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KAIKENの取り組み⑤~NOMAプロジェクト~

海洋水産技術研究所(KAIKEN)の取り組みを紹介するシリーズ

第五弾は、京都府京丹後市の内水面漁協の一つである野間漁協さんとの共同プロジェクトである「NOMAプロジェクト」についてです🏔



取り組みのキッカケ

皆さま、「内水面漁業協同組合(内水面漁協)」についてどのようなイメージをお持ちでしょうか?

何でも知っているChatGPTに聞いてみると、
“内水面漁協は、川や湖などの内水面で漁業や釣りを行う人々が集まる組織です。彼らは魚の放流や生息環境の保護、釣りのルール作りなどを通じて、内水面の水産資源を管理・保護しています。” 
と教えてくれました。

おそらく皆さまも同じ認識をお持ちだと思います。

このように、日本の豊かな内水面の環境を維持するために重要な存在である内水面漁協ですが、
近年、事業運営が厳しい状況となってきており、全国各地で解散が相次いでいるのが現状です。

その原因としては、
組合員の減少や高齢化、収入の減少などの内部要因
カワウや外来魚の被害、気候変動による環境変化などの外部要因
が挙げられています。

これらの現状を知った私たちは、
KAIKENを含むヒョウゴベンダが持つ技術や知識を活かして、内水面漁協が抱える課題の解決に貢献し、より発展・活性化させよう!」
という考えを持ち、内水面漁協・漁業について調べ始めました。

そんな中、とあるきっかけで京都府京丹後市を流れる “宇川” の上流側を管理する内水面漁協である野間漁協さんと出会い、そこが抱える課題解決に向けて共同で開始したのが「NOMAプロジェクト」です。

サムネイル画像が野間漁協さんが保有する生け簀の様子となっています!


取り組み内容

現在「NOMAプロジェクト」では “アユ” と “イワナ” を対象魚種として、いくつかの取り組みを行っています。
それぞれについて簡単にご説明します。

アユ

全国の河川で言われている話ですが、野間漁協さんが管轄する宇川でもアユの資源量が減少してきています。

そこで、宇川の上流側を管轄する野間漁協さんと、下流側を管轄する上宇川漁協さんが共同で「宇川のアユを増やす会」を立ち上げ、その名前の通り宇川のアユを増やす活動に取り組んでおられます。

その活動に私たちKAIKENも協力し、その第一回として行ったのが、
宇川遡上アユ捕獲大作戦」です!

実は、野間漁協さんが管轄する宇川の上流には海から遡上してくるアユが上って来ていないと考えられています。
その原因が “河川の途中にあるダム” です。
このダムをアユが乗り越えられないために、そこから降河してしまっている、というのが現状です。

その対策を野間漁協さんとKAIKENで考えた結果、
宇川下流にいる遡上中のアユを捕まえて、人の手で宇川上流に移動させよう!
という結論に至り、実行したのが本作戦となります。

こちらの様子をまとめた動画を公開しておりますので、気になった方はぜひご覧ください。


また、この時に一部のアユを生け簀に隔離し、それら個体を “親魚” として飼育しています。

その親魚を使用して「アユの種苗生産」を行う予定です。
それが上手くいった暁には、発眼卵あるいは稚魚での放流を行い、宇川のアユの個体数増加に貢献できればと考えています。

内容についてはまた後日投稿する予定ですので、お楽しみに!

生け簀 で飼育するアユの親魚(予定)


イワナ

野間漁協さんが保有する生け簀では、近隣の飲食店に販売する用のイワナが飼育されています。

このイワナについて、稚魚で仕入れて販売サイズまで育てる、いわゆる “畜養” を行っているのですが、
その稚魚の購入にかなりのコストがかかっているのが現状です。

この解決策として「稚魚を “購入する” のではなく “自身で育てる” 」ということを考え、私たちKAIKENに相談してくださいました。
そこで私たちは「より “低コスト” でイワナの種苗生産を行う」ことを目標に定め、共同で研究に取り組み始めました。

2022年に行った第一回目の人工授精では、死卵が多数発生し、それをきっかけに僅かな受精卵にも水カビが大量に付着したことにより、結果孵化数がゼロという大失敗に終わりました。

その反省を踏まえ、2023年に行った第二回目の人工授精では、無事2,000個近くの受精卵を獲得することができ、無事に私たちの手で孵化・成長させることができました。

イワナ仔魚(孵化後約1か月)
イワナ稚魚(孵化後約5か月)


その第二回目の人工授精の様子が動画で公開されていますので、アユに続きこちらもぜひご覧ください。


また、この育成の過程で、第一回目で苦しめられた受精卵の水カビの防除策に関する研究や、孵化したばかりの仔魚への効果的な配合飼料の給餌方法に関する研究など、より “効率的” かつ “低コスト” でイワナの種苗生産を行うための研究に取り組みました。

その詳細な内容に関しては、後日noteで有料記事として公開しようと考えていますので、ご興味ある方はぜひ購入して研究成果を確認していただけますと嬉しいです。

こちらも今年第三回目を行い、前回の結果を踏まえた更なる研究に取り組む予定です。
良い結果を皆さまにご報告できるように頑張ってまいります!


最後に

本記事では、海洋水産技術研究所(KAIKEN)の取り組み内容の一つである「NOMAプロジェクト」についてご紹介しました。

ここで紹介した “アユ” と “イワナ” に関する取り組み・研究は、野間漁協さんだけでなく全国の内水面漁協が抱える課題解決に繋がる内容と考えています。
内水面漁協の発展に向けて、今後も様々な内容に取り組んでいく予定ですので、応援していただけますと幸いです。

また、この記事を読んで内水面漁協・漁業に興味関心を持った方が居られましたら、ぜひ地元周辺の内水面のことから調べてみてください。
きっと何かやってみたいこと・自分にもできることが見つかるはずです!

一緒に内水面を盛り上げていきましょう!

それではまた次回の記事で🎣

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