公認会計士R6論文式試験 感想 会計学午後編
この感想も後半に入りました。今日は山場である会計学午後の感想を書いていきます。
最初に受けた直後の感想は「助かったー」でした。というのも、自分は第3問の個別の計算がとても苦手なので、(模試の第3問の偏差値は40→30)ちょっとでも難しい問題を出されてしまうとすぐ対応できずに差をつけられてしまうんですよね。なので、今回の基礎問題は本当に助かりました。一方で第5問の計算はそれなりの難しさだったんですが、連結はめちゃめちゃ平均的な成績の自分にとっては特に嫌だなーとは感じませんでしたね。理論は典型問題が多かったのでちょっと残念でした。(典型じゃない問題の方が得意なはず(自称)なので、、)
ということでまずは第3問から見ていきます。3-1は減損、3-2はソフトウェアからの出題でした。昨年がリースとCF計算書だったので、その2つの論点はかなり軽めに、他はそこそこくらいのレベル(減損なら連結のグループ資産とか、ソフトウェアは目的別のBS,PLの表示くらい)はやってました。そういえば退職給付はいつまで経っても出ませんね。来年はどうせ改正のリースが出るでしょうし、退職給付が日の目を浴びる時は来るのでしょうか。
余談はともかく、3-1の計算は「なし」を「0」と書くミス、後は減損の額じゃなくて資産のBS計上額を書いたミス(これやらかすと死ですね。。)が考えられるかな。リースは自分は初見だったのですが、普段の減損と同じようにやれば215と763という答えに辿り着くかなと思います。深く考えすぎるとかえって間違えますね。正直最後の2問はなんで出したんでしょう?
3-1の理論は減損判断に割引前将来cfを用いる理由と、回収可能価格を用いる理由でした。どちらも典型ですね。1つ目は「減損が相当程度確実な場合に限って」を思い出して、後はその理由である「将来cfの見積もりは主観的」ということを書きましたね。「将来cfが約定した金融資産と異なり、」は書いてないのですが、何点くらい減点されるか。。2つ目は「資産販売or使用のいずれか(回収価格が)高い方を経営者は選択する→これらのいずれか高い額である回収可能価格を使う」と書きましたね。まあ大筋大丈夫かなと信じてます。
3-2はソフトウェアでした。市場利用と自社利用が出ましたが、細かい理論の論点までは出ませんでしたね。見込販売収益が回収不能になるパターンが最初の計算部分(1~6)で出ていなかったので、そんな簡単でいいの?と思っていたら、最後にヒョコっとその問題が出てきましたね。これもソフトウェアの残高書くと死ですね。
さて理論部分です。1つ目は制作目的別に会計処理を定める理由です。これは典型じゃないですし、単純なんですが結構難しいですよね。「収益との対応関係」というキーワードをしっかり書けた人は少数だと思います。2つ目は最後の計算部分の回収不能の原因を答える問題でした。現場対応ですが、割とわかりやすい気がします。「単位あたりの値段が20千円→8千円に年々下がっていること」と「見込販売収益で配分すべきところを数量で配分してしまったため」という内容書けば文句なしでしょう。
会計学午後は問題が多いので先に計算のボーダー(52ライン)予想を書いておきます。まず15/15、14/15が40%くらいいるかな。そして、12/15、13/15が約50%。9~11が10%、8以下が2%と仮定すると期待値合計13問前半(13.3あたり)なので、ボーダーは13問後半と予想します。1ミスで53、満点で55ベースでしょうか。40ラインは10問と言いたいところですが、平均得点率9割の中で7割切りとなると、40はちょっと怪しい気もします。ちなみに自分の模試は平均5割の中3割で偏差値40。平均6.5割の中3.5割で偏差値30でした。参考になれば。
ただ、計算でやらかしたとしても理論がしっかり書けてれば緩衝材になるはずです。どの程度の効果があるかは正直配点によるところが大きいです。計算が1問3点と仮定するなら、「どんだけ頑張っても15点+ほとんどの人がそこそこの回答を書いている」ことから偏差値5アップくらいが限界なのかなーと思います。もし1問2点なら理論次第で全然変わると思います。ただ1問2点と仮定すると計算部分が合わせて68点+第4問の2つだけになっちゃうので、ちょっと現実的とはいえないのかなーとも思います。基本的には1問3点の仮定で考えた方が良さそうですかね。
続いて大問4にいきます。4-1は退職給付でしたね。退職給付債務の借方部分が貸方を超える(マイナスになる)時の計上科目が聞かれました。前払年金費用が答えですよね。前払年金資産って書いた人が割と多そうかな。確かに分かりづらいかもって感じです。あ、自分は長期前払費用だったかな笑。6文字ということしか覚えてないとこうなります。
次に年金資産をBSに計上しない理由でした。「年金資産は退職給付債務の支払いのためだけにしか使われない→他の資産と同様に計上するとFS利用者の理解を妨げる」という大枠は外したくないですね。後は「制度的に担保」「収益獲得のために保有する」とかを入れていれば差がつくと思います。
続いてIFRSで認められてない期間定額基準を日本では選択できる理由が出ましたね。前の問題ほどではないですが、割と典型論点ですよね。「労働サービスの費消方法は合理的な仮定を置かざるを得ない→費用配分方法は一義的に決まらない→期間定額基準を否定する根拠は乏しい」という大枠はしっかり書きたいですね。ただ、これだと5行にならないので簡便さとかのメリットに触れられれば更に良きですね。そこは書けてる人少数派な気もしてますが。
4-1の最後は退職給付の「重要な影響」とは何ぞやという問題でした。これは難しいですね。「10%」というキーワードが書けたとしても、何の10%なのか正確に書けるまではいかない人が多い気もしてます。
4-2は減価償却の費用配分方法の変更についてでした。計算でも理論でも重要度高めなので、努力がしっかり反映される問題だったと思います。
といっても1問目の計算は簡単でしたね。合理的→合理的の耐用年数の変更は過去の誤謬ではないので、見積り変更として将来にわたって影響を反映させればよかったです。計算過程はわざわざ出す理由がわかりませんが(笑)、2400000-2400000÷8*2=1800000、1800000÷(6-2)=450000で問題ないでしょう。
2問目は上の計算で臨時償却が採用されてない理由でした。これも「臨時償却は実質的に過去へ影響を反映させることと変わらない。新たな事実による変更であるため、未来にわたって反映させるべき。」という大枠は外したくないですね。「キャッチアップ方式」とかければちょいと加点ですね。
最後は定額法→定率法の変更による影響を将来にわたって反映させる理由でした。問題文に「これは会計方針である」とかいてくれていたのは良心的ですよね。ただ、一応典型問題ではあるものの、ちょっと重要度は下がる問題なので、「本来は会計方針の変更→実質的には見積りの変更と言える」という最低限があれば守れると思います。当然、「費用配分方法の選択は将来の経済的便益の消費パターンを反映して行われる→その変更は本来の消費パターンが変更されたと捉えられる→新たな事実の変更と言える」と書ければアドだと思います。
4-3は貸倒れ(うち1つは減損との関連)と有価証券についてでした。
最初は過去の貸倒実績がないときにどのように貸倒見積高を算定するかを問われました。現場対応の問題でしたが、これは「同業他社を参考にする」が思いつけたかどうかだったでしょう。経営学のβを求める問題にこの考え方が出てくるので、その意識があれば思い出せたかもしれませんね。
2つ目はどんな時にキャッシュフロー見積法を採用することが出来るか、でした。典型ではないことから法令基準集の匂いを感じ取れたかどうかが大事でしたね。金融商品に関する会計基準の28(2)②の丸写しでいいでしょう。
3つ目はキャッシュフロー見積法と固定資産の減損の共通性について述べる問題でした。これは典型でもないですし、法令基準集にも載ってなさそうな内容ですよね。。ただ、固定資産の減損と棚卸資産の収益低下による引き下げの共通点・相違点は典型なのでそこから考えていくのがいいかなと思いました。どちらも一度引き下げると元に戻さないので、そこから「決算日の資産価値をBSに表示するものを目的としていない」という結論が導けたらアドですね。
4-3最後は子会社・関連会社株式を時価評価しない理由でした。今回の試験の中で一番の典型でしたね。「子会社の株式は支配を目的、関連会社の株式は影響力の行使を目的として保有していること→これらからどちらも事業投資としての性格を持つこと→時価変動では成果と捉えない」の流れが書ければ文句なしでしょう。
4-4は自己株式でした。どちらかというと計算でちょこっと出る問題のイメージでしたが、今回は結構ガッツリでしたね。
最初は自己株式処分差損を利益剰余金から減額する根拠でした。処分差損=株主に金を払う=利益配当と結びつけられれば大枠は書けると思います。典型ではあるんですが、「利益配当と同様の性格を持つため」だけでは字数が余るので、完璧に書くのは簡単じゃないと思いますが、どうなんでしょう。
次に現在は自己株式処分差損をその他資本剰余金から減額することになっている理由でした。「自己株式の処分は新株発行の同様の性格→株主資本の払い戻しなんだから資本取引→利益剰余金は変えず資本剰余金変動とすべき」と書きましたが、流れがビミョーですね、、
続いて自己株式無償取得の会計処理方法でした。答えは自己株式数だけの増加ですね。「何も処理しない」は0~半分くらいの得点になる気がします。
大問4最後は上の会計処理方法の採用理由です。「自己株式の取得は会社財産の払戻しだから資本取引→株主間で富の地位移転が発生したに過ぎない→これらとの整合性」という流れで書いた記憶がありますが、どうでしょうかねー。曖昧に覚えちゃった感がバレそうです。。
以上で大問4の振り返りを終わります。典型が多いので、しっかり勉強してればスラスラ解けると思いますが、なんせ問題量が多いですよね。手がヘロヘロになりながら大問5に辿り着いた人が多いのではないでしょうか。
ちなみに今回のように問題量が多いと、例え1つ1つが難しくないとはいえ全て書き切るのが間に合わない人が出てくると思うのですが、個人的に第5問の理論は大問4の理論より優先した方がいいと思います。当然配点の大きさもあるのですが、第5問理論は連結の計算に関わる問題が結構多いので、計算をしっかりやっていれば取れることが多いと思うんですよね。かつ現場対応が多いので差もつきやすいかなと。一方で第4問は例年1,2問くらい難しい問題が含まれてるので(今回は微妙だけど)、それらは後回しにする作戦も悪くないのかなーと思います。
さて、大問5に行きます。今回の計算は難しいよりだとは思いますが、個人的に神問かなと感じました。というのも子会社が5社もある中でその整理がしっかりできているかどうかが試されているんですよね。成果連結がその代表例だったと思います。ただそれらが解けなくても1社だけ考えれば答えに辿り着く問題が1/3ほどを占めていますし、連結の得意苦手がそのまま結果に反映された気がします。もしせっかく解けてたなら、ウやカの▲ミスは痛いかな。チ(利益剰余金)やテ(非支配株主持分)ができる人は天才です。
あと、変に集計させる問題が少なかったことも個人的には高評価です。あの手間、実力測るのに要らない気がしますし。
理論は計3問でした。1問目は非支配株主は連結BSのどこに表示されるかです。結論は大丈夫ですね。「負債は返済義務がないことで否定、株主資本は親会社株主に帰属する当期純利益との関係で否定」を書けば大丈夫でしょう。「中間を設ける」があったらアドだと思います。多分。
2問目は子会社に持分法を適用したとしても「親会社に帰属する当期純利益」が同じになることを説明する問題でした。普段の処理であれば(子会社の利益100、非支配株主30%)「子会社の利益剰余金を全部足す(+100)→非支配株主部分を外す(-30)」であり、持分法であれば、「子会社の利益剰余金は足さない(0)→親会社の持分割合をかけた部分を計上(+70)」と考えれば同じになるということは分かりそうですね。ただ、「のれんがある」「配当がある」という指示は書いてないのでここまで書くかが微妙ですよね。。別に書かなくてもボーダーは行くと思うのですが、これらを書いてれば結構アド取れると思います。(特に配当)
最終問題は、翌期首の完全子会社との吸収合併を個別では開示後発事象として注記した一方、連結で注記が不要とした理由でした。最も大事な部分は「個別財務諸表には重要な影響がある一方、連結財務諸表には何ら変化がない」という所ですね。ここは絶対書きたいです。そこから、「子会社の収益費用が親会社とほぼ一緒→重要な影響ある。連結財務諸表→完全子会社なんだから何ら変化がない」という部分まで書ければアドでしょう。もちろん開示後発事象の意義・目的も書ければアドです。全部書けてれば激アドです。
大問5は計算理論共にメチャメチャいい問題が揃ってたと思います。大問3,4と作成した試験委員は違うんですかね?全部担当して欲しいレベルです。
ということでまずは大問5計算のボーダー(52ライン)から。模試でいつも平均男の自分が8か9問/19なので、ここあたりがボーダーかなと思います。本命(希望)は8問です。なので3問で40、6問で48、7問で50、9問で53、11問で58、13問で63、15問で68、満点で80でしょうか。
後は理論ですね。1つ1つ書くのは面倒ですが、一応ほとんどの問題に「⚪︎⚪︎」は、大枠、書きたい、守れると書いたと思うので、そのラインで52をイメージしてると思っていただければ。ただ、第5問は最後まで書けてない人が割といそうなので、しっかり書き切った人は全体的に少し点数上がると思っています。
自分の予想ですが、(理論は、×0点△最低限⚪︎そこそこ◎ほぼ満点)
3-計算 15/15で55
3-理論 減損 ⚪︎◎ ±0、ソフトウェア ×◎ +1
→56
4-1 数字⚪︎単語×、⚪︎⚪︎× ±0
4-2 計算⚪︎、⚪︎△ ±0
4-3 ⚪︎⚪︎△⚪︎ +2
4-4 △△◎△ -4
→50(正直適当です、、)
5-計算 8,9/19で52
5-理論 ⚪︎△⚪︎ ±0
→52
ということで56*0.6+50*0.7+52*0.7=52.5と予想してます。
模試は1回目が41,64,50で52.2、2回目が31,59,50で計47.5、なのですが、今回の試験は大問3で助かったので割と妥当かなと思ってます。
ここまで読んでくださいありがとうございました。次はいよいよ3日目、企業法の振り返りをしたいと思います。
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