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【入門】歌ってみたに必要な機材を全て説明します

作曲家の怪傑姫です。
歌ってみたのミックスや機材の利用方法に関するコンサル等をさせていただいています。

特定のソフトの使い方や小技を説明している記事はたくさんあるのですが、「で、結局何が必要なの?」という方向けの記事がなかなか見当たらなかったので、この機会にまとめてみる事にしました。

音が通る順番にご説明します。


1.マイク

これはもう書かなくても分かる当たり前の事ですが、少々突っ込んでご説明します。マイクには大きく分けるとダイナミックマイクとコンデンサマイクの二種類があります。

ダイナミックマイクは電源を必要としないもので、カラオケに置いてあるマイクと同じような形をしています。一概には言えませんが、ボーカル用は手で持って歌う事を前提にした形をしているものが多いです。

ダイナミック

注)こんな形のコンデンサマイクも存在します。あくまでイメージとして捉えて下さい

一般的に耐久性に優れていて、その辺にゴロンと置いていても劣化する事があまりありません。

オススメの製品はSHUREのSM58一択です。どこの音楽スタジオ・ライブハウスにも必ずある事が、癖の無さと耐久性を裏付けています。一万円ちょっとでプロクォリティの製品が手に入るので、これで間違いはありません。

SHURE ( シュアー ) / SM58 定番ダイナミックマイク
https://www.soundhouse.co.jp/products/detail/item/69782/

もう一つはコンデンサマイクです。
プロのレコーディング風景やアニメのアフレコ現場の映像でよく見るやつですね。これは電源を必要とし、広い範囲で小さな音まで拾います。録音開始して何も歌わずにいてもエアコンの音が「サー」っと収録されるぐらいです。

コンデンサ

繊細な音が録れるので、歌録りやナレーションに向いています。その反面、価格が高価になりがちで、湿度や衝撃に弱いなどのデメリットがあります。

そこまで効果なものを使う必要はありませんが、このぐらいのものがオススメかと思います。

AKG ( アーカーゲー ) / P220 コンデンサーマイク
https://www.soundhouse.co.jp/products/detail/item/199414/

2.マイクスタンド

これも必須です。
理由は二点あります。座るよりも立った姿勢の方が体全体を使った発声がしやすい事と、マイクの角度・高さが固定できる事です。

ダイナミックマイクとコンデンサマイクで、ホルダ(マイクとスタンドを繋ぐパーツ)の形が異なるのですが、大体マイクを買えばホルダは付いてきます。しかし、そう信じ込んで付いてこなかったら悲しいので、マイク購入時に付属品は確認しておきましょう。

あまりに安いものは、角度を固定する金具がすぐ緩くなって、歌っている最中に角度が変わってきたりするのですが、正直このレベルでも問題なく使えます。

CLASSIC PRO ( クラシックプロ ) / MSB/BLACK ブームマイクスタンド
https://www.soundhouse.co.jp/products/detail/item/25597/

3.ポップガード

ポップガードというのは、マイクの前に付いている黒い丸い網の事です。
あれは、人間が発声する時に出るノイズがマイクに入ってしまわないように遮断する役割をしています。

手の平を口に近づけて「はっ!」と発音してみてください。手に息が当たるだけだと思います。次に、「ぱっ!」と発音してみてください。手の平に空気が強く当たりませんか?

これが直接マイクに当たってしまうと、「ポフッ」というノイズとして収録されてしまい、後から消す事ができないため、歌録りやアフレコでは必須の機材です。

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昔、知り合いに変形させたハンガーにストッキングを張って自作している人がいましたが、そこまで高いものではないので、買ってしまってマイクスタンドに取り付ける事をオススメします。

また、見た目もカッコよくなります。歌のレコーディングをしているプロのような気分に浸れるので(実は結構重要)、そういった意味でもオススメです。

CLASSIC PRO ( クラシックプロ ) / PG11
https://www.soundhouse.co.jp/products/detail/item/173731/

4.マイクケーブル

マイク用のケーブルはXLRという特殊な形状の端子なので、普通の家には置いていないと思います。マイクとオーディオインターフェースの距離を考えて、3mもあれば十分だと思います。

家に柔らかいメジャーがある方は、メジャーの先端を口に。そこから一度メジャーを床に落として、さらにオーディオインターフェースまで登っていく距離を測ってみれば間違いない長さのケーブルが買えると思います。

「ケーブルを一度床に落とす」という所がポイントです。ケーブルが短すぎて、マイクスタンドとオーディオインターフェースの間でケーブルが宙に浮いている状態はオススメできません。

マイクやマイクスタンドが引っ張られますし、ケーブルに足を引っかける等の事故の原因になります。

CLASSIC PRO ( クラシックプロ ) / MIX030 マイクケーブル 3m XLRキャノン
https://www.soundhouse.co.jp/products/detail/item/25560/

5.オーディオインターフェース

ここからが鬼門というか、身構える方が多いと思います。

オーディオインターフェースというのは、マイクからケーブルを通ったアナログ信号をデジタル信号に変換するものです。また、PCから出力されたデジタル信号をヘッドホンやスピーカーに出力するためにデジタル信号をアナログ信号に変換するものです。

PC本体に付いているマイク端子(赤)とイヤホン端子(緑)でも、録音と再生をする事はできるので、ちょっとしたzoom会議ぐらいであれば問題なく使う事ができます。しかし、音のクォリティが結果を左右する歌の録音やモニタとなるとオンボードで対応して良いレベルではなくなります。

そこで、PCとUSBで接続して、音の入出力だけに特化させた機材がオーディオインターフェースという訳です。

あまりに製品が多く、用途も価格帯も様々なため、どれを選択すれば良いか最も迷う機材だと思います。

こちらもオススメは一択です。YAMAHAのAG03という製品です。
よくあるオーディオインターフェースとは異なる見た目をしていますが、ループバックという機能が付いていたり、コンプやEQがハードで操作できる等、歌い手さんVTuberさん向けの設計がなされています。

昨今の半導体不足のせいもあるでしょうが、推され過ぎて品切れ状態がかなり長く続いていたぐらい超絶人気商品です。

また、もうひとつ嬉しいのは、Cubase AIというDAWが付属している事。後述しますが、DAWとは音楽を録音編集するソフトの事です。歌ってみたをテーマにしている今回、外せない機材なのですが、これが無料で手に入るという事です。

Cubaseの中でもAIというバージョンは機能制限版ですが、カラオケを取り込んで歌を録るぐらいであれば全く問題ありません。むしろ、本当にこれが無料でいいの?というレベルです。

YAMAHAがCubaseの開発元を買収してくれたおかげですね。

YAMAHA ( ヤマハ ) / AG03 配信用ミキサー オーディオインターフェイス
https://www.soundhouse.co.jp/products/detail/item/202927/

もし、AG03が品切れで買えないという場合は、こちらをオススメします。

STEINBERG ( スタインバーグ ) / UR22C オーディオインターフェイス 32bit/192kHz
https://www.soundhouse.co.jp/products/detail/item/268678/

こちらもCubase AIが付属します。(Cubaseの開発元が製造している機器ですから)AG03に比べて本格的な仕様になりますが、価格はそれほど上がらないため、定番中の定番です。

6.PC

PCに関しては、デスクトップorノート?Windows or Mac?など色々ご質問ご相談をいただく事がありますが、答えはどちらでも良いです。重要なのはDAWを動かせるスペックです。

通常、DAWを扱えるPCとなるとかなりのスペックを要求されますが、カラオケを鳴らしながら歌を録音し、それにいくつかのエフェクトをかける程度であれば、CPUがIntel Core i5・メモリは16GBもあれば十分かと思います。グラボやサウンドカードは不要です。

メモリは8GBでも動きはますが、DAWは起動するだけでそれなりにメモリを食います。メモリが少ないと、設定の限界でレイテンシを抑えられず実際の発声とヘッドホンから聞こえる声がズレてしまってまともに歌えなくなったり、プツプツといったノイズが収録されてしまう危険性が高まるため、メモリは多めを推奨します。

昨今のPC市場を見ると、標準でも8GBというスペックはもう少なくなってきているようですが・・・

7.DAW

ここもオーディオインターフェースと同様、種類があり過ぎて何を選んだら良いか全くわからないという方が多いと思います。

私個人としてはPro toolsを愛用しているのですが、レコスタや知人のPro toolsと連携させたい等の事情がなければ、正直あまりオススメしません。ライセンス契約の体系が複雑ですし、設定に融通が効かない所があるからです。

歌ってみたのレコーディングという事であれば、前述のCubaseかPreSonusのStudio Oneが良いと思います。Cubaseを推す理由はオーディオインターフェースのオススメとセットになるのですが、YAMAHAかSTEINBERGの製品を購入すると無料版が付いてくるという点です。また、あまりにもユーザが多いため、不明点を調べればすぐにスクショ付きの記事や動画が見つかります。

Studio Oneを推す理由は、他社製品と比較して無料版の制限が少ない事と、動作が軽くPCへの負担が少ないという点です。また、Cubaseほどではありませんが、ここ数年メキメキとユーザ数を増やしているため、問題解消の情報が見つけやすいというのもポイントです。

8.カラオケ音源

これも必須ですね。
ボカロPが作曲した作品では、作家自らが歌ってみた用にオケの音源を公開している事がありますので、その場合は本家からそのまま拝借するのが良いでしょう。(歌ってみたでの使用に限る。等制限付きの場合が多いですが)

また、作者とは関係のない誰かが、打ち込みのカラオケ音源だけをYouTubeで提供している事もあります。

これは一見アウトに見えますが、勝手にカラオケ音源をアップロードする事も、それを使用して歌ってみたをアップする事も、現在のYouTubeでの規約上は問題ないようです。

なぜなら、YouTubeは著作権管理団体と、楽曲を演奏する権利を包括契約しているからです。つまり、原曲を流すのはアウトだけど、自分で演奏する分にはOKという事です。

ただし、アップ主が打ち込んだカラオケ音源を無断で使用するのはやめましょう。それはそれで、他人の著作物を勝手に使用したという別の問題が発生します。「歌ってみたにどうぞ」など、明確な意思表示がある場合に限ります。

色々と書いてきましたが、YouTubeの規約が今後変わる事はありますし、大丈夫な音源だと思っていたものが実は違法なものだった。等、トラブルに発展する可能性を孕む部分です。

音源を使用する際は、必ずしっかりとご自身でルールと内容を確認していただき、自己責任で行って下さい。

9.ヘッドホン

「ヘッドホン」と書きましたが、イヤホンでも構いません。ただし、イヤホンの多くは、スマホや携帯音楽プレーヤとの接続を想定して設計されているので、線が短い・端子が合わない等の壁にぶち当たる事が多いです。

それらを解消するために、端子の変換を買ったりケーブルの延長を買ったり・・・等するぐらいであれば、最初からヘッドホンを買ってしまう事をオススメします。変換や延長など、間に何かをかますほどノイズの発生源が増えますし、音質も劣化します。

家に立派なスピーカーがある方でも、ヘッドホン・イヤホンは必ず導入して下さい。当たり前の事ですが、カラオケを聞くためにスピーカーを鳴らすと、その音をマイクが拾ってしまうからです。また、スピーカーからは自分の歌声も鳴っているはずなので、さらにそれをマイクが拾って・・・というループが発生してどうしようもなくなってしまいます。

これから導入される場合は、リスニング用ではなくモニター用のヘッドホンにする事をオススメします。

リスニング用とは、音楽を聴いて楽しむ時に使う用のヘッドホンです。そんな事言ったら全部そうだろう!と思うかもしれませんが、それが違うんです。

世の中にはモニター用という存在があります。モニター用ヘッドホンとは、音楽を聴いて楽しむためではなく、チェックする時に使う用のものです。また、音楽に限らず、放送業界やアニメのアフレコ等、音に関するプロが仕事用に使うのがモニター用ヘッドホンです。

両者の違いは、ヘッドホンから聞こえる音に手を加えているかどうかです。簡単に言うと、リスニング用ヘッドホンは長時間音楽を聴いても耳が疲れてしまわないように、特定の周波数帯を削ったり、ブーストしたりしています。

逆に、モニター用ヘッドホンは、流れてきた信号を極力そのまま鳴らすように作られています。それゆえ、普通に音楽鑑賞する用途でモニター用ヘッドホンを使用してしまうと、高音がキツ過ぎて耳が痛くなったり、聞こえすぎて音楽として楽しめなくなる等の弊害があります。その代わり、ノイズを発見したり、エフェクトの効きを確認する時には効果を発揮するという訳です。

音楽制作に携わっていない方が持っているヘッドホンは、ほぼリスニング用と思って間違いないと思います。

もし、自宅のヘッドホンで一度歌録りをしてみて、もっと明瞭にカラオケや自分の歌声を確認したい!と思われるようでしたら、一度楽器屋か家電量販店のオーディオコーナーでモニター用ヘッドホンについて相談してみて下さい。

オススメの製品はもうこれしかありません。モニター用ヘッドホンと言えばこれの事を指すと行っても過言ではないほどの業界定番の品です。

SONY ( ソニー ) / MDR-CD900ST 密閉型スタジオモニターヘッドホン
https://www.soundhouse.co.jp/products/detail/item/71265/

以上、最後までお読みいただきありがとうございました。
もし、機材の導入や使用方法についてご不明な点がある場合は、何でもお答えいたしますので、下記サービスをお試し下さい。

https://coconala.com/services/1881171

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