二次創作って楽しいし、やってみたいよね、というお話。

 創作は良いものです。特に二次創作は比較的始めやすく、楽しく行えることが多いと思います。だって好きなことのことを常に考えている状態になりますからね。楽しくなければ嘘というものです。
 ですがそんな二次創作でも、楽しいことばかりではありません。作品を完成させるのに苦労したり、情報を集めるのに苦慮したり、色々と難儀することはざらにあります。
 特に最初の最初、まだ創作を始めたばかりの人は、創作が楽しくなる前に活動を辞めてしまうことも多いかと思います。
 それどころか、そもそも始め方がわからないという人も少なくないと思います。
 当記事はそんな、なんとなく二次創作してみたいけどよくわからないんですよね、という人の助けになればいいなと思い書かれたものです。勿論私はプロではないですし、今から書くものはあくまで今まで二次創作してきた中でふんわりと思ったことを言語化したものに過ぎません。
 自分は東方Projectの二次創作をよく行っておりまして、少しでも創作人口が増えないかなと常々思っておりました。そんな、なんとなく二次創作をやってみたい! という人の力になれば幸いです。

●創作したいという気持ちと、創作したいものがあるという気持ちは別のもの

 面白い小説を読んだとき、或いは漫画や映画やその他創作物を摂取したとき、「よくわからないけどなんとなく自分もこんな素晴らしいものを創ってみたい!」と感じることは珍しくないと思います。
 勿論それは人によって様々で、別の誰かにとっては「面白かったね」で終わることも多いと思います。ですが一方で、世の中の創作物から感銘を受けて自分も創る側に回りたいと思うのも、自然な心の動きと言えます。

 しかし気を付けたいのは、創作したいという気持ちと、創作したいものがあるという気持ちは別のものということです。

 どういうことでしょうか?
 そもそも「創作がしてみたい」という気持ちは、先に述べたように普遍的な物です。一方で実際に個人個人から出力される創作物は、千差万別のものです。その人の中にあるものが形となって生み出されたわけですから、それは当然のことと言えます。
 しかしそれは、その人の中に創りたいものが無ければ創作物は生まれにくいということを示しています。
 では、何か創りたいものがある人でないと、二次創作をしてはいけないのでしょうか? 勿論そんなことはありません。その何か創作をしてみたいという気持ちと、何かを書きたいという気持ちが繋がる日は来るはずです。たぶんね。

 それではどうしたらその「創りたいもの」が出来るのでしょうか?
 一番はやはり、多くの作品に触れることだと思います。よく聞く言説としてインプットは大事というものがありますが、まさにそうだと日々感じています。
 例えば東方Projectの二次創作でしたら、原作ゲーム・原作書籍を読み込むことで、あまり出番の無い○○のキャラ背景を深堀してみたいという気持ちが生まれるかもしれません。或いは、単に日常シーンを描きたいと思うかもしれません。
 東方ではあまりないパターンですが、「原作ではいいところなしで死んでしまったキャラを二次創作で救済したい」などよくあると思います。(当然、よくあるからといって悪いわけではありません)
 あるいは小説や映画を沢山摂取して、「この作品でミステリをやってみたい」「この作品でSFをやってみたい」というような、特定のジャンルの創作をしてみたいと思うかもしれません。
 まあ色々と方向はあるのですが、兎に角一次作品・二次作品に限らず多くの物を取り込むといいんじゃないかな、と思います。

 また、何より大事なのは創作したいものが見つからなくても焦らないことだと思っています。
 私自身本格的に創作したいと思えるまで5年~8年くらいかかりましたので、なんとなく創りたいな~と思いながらも焦らずのんびり付き合えばいいのかなと思います。だって趣味ですしね。

●とにかく手を動かす

 創作したい意欲もあるし、創作したいものもあるのに何故か創れない! という人も多いと思います。自分もよくそうなります。
 ではどうしたら解消できるのでしょうか?
 身もふたもないですが、とにかく手を動かすのが一番だと感じています。
 創作媒体にもよりますが、特に私が良くやる文章媒体の創作は、一番難易度が低いと思っています。一般的な言語能力があれば最低限の文章は打てますし、そして一般的言語能力は一般人であればだれもが持っているものです。
 しかしそんな文章媒体でも「詰まる」ことは往々にしてあります。珍しくも何ともありません。
 それは何故起こるのでしょうか。これは完全に体感なのですが、「上手くいかないかもしれない、面白くないかもしれない」という気持ちが先行して、手が止まっているのだと思います。
 よく考えてみると、手が止まるのはおかしな話です。意欲も、書きたいものも、書く能力も(最低限)備わっているのですから。
 そのような場合は、「駄作になる公算が高くてもとにかく完成まで手を動かす」のが大事かなと思います。手が止まって一つの作品を延々と仕上げられないよりも、たとえ駄作でも書き終えて、どんどん次の作品に取り掛かる方が、技術としても自分の楽しさとしても上なのかな……と感じています。
 完成させる、とは言いましたが、別に「これは駄目だから全文書き直そう」で最初から書き直すのもいいと思います。「とにかく手を止めない」のが大事かな、という話でした。

●文章のルールは守る、わからなかったら調べる

 意欲があり、何を創りたいかもあって、頑張って書くのに慣れたとします。とすると、やはり多くの人に見てもらいたいなと思うのが人情だと思います。
 そこで何より重要なのが、ルールを守ることです。
 例えば文章では、基本的なルールがいくつもあります。
 文章の段落は一つ下げる、台本形式(キャラクターの名前を書き、その下にかぎかっこで台詞を付ける)は避ける、感嘆符や疑問符(!?)の後はスペースを一文字空ける、などですね。
 これは一例ですが、そのような体裁は整えるに越したことは有りません。
 ここで誤解してほしくないのは、基本的に創作はどのように作っても自由であり、それは脅かされるべきではないということです。先にあげた文章のルールも、作家個人の拘りがあるならばどれだけ無視しても問題ないと思っています。
 しかし逆に言うならば、特に拘りが無いのならば、ルールに沿うのが一番です。何故かと言えば、「この作者は最低限の知識もなく書いているんだな」と作品内容本体確認もせずに、スルーされてしまうことが多いからです。
 自分としては文章のルールが守られていない作品を見ると眉をひそめつつも、「まあでも創作して投稿する気持ちが大事だしねールールは後から学べばいいし」と思いながら読んだりします。とはいえ、最初から避けられるのならば避けるべきことだとは思います。作品内容と関係ない所で、損をするのはもったいないですしね。

 また同時に、わからないところはわからないままにせず調べてから書く、というのも重要です。自分の場合、例えば熟語一つにしても「よく使う言葉だけどこれ厳密な意味では正しいのかな?」と一々調べていたりします。
 これはぶっちゃけ面倒なので「いやあそこまではいいや」でやらなくてもいいのですが、一方で多少の手間で簡単に質を上げることができる方法なので、個人的にはお勧めしています。先にあげた文章のルールや体裁も、「ここ正確にはどうするんだっけ?」という発想で調べれば大抵のことは直ぐに出てきます。文章に限らず、調べることは大事ですね。
 調べると言っても、何も専門書を読む必要はありません。例えば商業作品や学校の教科書を引っ張り出すだけでも、文章の体裁を学ぶことはできますからね。

 二次創作においては、キャラクターの口調や設定などもおざなりにせずちゃんと調べるといいのかな、と思います。
 好きなキャラクターの二次創作をしているのに、その好きなキャラクターについてネットで調べるのはおかしいのでは……? と思う方がいるかもしれませんが、そんなことはありません。
 人間の記憶は当てにならないものですし、余程印象に残った台詞や描写でない限り、結構忘れている物です。それを「再確認」するのは決して悪いことではありませんし、むしろ好きなキャラや世界についての解像度が上るのはとても良いことじゃないかな、と思います。

●描きたいことは自由に、描き方は読者に合わせて

 これは特に小説媒体で思うことなのですが、読みやすい作品にするのを心がけるのは重要かなと感じます。
 先の項でも述べました通り、創作なのですから自分の創りたいことが最優先で、拘りがあるのならば自分第一で作り上げるのが一番かなと思っています。
 しかし同時に、「多くの人に楽しんでもらいたい」「多くの人に読んでもらいたい」「評価を高めたい」と思うのならば、読者に寄りそう文章を書くことが重要です。
 特に好き勝手書いておいて「あー読者は読み取れなかったか、これは読者が悪いね」と思うのは最悪です。好き勝手書いておいて「あー読者は読み取れなかったか、でも自分は面白かったからオッケー!」と思うのは最高ですけどね。
 結局のところどのようなスタンスで創作するかにもよるのですが、自分の場合はできるだけ多くの人に楽しんでもらえればなあと思いながら書いていますので、文章はなるべくわかりやすく読みやすいものを心がけています。
 しかしそんな自分でも、時には「このSSは固めの作風だから、少しだけ難しい熟語を使おう」と言って、僅かに作者本位で書いたりもします。まあさじ加減ですね。
 文章のハウツー本を読んでいると、三ページに一回は「文章は伝えるためにある」「読者の気持ちを考えて書く」「伝わらないと意味が無い」といった内容が出てきます。それだけ、読みやすい文章は大事ということですね。

●ある程度の自信を持つ

 作者が卑下している作品は、読もうとしている人の意欲をそぎ落とします。これつまらないんだよね、と作者が言っている作品をわざわざ読む人はいませんよね。
 当然振り返りや反省する気持ちは大事なのですが、とはいえ投稿した作品にネガティブなことを言うのはあまりよくありません。仮にその作品を好きになってくれた人がいたらと思えば、わかると思います。
 これは本当に思っていても、いなくても、同じことが言えます。
 本気でつまらないと思っていてもそれを言うのはあんまりよろしくないですし、本当は自信あるけど予防線的にどうせつまらないよと言うのも最悪ということですね。
 世の中では「つまらないとは思わないけど、自分じゃ本当にこの作品が面白いかわからない!」と思う人も多いようです。しかしそれはそれでいいと思います。
 もしかしたら手痛い批判をもらうかもしれませんが、あくまでそれは作品やそのときの作り方に対してのもので、作者の人格に対してのものではありません(大体の場合はですが)。上手くいかなかったら次に生かせばいい話なので、ある程度は自信を持って投稿するといいんじゃないかな、と思います。
 ひょっとすると、絶賛されるかもしれないですしね。

●あくまで趣味なので

 最後に。あくまで趣味で行う二次創作なのだから、自由にやるが一番ということは述べておきたいと思います。
 商業作品の場合、当然ながら利益を出すことが求められます。そうでなくても、最低限回収したい金額のラインというものも存在するでしょう。
 しかし当然趣味の二次創作には、そういったものは存在しません。紙で本を出す場合はどれだけ赤字を抑えられるかと考える人も多いでしょうが、利益目的という人は極々少数なのではないでしょうか。
 当記事で書いたのは、あくまで「初心者が創作するにあたって、より楽しみやすくなるやり方」であって、別に本人が楽しければなんでもいいと思います。当然、法律ないし投稿サイトや各コミュニティのルールを守るのは大前提ですが。
 何度か自由にやるのが一番、と言ったのはそういうことです。究極、書くだけ書いて公開しなくても自分が満足しているならば、それでいいと思います。

 「趣味としての二次創作」って最高なので、多くの人が手を出してくれたら良いなという記事でございました。


▲せんでん

 普段は東方創想話という小説投稿サイトに投稿をしています。
 もっと小説を書いたり、読んで感想を書く人が増えるといいなーということで下記にリンクを貼っておきたいと思います。
https://coolier.net/sosowa/ssw_l/

(自分の最新作はこちらになります。よろしければ)

東方創想話:海辺の宿題
今話題の村紗水蜜のお話です。
https://coolier.net/sosowa/ssw_l/236/1628000435


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