少期から旅行好きの父に青春18きっぷでの旅行話を聞かされて育った私としては非常に残念な話である。さて、私は2024年の夏、偶然にもそんな改訂前最後の青春18きっぷを使って初めての3泊四日の九州旅行へと向かった。関西に親戚の家が分布しているため四国までは比較的よく出かけるのだが、そこから南は私にとって全くの未開の地である。祖母の家がある大阪府の岸辺(北大阪)から大阪、岡山、岩国と下っていく。関東ではあまり見かけることのないボックス式の電車でゆっくり駅弁でもいただこうかと岩国で名物のタコ飯を買ったのだが、夏休みゆえに案外人が多くなかなか座れない。車内の窓から見える下関の海は、住宅街との高低差が少なくまるで川のような顔をして街並みに溶け込んでいて不思議な光景に思えた。

いよいよ九州に入った。もう時間がないとあわてて祖母の用意してくれたゆで卵とおにぎりとタコ飯をかき込む。福岡の小倉博多を経由して基山につく。こじんまりとした改札には今回家に泊めてくれる福岡出身の友人が迎えにきてくれていた。早速駆け寄ろうとしたのも束の間、基山は夜無人駅のようで勝手に改札を通っていいのか不安に思い立ち止まる。父に連絡を入れつつ、インターネットでいつのものかもわからない知恵袋を漁る。改札を隔てて、友人と私の距離は3mもない。それなのに遠い、その3m。その状況に半笑いで顔を上げると、この狭い改札にもう一人女性がいるではないか。その女性もなぜか焦った様子で電話をかけていて、その手には青春18きっぷ。無人駅は次の日の申請制で改札はそのまま通ることができると判明したのはどちらが先だったのだろうか。ほぼ同時に改札口を通り抜ける私と女性。奇妙な連帯感がその場に生まれ、私たちはごく軽い会釈を交わした。その後ようやく友人と再会、感動の再会。ハイタッチをして笑い合う。などというテンションでもなく「おっす・・・」と互いにコンビニであったかのようなリアクションをした。

この後の行動は時間の都合上割愛(一番割愛しちゃダメなところではないのか?というツッコミは遠慮願う)させてもらう。進撃の巨人ミュージアムやダム、ビール工場やももち浜や太宰府天満宮などさまざまなところに連れて行ってもらって非常に楽しかった。以下楽しかったことを思いつくままに羅列していく。カスの徒然草だと思ってもらって差し支えない。春はあけぼの、ようよう白くなり行く山ぎは少しあかりて・・・ってアホか!冗談はさておき、ダムの上では友人の母と一休さんを歌ったのが面白かった。泊めていただいた部屋は友人の兄の部屋だったのだが、爬虫類がたくさんいて爬虫類の魅力を知ることができた。友人の祖母と友人で夜に買い物に出かけたのが楽しかった。地元のローカル電車の駅を見学したのも楽しかったし、電車の中からみた水城には「あれが教科書で見た水城か!」と感動した。九州特有の地名を覚えるゲームをしてからは特に九州への愛着がでた気がする。中でもとりわけ感動したのが九州の植生だ。私は今まで岡山〜福島間にしか訪れたことがなかったのだが、私から言わせると九州の植生はもののけ姫そのものだった。どっしりと根を降ろした大木は私の植物のイメージをより鮮烈なものにした。九州本場の鳥刺をいただいたのも良い経験だった。

大阪に帰ってから知らされたのだが、私が九州で鳥刺を味わっている時、家族は大阪で食べた鳥刺に当たって苦しんでいたらしい。ちなみに九州にいく前私もその大阪の鳥刺を食べたのだが、どうやら私だけ症状がでなかったようだ。強靭な胃袋である。3泊4日もの間私を暖かく迎えもてなしてくれた友人と友人のご家族には感謝しても仕切れない。本当に良い経験をさせてもらいました。きっとこれからの人生であの楽しかった九州旅行を思い出す日が何度もあると思います。本当におせわになりました。

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