今の社会状況にピッタリの花を見つけた話し
以前にもnoteで書いたが、狸腹の解消のために近所を30分ばかりウォーキングしている。
1週間前もウォーキングの途中、道路脇の草むらに生えた、ある植物をへし折っていた。そいつの名前は知らない。竹のように異常に成長が早く、放っておくと3メートルくらいに成長し、群生しているから、草むらを竹林のように覆ってしまい、あたりの雰囲気を暗いものにしてしまうのだ。
で、そこを通るたび、20本くらいへし折っている。そのおかげで、昨年のような陰湿な竹林には、今年は変わっていない。
1週間前、いつものように、そいつをへし折っていたら、
「なるほどね、そうなんだ」
という声が、後ろからした。
振り向くと、マスクをした60歳後半の女性が立っていた。背中にリュックを背負った軽装で、ウォーキングしているようだ。私は少し驚いて、その植物をへし折っている理由を、あたふたと説明した。
女性は毎日この辺りまでウォーキングしていて、1日1万2千歩も歩くという。
「この辺りは谷間で日陰になっているから、日焼けしなくて好き。いろんな花も咲いているし。変なことしている人がいるな、と見ていたんだけど、すぐ納得したわ」
立ち話で1時間ほど話して別れた。で、昨日、また同じ場所で再会した。
「おじさん!」
と声をかけ、手を振っている。
うーん、おじさんには違いないけど、年上の女性からそう呼ばれると気恥ずかしい。
私は生来、無口なのだが、コピーライターをやりだしてから、インタビューすることが多く、話すことが苦にならなくなった。
その女性は、東海道五拾三次や中山道を、60歳を過ぎてから踏破したという健脚の持ち主。話しているうちに、ウォーキング途中、花や夕暮れなどの風景をスマホで撮影していることがわかり、その画像を見せてもらった。
その画像のひとつが、変わった花で、私も見たことがない花だった。ユリの花弁に似た紫の花が群れて咲き、中央につぼみの塊があり、そこから竜のヒゲのような突起が何本も突き出ている。
「不思議な花ですね」
「名前がわからないの。変わった花でしょ」
「私が名前を調べて、今度、出会った時にお教えします」
女性のスマホの画像を私のスマホで撮影し、別れた。別れる時、ホトトギスが鳴き、「あら、あら」と女性が嬉しげな声をあげた。歳とっても可憐でいたい。
帰宅してすぐ、名前をネットで探索した。
オオツルボ(大蔓穂)だった。
別名は、「シラー ペルビアナ」「ツリガネズイセン」など。
原産国はヨーロッパや北アフリカのようだ。
花言葉もついでに調べた。
「辛抱強さ」 「多感な心」 「哀れ」 「寂しさ」 「変わらない愛」
なんか、今の社会状況にピッタリの花のようだ。
画像は、女性がウォーキングしたと思われるコースを、今日、辿って花を見つけて撮影したもの。
私は仕事もしないで、何をやっているんだろう。
今の時期「辛抱強さ」が大切で、「寂しさ」に耐え、「変わらない愛」を見直す時期なのかも。
名前がわかったことを伝えたら喜んでくれるだろうか。