公認会計士R6論文式試験 感想 企業法編
さて、いよいよ最終日まで来ました。まずは企業法から振り返りをします。企業法は他の科目より問題が少ないので、ちょっと詳しくボーダー予想等していきたいと思います。
まずは受けた直後の感想ですが、「116条こわ!」これに尽きますね。毎年大体1問くらい「ちょっとニッチな条文探せ問題」が出てくるイメージがあります。自分は引けたから良かったですが、見つからなかった場合は足切りとかも怖くなりますよね。。今回はそこらへんも詳しく予想していきます。
1-1は株式併合の阻止方法でした。聞かれている日付ではまだ株式併合してないので、無効の訴えは当然できません。なので、182の3(差止請求)ということになりますね。趣旨は「株主の保護のため、360条(違法行為差止請求権)とは別に設けられる」でしたかね。そこからは条件確認と当てはめを丁寧に行えば良いと思います。ちなみにL⚪︎C模試は論点ドンピシャでしたね。
1-2は乙会社がどのように株式を買い取ってもらうかという問題でした。
1-1で182の3を用いたので、まずはその次の182の4に目が行きます。(これは受験生ほぼ全員だと思います)ただし、そこでは一株に満たない端数が生じた場合に、「端数部分のみ」を公正な価格とすると書かれており、端数部分が出てこない今回は使えないので、他の条文を探すしかない→会社法第2章の株式の部分を片っ端から探すと116条が見つかる(かもしれない)、という手間が必要でした。正直、見つける見つけられないに関しては運要素もありますね。116条を見つけると後は条文を参考に当てはめをしていくだけでした。見つければ楽だっただけにかなり残酷な問題だなと感じます。素直な実力を測る問題だとは言い難いですね。
では、ここからボーダー(52ライン)を予想していきます。まず、1-1の必要な要素は
・182の3指摘
・182の3趣旨
・問題提起
・単元未満の条件
・法令定款違反の条件
・不利益の条件
・単元未満の当てはめ
・法令定款違反の当てはめ
・不利益の当てはめ1(議決権割合)
・不利益の当てはめ2(配当金)
・不利益の当てはめ3(少数株主権)
・結論
1-2の必要な要素は
・116の指摘
・116趣旨
・問題提起
・損害の条件
・322の条件
・反対株主の条件
・損害の当てはめ
・322の当てはめ
・反対株主の当てはめ
・結論
となります。つまり、1-1の方が書くことは多いんですよね。そして1-1の解答欄は13行、1-2は17行なので、配点的には25ずつ、or24/26が一番しっくり来ますかね。
今からは、1-1は論点が全部で12個なのでここでは1つ2点という仮定(24点満点)。一方、1-2は論点が全部で10個なので、当てはめだけ各4点、ということにしておきます。(26点満点)
次に116条を見つけていない人の割合について仮定を置きます。「ほとんど書けている」という意見から「6割以上書けてない」という意見まで様々あるので予想はつけ難いのですが、個人的には「1/4は少なすぎるけど、半分だと多すぎる」という感覚ですので、ここでは4割が116を書けてないという仮定を置きます。(他の予想もそうですが正しい数を保証するものではありませんから信用はしすぎないでくださいね、懐疑心大事です。)
その上で、116を書かずに182の4や136~の条文を用いた場合の得点について予想します。模試だと0点にされることが割とありますが、個人的には0点になる可能性は10%もないかなーと思います。これは「条文が正しくなくても、筋道を立てて論理を構築しているか」の方が重要視されていると個人的に捉えているからです。ただし、116を書かないと半分以上当てはめが出来なくなるのは事実なので、「趣旨」「問題提起」「反対株主の条件」「反対株主の当てはめ」「結論」の計12点満点で採点するという仮定を置くことにします。
これらの仮定を踏まえてボーダーを考えてみます。1-1の問題に関しては趣旨や問題提起、単元未満の条件と当てはめ、不利益の当てはめ3の計5つの論点はしっかり書けてない人の方が多いと思いますね。よって他の7論点中5.5論点、上に書いた5論点のうち2論点で計7.5論点(15点)をボーダー予想にします。
続いて、1-2ですが、116を書いた人は「損害の要件、当てはめ」及び「他の当てはめ」は書きこぼしが出やすいと思います。116趣旨(って何ですか?)も難しいとすると、大体6割(15点)が目安になりそうです。一方、116を書いてない人も6割(7点)が目安とすると、平均が約11点となるので、ボーダーは12点と予想します。
ということでこの配点で仮定すると、合計のボーダー予想は27/50ですね。(実際の素点はもっと低くなりそうですが。。)15点で33、20点で43、25点で49、30点で54、35点で59、40点で67という感じでしょうか。つまり足切りは大問2の成績にもよりますが、1-1、1-2共に平均的に書いていると計22点になるので、大体45ベースになるのかなと思います。なので1-1を他の受験生レベルに書いていれば足切りはあまりないかなと思います。もし1-1も論ズレすると計15点とかになると思うので、第2問次第で足切りスレスレの勝負になりそうです。
ちなみに万が一116を書かない人が0点の場合はボーダが24/50になります。すると1-1のみ平均的に書いた得点(15/50)だと多分偏差値30後半あたりになるので、第2問次第で足切りが見えてしまうかもしれません。。
自分は1-1で9論点(18点)+1-2で13点くらいだと予想してるので計31点で55を本命に予想してます。
では大問2に行きます。全部で3問から構成されるという予想外があったものの、内容的には対第三者責任に関してであり、大問1ほどの論ズレはなかったと思います。
1問目は対第三者責任の条文を明示し、悪意/重過失の対象・損害の対象・因果関係について判例の立場を説明する問題でした。条文は429条1項です。個人的には会社法の大事な条文トップ5には入りそうな条文なので、これは間違えちゃダメなやつですね。また、判例の立場に関しては例え勉強してなくとも、429条に関する問題集の問題は必ずと言っていいほどこれが書かれているので、その通りに書けばいいと思います。書き忘れるとすれば、429の趣旨(性質)である、「第三者を保護するため、民法の不法行為責任(民709-1)とは別に定められた加重責任」という部分でしょうか。これも書き負けると痛そうです。他の判例の立場について、間接損害を含めるか否かはどっちでも良かった気がしてるんですがどうなんでしょう??自分の勘違いな気もしますが、ここでは問題集等に従って含めた方が無難かなと思います。
2問目はBの監視義務の根拠と履行方法についてでした。履行方法は、「取締役会の招集権を行使(366)→代表取締役Aを解約(362)」という流れでしょう。ただ、この根拠に関しては割と書きづらいかなーと思いました。簡潔にまとめると、「取締役は取締役会の一員・善管注意義務あり(330/民644)→取締役の職務執行責任あり→上程事項だけでなく非上程事項まで追う」という流れなのですが、善管注意義務を上手く入れ込むのは難しくないかと感じました。問題集でよく出る問題は基本的に「330/民644及び監視義務違反という重過失がある」みたいに出てくるので、あまりここの繋がりを意識しない気がします。なので、善管注意義務を含めずともその部分以外が論理立てて書けているなら、ちょいとアドという気がしてます。
3問目は1問目2問目を元に、本件請求の可否を論じる問題でした。1,2問目でいわゆる規範定立が聞かれたので、変に深く考えずにこれを元に当てはめをしろ、という問題でしょう。まず429-1の4条件(役員の条件を分けて書くなら5条件)を書いた後、当てはめをしていくのですが、この問題の焦点になりそうな部分は、「一人株主と因果関係」ですよね。一人株主は「一人株主に従っていれば任務懈怠がないvs法令違反しているのだから当然任務懈怠ある」、因果関係は「取締役会の招集の有無と代表取締役Aを解約は相当因果関係ありvsCの意見次第なので相当因果関係なし」という論点です。どちらを詳しく書くのがベストなのかについてですが、問3に「問題1,2を前提として」と書いているんですよね。1は規範だとして、2は「Bが監視義務を負う場合において」と書いてあるので、Bが監視義務を負うことは前提な上でそれが任務懈怠に当てはまるのか、という問題構成が一番スムーズだと思います。なので、一人株主が模範回答という予想をしてます。ただし、「ただ当てはめをした」という回答に比べれば、因果関係の論点を書いた回答はいくらか評価されると思います。
ということでここからボーダー予想していきます。まず解答欄は1問目が7行、2問目も7行、3問目が16行です。また、論点としては
2-1
・429-1の指摘
・429-1の趣旨
・悪意重過失の対象
・損害の対象
・因果関係
2-2
・取締役会の内容362-2-2
・取締役は取締役会の一員
・善管注意義務
・非上程事項
・366
・362-2-3
2-3
・429-1の4(5)要件
・一人株主
・(因果関係)
・他の要件当てはめ
・結論
という感じなので、2-1を各2*5で10点満点、2-2を各2*6+条文指摘1*3=15点。2-3を要件各3点で12+結論3+一人株主10=25と仮定します。因果関係を書いている場合は5点までの加点とします。
すると、2-1は趣旨が7割、他は8割として7.5点と予想します。2-2は大体半分くらいと予想し、7.5点。2-3は4要件、結論は8割。一人株主が1割と想定し、13点。これで合計28/50(56%)という予想です。あんまり大問1と変わりませんね。15点で32、20点で42、25点で48、30点で53、35点で58、40点で65、という所でしょうか。
自分は2-1はおそらくOKで9点、2-2は1つ目と3つ目の内容があやふや+条文1つ書いてないので8点、2-3は要件当てはめはほぼバッチリ。一人株主は書いてないものの因果関係は書いているので1点追加予想で13点で合計30点予想です。これだと53ということになりますね。
ということで合計すると(56+53)/2=54.5あたりということになります。模試の成績は37(全5問中2問も条文落としで0点笑)→55なので、条文ミスのない今回は割と妥当な成績かな。
ということでこれで企業法の振り返りを終わります。ここまで読んでくださりありがとうございました!
次はいよいよ最終科目、経営学の振り返りをします。
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