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静岡県立大学「会社会計」の講義メモ:日商簿記2級を学んで世界を広げていく(1回目と2回目)

「会計会計」の講義で目指したもの

静岡県立大学で非常勤講師を勤めて6年になろうとしています。「会社会計」という講義を担当しています。

この講義は日商簿記2級の商業簿記の範囲を学びます。ただし、資格取得のための講座、ではないです。日商簿記2級の内容は今の経済社会を考察するうえで、実に有益な知見を提供しています。

講義で目指しているのは、日商簿記2級の内容の理解を深めることに加えて、学んだ知識を活用して企業の動向や社会の動きを見て、それについて考えるクセをつけていくことです。

1回目の講義内容

【テーマ】貸借対照表と損益計算書の関係を理解する

簿記初学者にとって貸借対照表と損益計算書がどのように結びついているかが盲点になっている(もはや気にしていない??)ように感じます。

(0)やりたい(やるべき)事業の理念を踏まえて… →(1)資金調達を行う→(2)調達した資金を投資活動に用いる→(3)投資の成果として収益を獲得する→(4)収益のうち、一部を費用として利害関係者に配分する(利益が確定する)

こうした事業の流れを常にイメージすること。これが大切です。
貸借対照表は(1)と(2)を把握する財務諸表です。貸借対照表の資産(投資活動)が成果をうみ(例えば売上高)、損益計算書に記録されることになります。

日商簿記2級で学習する様々な論点は、こうした事業の流れを踏まえて整理していくと、丸暗記するよりかはクリアになると思います。

2回目の講義内容

【テーマ】
①固定資産の購入
②固定資産を保有することで生じるリスク:減価償却費の計上

簿記界の嫌われ者?である減価償却について理解を深める回です。

見逃されがちな「直接法」と「間接法」の記帳方法の違いについても触れています。例えば、オリエンタルランド社の24年度の貸借対照表。「建物・構築物」が837,936(百万円)と書かれていますが、この数値は何を意味しているのでしょうか?これは建物・構築物の取得原価(すなわち購入額)を意味しています。

同社の貸借対照表には「建物・構築物に関する減価償却累計額」が504,801(百万円)として計上されています。

間接法は、減価償却に関する決算整理仕訳において、減価償却分を固定資産の取得原価から減額せず、かわりに減価償却累計額として計上します。こうすることで、貸借対照表には固定資産の取得原価と減価償却累計額の両方の情報が開示されることになります。

企業の外部者にとっては、「固定資産の購入額がいくらなのか?」や「固定資産がどの程度古くなっているのか?」などの情報を得ることができます。

検定試験では、ついつい丸暗記しがちな論点も、その本質を考えながら理解をしていくと面白いかもしれません。

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