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ひとりで裁判傍聴。

先月、裁判ライターの普通さんのアテンドで人生初の裁判傍聴をしました。

そのときは4件の裁判を傍聴したのですが、その中のひとつが偶然にも、テレビのニュースや週刊誌でも大きく報道されていた事件だとわかったのです。その事件の行方が気になったので、今回はひとりでその判決を傍聴してきました。

判決のみですぐに終わるので、せっかくなら他の裁判も傍聴してみようと思って、1階の開廷表で気になる罪名と時間をチェック。今回は計3件を傍聴することにしました。普通さんから裁判傍聴の勝手をひと通り教わったので、ひとりでも迷うことなくできました。

夏休みということもあり、親子連れや見学のために引率されている子どもたちも結構いました。「どれにする?」なんて感じで、開廷表を眺めている二人組の女子高生もいました。僕は50歳を過ぎて初めて裁判傍聴を経験しましたが、若いうちから裁判所の空気感に触れ、裁判傍聴ができるのは本当にいい社会見学であり、情操教育になると思うのです。映画やドラマでの裁判と実際の裁判が違うことをリアルに知るって大切です。

判決が下される今回の目的の事件の法廷内に入ったら、やたらと見回りの人が多かったです。そして、スマホの電源をオフにしてカバンにしまうようにという指示をやけに耳にしました。裁判の始まりに裁判官からもスマホの電源をオフにするよう、再度アテンションが入りました。実は前回の裁判のときに、誰かが録音か録画をしていたらしいのです。

粛々と判決が言い渡されて10分程度で閉廷しました。改めて思うのは、現実の裁判って映画やドラマのようなドラマチックさが一切なくて、本当に事務処理のように淡々としているということです。

2件目の裁判の罪名は商標法違反というもので審理です。ちょっと気になった罪名だったので選んだのですが、終わってから普通さんに報告したところ、なかなかレアな罪名とのことでした。内容としては、某有名ブランドの偽物を販売していたというもの。被告人は本当に偽物と知らずに販売していたのか、それとも偽物と知りながら販売していたのかという部分が論点でした。次回判決が言い渡されるそうです。

3件目の裁判の罪名は常習累犯窃盗というものです。新件だったので、事件の経緯を最初から聞きました。捕まって刑務所に入っても、常習的に繰り返して空き巣に入っていたという被告人。元々はそんなことをしない人だったそうですが、15年前に病気をして仕事ができなくなり、友達もいなくなり、ギャンブルに走って金がなくなったときに、知人から空き巣に誘われて成功して…という経緯や、薬の副作用で衝動的になってしまってついついギャンブルや窃盗をしてしまうという今に至るまでの人生を聞いていたら、ちょっと気の毒に思えてきた部分がありました。ちょっとしたきっかけや要素が掛け合わさって、負のスパイラルに飲み込まれてしまったような感じです。

もちろん犯したことは絶対許されるものではないですし、お金に困ったら空き巣に入るという発想自体も大きな間違いです。そこは認識を正さなくてはならないところです。そして、家という安堵の場に見知らぬ人物に侵入され荒らされたことで、家主さんの精神的ダメージは相当だと思います。同じ家に住みたくないからと、引越しを考えるなんてこともあるかもしれません。壊された家の窓は修繕できたとしても、見えない部分での被害はかなり大きいでしょう。そこはしっかり償って欲しいところです。

でも、被告人の人生の背景を聞いていたら、松本清張の小説に出てくる罪を犯した人物に対する心情のようなものが湧いてきました。被告人が二度と同じ過ちを繰り返さないために何が必要なのか。弁護士や検事、裁判官から投げかけられた質問にも、そういうニュアンスが含まれているものがありました。根本的な部分を解決しない限りは、また再犯してしまうと誰もが思っているのを感じました。僕もそう思いました。更生のためにはメンタル的なケアやいろんなサポートも必要だと感じました。考えさせられる部分が色々ありました。

この夜、普通さんのYouTubeにて、元家裁調査官で司法福祉に取り組む藤原正範さんの動画を観たら、常習累犯窃盗の裁判傍聴をしたことや更生の支援のことなどについて話していて、この日の裁判傍聴で僕が考えていたことそのままでした。

実は気づいたら、前回も今回も同じ裁判官と検事の裁判傍聴が多かったので、他の裁判官や検事の傍聴もしてみたくなりました。次回はいつ傍聴するかは未定ですが、また機会があったらしてみたいと思います。

今回の裁判傍聴についても、普通さんのYouTubeにてお話しする予定です。そちらもお楽しみに。

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