会計初心者のための決算書の見方の学習方法とおすすめテキスト5選
「決算書を読めるようになりたいけど、どう勉強したら良いかわからない💦」
「決算書のおすすめのテキストを知りたい」」
こんなお悩みにお答えします
会計に苦手意識のある方にとって決算書を読むことはとてもハードルが高いですよね😅
しかし、会計は事業の言語と呼ばれ、ビジネスの重要なコミュニケーション・ツールの1つです。
そのため、決算書を読めることは、多くの社会人の強力な味方になるはずです。
私は大学で決算書を読めるための講義を長年担当しています。
前回、「会計初心者のための会計学習方法とオススメの簿記・会計テキスト」というタイトルの記事を公開しました。
そこでは、財務会計分野が大きく①簿記、②財務会計論、③財務諸表分析に分かれることをお伝えしました。
本日は、前回お伝えできなかった決算書の見方(財務諸表分析)についての学習方法とオススメのテキストをご紹介したいと思います。
決算書がわかることの意義
そもそも決算書で何がわかるのでしょうか?
決算書は企業の成績表で、以下のことを読み取れることができます。
①儲けの構造がわかる
②戦略が読める
③時系列で並べれば、戦略の動きが読める
出所 山根節『「儲かる会社」の財務諸表 48の実例で身につく経営力・会計力』光文社新書、2015年
決算書が読めれば、ライバルや自社の実像を知ることができます。
課題の根を把握することができ、未来像を描くことができます。
そのため、ビジネスパーソンにとって、会計は必要不可欠の知識となっています。
決算書の見方に関する学習方法
決算書の効率的な学習方法は次の通りです。
①本物の財務諸表をできるだけたくさん読む
②ビジュアルで大ぐくりにとらえ、数字はどんぶり勘定、アバウトで
③貸借対照表(BS)と損益計算書(PL)が先決、キャッシュ・フロー計算書(CFS)は後回し
④わからない専門用語はとりあえず無視
⑤現場・現物・現実の情報とリンク
出所 山根節『「儲かる会社」の財務諸表 48の実例で身につく経営力・会計力』光文社新書、2015年
学習のポイントをまとめると次の通りです。
①まずは、損益計算書と貸借対照表の構成要素を理解する
②現実のビジネスとのリンクを想像しながら、ざっくりと決算書を読む
③実際の企業の財務諸表にたくさん触れる
会計初心者の方で、貸借対照表や損益計算書がわからない方は、これらの構成要素を知ることなら学習を進めましょう。
👇貸借対照表についてはこちら👇
👇損益計算書についてはこちら👇
会計の学習は、英語の学習方法と似ています。
英語では、①単語の意味、②文章の組み立て方(分法)、③文章の解釈を中心に学習していきます。
会計の学習もそのプロセスの通りに学習していきます。
まずは単語(会計用語)力を増やして、しっかりと基礎力を高める必要があります。
基礎がある程度できた方は、実際の企業の財務諸表を読むことをオススメします。
会計ラボでは、財務諸表クイズの記事を出しています。
解説は有料ですが、効率的に学習したい方にオススメです。
マガジンだとお得になっていますので、ぜひご活用下さい。
会計初心者のための財務諸表分析おすすめテキスト5選
会計初心者へのおすすめテキスト5選をご紹介します。
①山根 節 . 2015.『「儲かる会社」の財務諸表 48の実例で身につく経営力・会計力 』(光文社新書)
比例縮尺財務諸表を用いて、財務諸表の特徴を捉えるという方法で財務諸表分析を学習できるテキストです。本書の特徴は、実際の経営手法や経営戦略が財務諸表にどのように表現されているかをわかりやすく説明している点にあります。文庫本サイズで手軽に読めるのも良い点です。ただし、2015年に出版された書籍のため、事例が若干古くなっているのがデメリットです。それを除けば、非常に良いテキストとなっています。
②山根節 ・太田康広・村上裕太郎. 2019.『ビジネス・アカウンティング【第4版】』( 中央経済社)
先ほど紹介した書籍の著者である山根節先生らのテキストです。こちらの書籍は、貸借対照表と損益計算書の見方からキャッシュ・フロー計算書の分析までを網羅しています。本書の特徴は、比例縮尺財務諸表の作成方法が丁寧に解説されており、さらに豊富なケースが収録されていることです。財務諸表と格闘するをコンセプトに、経営と財務諸表のつながりを教えてくれる優れたテキストになっています。
③矢部 謙介. 2017. 『武器としての会計思考力 会社の数字をどのように戦略に活用するか?』(日本実業出版社)
貸借対照表、損益計算書、キャッシュ・フロー計算書を簡潔かつわかりやすく解説しています。また、基本的なファンダメンタル分析手法を豊富な事例を用いて、経営とのつながりについて丁寧に解説してくれている良書です。会計初心者にとっても非常にわかりやすく、またこの1冊で基本的な財務諸表分析手法は網羅できるテキストになっており、オススメです。
④大手町のランダムウォーカー. 2020.『会計クイズを解くだけで財務3表がわかる 世界一楽しい決算書の読み方』(KADOKAWA)
こちらの書籍は、会計は難しい・楽しくないという通念を払拭するために、クイズ形式という新しいコンセプトで楽しく学習するをモットーに近年話題になっている書籍です。基本財務諸表の解説もわかりやすくされており、身近な企業のクイズで理解を深められる良書となっており、会計初心者にとってはオススメの1冊です。ただし、わかりやすさを追求した書籍になっているので、より深い理解をしたい方は、紹介した別のテキストでも並行して学習を進めることをオススメします。
⑤大津 広一. 2021.『ビジネススクールで身につける 会計×戦略思考』(日本経済新聞出版)
損益計算書と貸借対照表の見方を経営という視点から極限まで突き詰めて解説している良書です。本書の特徴は、何よりも豊富な解説です。特に、企業経営や経営戦略という視点から、徹底的に財務諸表の見方を解説しています。また、事例も豊富で、クイズ形式で理解を深めることができます。
著者の大津広一先生は経営コンサルタントで、多数の大学で講師としても指導されている方です。多数の決算書関連書籍を出版しており、どれも解説が非常に丁寧です。こちらは最新の書籍となっています。
紹介したテキストは、それ単独で読んでもらっても問題ありませんが、より理解を高めるためにはそれと並行して簿記や財務会計論の学習も進めてください。
👇簿記・財務会計論のおすすめテキストはこちら👇
本日のまとめ
本日は、財務諸表の見方に関する学習方法とおすすめ書籍5選をご紹介しました。
学習のポイントは次の通りです。
①まずは、損益計算書と貸借対照表の構成要素を理解する
②現実のビジネスとのリンクを想像しながら、ざっくりと決算書を読む
③実際の企業の財務諸表にたくさん触れる
これらすべての要素が満たされている書籍として以下の5つをご紹介しました。
①山根 節 . 2015.『「儲かる会社」の財務諸表 48の実例で身につく経営力・会計力 』(光文社新書)
②山根節 ・太田康広・村上裕太郎. 2019.『ビジネス・アカウンティング【第4版】』( 中央経済社)
③矢部 謙介. 2017. 『武器としての会計思考力 会社の数字をどのように戦略に活用するか?』(日本実業出版社)
④大手町のランダムウォーカー. 2020.『会計クイズを解くだけで財務3表がわかる 世界一楽しい決算書の読み方』(KADOKAWA)
⑤大津 広一. 2021.『ビジネススクールで身につける 会計×戦略思考』(日本経済新聞出版)
本日の記事が少しでも皆様の会計リテラシーの向上に役立てると非常に嬉しいです。
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